MMTという名の宗教

MMT(現代貨幣理論)とは


MMT(Modern Monetary Theory)
・自国通貨を発行できる政府は財政赤字を拡大しても債務不履行になることはない
・財政赤字でも国はインフレが起きない範囲で支出を行うべき
・税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みである

(上記の説明も含め、日本ではMMTの本質が理解されておらず、日本でのMMT論者の主張は和製MMTともいわれる。また、MMTは左派ポピュリズムとしての一面を持つ。)

国の景気動向や経済成長などについての研究は「マクロ経済学」の対象となる。MMTもマクロ経済学の一つ。
マクロ視点の経済は複雑系(互いに関連する複数の要因が相互にフィードバックをしながら全体としてなんらかの性質を見せる複雑なもの)であるからマクロ経済学という学問自体あまり意味を成さない。

国内総生産
GDP(gross domestic product)

一定期間内に国内で生産された付加価値の総額。
GDPの数字が増えたからと言って、みんなが金持ちになるわけではない。GDPはフローのカウントでしかない。
GDPが前年同期や前期と比べてどのくらい増減したのかを見ることで、国内の景気変動や経済成長を推定する。
GDPの前年比伸び率を「%」で示したものを経済成長率という。

GDPには名目値と実質値がある。
名目GDPは、実際に取引されている価格に基づいて推計されるため、物価変動の影響を受ける。
一方、実質GDPは、ある年(基準年)の価格水準を基準として、物価変動要因が取り除かれている。 このため、景気判断や経済成長率をみる場合、実質GDPも重視される。

国の運営とお金の循環


国の運営・・・国民から税金を集めて運営。足りない部分は国債を発行。

国債は最終的には国民から日本銀行が買い取っている
→結果的に国は日銀から借金をしていることになる
→返す必要がない(日銀は自分でお金をつくれる機関)
国は日銀から借りたお金で国を運営
→増税なしで国民にお金が供給される(公共事業・公務員の給料)


①お金の価値に対する考え方

従来の主流理論 商品貨幣理論
お金は物々交換から始まった
お金はみんなが価値のあるものだと信じている
→お金には価値がある
(お金が金と交換できた金本位制の時代に強かった理論)
現代貨幣理論 国定信用貨幣理論(租税貨幣理論)

国に税金を払わなければいけない
→お金には価値がある
増税→自国通貨の需要を高め、その価値を維持することができる
ただし国民からの強い反発がある

②政府運営の考え方

従来の主流理論 財政均衡主義
政府は借金をしないように国を運営
中央銀行は独立している
現代貨幣理論 機能的財政理論
日銀+政府=統合政府
お金をすればいいから黒字運営の必要はない
黒字より経済安定を優先

③貨幣供給に対する考え方

従来の主流理論 外性的貨幣供給論(量的緩和)
民間銀行が持っている国債を日銀が買い取る
→金利が下がる
→人々はお金を借りるようになる
日本では失敗
現代貨幣理論内生的貨幣供給論
単純な金融政策だけではお金を供給することはできない
国民がお金を借りたいと思えるような社会状況を整える必要がある

現状

  • 日本の借金は1000兆円

  • 日本は国債を発行しまくっているのにインフレにならない

  • 増税したらデフレになるのはあたりまえ

  • 実質的に日本はMMT状態

→MMTのほうが現状を説明できている…?

一方2022年~

  • 世界中でインフレが進行。

  • アメリカではラーメン一杯4500円。家賃や電気代も上昇。

  • MMTでは、インフレ率が高まったら増税すればいいとしてきたが、机上の空論だったことが証明される。

  • 日本では巨額の財政支出(ほぼMMT)の結果が「失われた30年」に

  • 日本がMMT状態でもインフレにならないのは、日本人にお金を稼いだら必ず貯金する性向があるから。

MMTが機能するための条件


①教育・研究開発などへの歳出で労働生産性を高めることができるか
②国債発行を減らし、外資への逃避を回避しながら中銀当座預金の増加で歳出を増やせるか
③政府債務が増えても民間部門の債務が拡大しないようにできるか

MMTの課題

①年金拡充などの歳出拡大の恩恵を国民が持続可能とみなすか。将来の破綻を予想すれば消費は増えない。
②人手不足の中での歳出拡大は民間部門の競争を激化させ、企業収益を悪化させないか
③低金利の長期化による弊害が考慮されていないのではないか
④MMTは自国通貨建てのこくしのデフォルトはあり得ないとするが、ハイパーインフレの可能性を排除しない

※日本国債は固定金利
→金利が上がっても国債残高は増えないため金利は問題にならない。

政治、野球、宗教、「MMT」の時代。

コロナ禍以降ばらまき財政をした結果世界中でインフレが起こっている。
タックスヘイブンを禁止して累進課税強化、法人税引き揚げ、富裕税、国民所得税(均等税)を強化したほうがよりよい社会につながる可能性が高い。課税対象はロングテールの高所得を対象にしているから多くの人は受益者になる。日本がほぼMMT状態でも成り立っているのはマクロ経済が複雑系であり、いろいろな要因が関わっているから。これ以上政府支出を増やしたらもっとインフレが進行するだけだと感じる。
最後に、MMTについてまとめるにあたり、YouTubeやTwitterでMMT賛成派と反対派が激しく戦いあっている場面を多く目にし、MMTについての議論は宗教的な一面を持ち始めているように感じた。政治、野球、宗教、「MMT」。



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