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「皇室のみやび」展の締めくくりで唐獅子を見に@皇居三の丸尚蔵館

  皇居三の丸尚蔵館リニューアルオープン記念「皇室のみやび」展もラスト第4期。ここまできたら皆勤賞という気持ちが後押ししたのは否めない。予定が立たず、日時予約必須なこの展覧会のカレンダーが埋まっていくのを横目に見つつ、ようやく日程調整して鑑賞してきました。

  今回は社会の教科書で「安土桃山時代」と言えば必ず掲載されるこの屏風をじっくり見たかった。一度見た記憶があって過去の展覧会記録をざっと辿ったが見つからない。教科書で見た気になっているだけなのかな?

これこれ。国宝 《唐獅子図屏風》(右隻) 狩野永徳 桃山時代

  実はこの左隻がちょっとかわいい。かの有名な風神雷神図も時代が下がるにつれて、荒々しさが薄れてよりコミカルというかデフォルメが進みますが、この唐獅子もキャラクター化してます。

狩野永徳のひ孫の狩野常伸が描いた江戸時代のもの。

  表情の違いは大きいですが、カラダのラインと足元も全然違う。

安土桃山の唐獅子の足。のっしのっしとした力強い筋肉足にツメが鋭い
江戸時代になると戯画化されたぽにょんとした足とツメに。

  そして第1期に続き、若冲もまたまた4枚展示されました。

国宝・伊藤若冲《動植綵絵》諸魚図
国宝・伊藤若冲《動植綵絵》老松孔雀図
国宝・伊藤若冲《動植綵絵》芙蓉双鶏図
国宝・伊藤若冲《動植綵絵》蓮池遊漁図

  いつもの通り、若冲はじっと目を凝らして見たくなる。今回はサカナの描き分けに注目。色、模様、形、全てがリアル。

サバが!
あなた、カツオですよね・・・?

  どれを取り上げても国のお宝なので、あとは気に入った(気になった)作品をいくつか。

粘葉本和漢朗詠集 伝 藤原行成:料紙も字も素晴らしい。平安時代のものがここまで綺麗に保存されているなんて感動。平仮名2首目は、百人一首にある歌。「やまさとは ふゆそさみしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもへは」
国宝 春日権現験記絵 高階隆兼:これも鎌倉時代なのに色鮮やか。
青海波塗硯箱 伝 青海勘七:水戸黄門様ご愛用だったそうです。
朝陽霊峰 横山大観:上品かつ壮麗。大観が初のご下命で明治宮殿の豊明殿という大広間のために描いたもの。数多くの富士を描いた大観が一番美しいと感じる角度の富士らしい。
七宝四季花鳥図花瓶 並河靖之:超微細。超美麗。どの角度から見ても美人さんの花瓶。

  この萬国絵図屏風は2隻なのですが、左隻には大きな世界地図に民族衣装を着た?人達が描かれています。よく見ると日本人らしきものも・・・

左端はアメリカ大陸?
反対側に描かれた人物像の左下は日本人のように見える・・・ちょっと濃いめの顔だけど。

  ということで、全4期を完走してみて思ったことは、(全く本筋のことではありませんが)しっかり保管されていると古いものもこんなに色鮮やかなままなんだなあ、ということ。つい、時代を経た感じのものほどありがたく感じたりしますが、大事にすればそんなことになってない。でも、日本は湿度も高いし、こうやって保管するのは大変なんだろうなあ。しっかり後世に残してもらいたい。そしてずっと教科書に載せてもらいたい(笑)。

<余談その1>翌日に友人と会うということで、皇居の売店で前から気になっていたお饅頭を購入。菊のご紋の焼き印入り。包装紙に宮内庁売店、みたいなことが小さく書かれていて、お手軽な価格でここしかないし、話のついでにもなるお茶目な手土産として丁度良かったです。自分では食べていませんが、売店のおばさまが「ふわっふわですよーもうすぐ売り切れますよー」と一押ししてました。他にもゴーフレット、チョコレート、干菓子あり。

<余談その2>次回企画展は「いきもの賞玩」ということで、動物をモチーフにしたものを集める模様。先日、山種美術館で「犬派?猫派?」を、東京ステーションギャラリーで「どうぶつ百景」を見てきましたが、動物ものは鉄板・・・癒やされますが、なんかこう続くとあざとい気がほんのちょっとする・・・でも見てしまうんだな、これが。

https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202404_dobutsu.html

 <余談その3>東京ステーションギャラリーの「どうぶつ百景」フライヤーに使われている歌川広重「名所江戸百景浅草田甫酉の町詣」は、藝大で開催した「大吉原展」で、なぜこの絵が酉の市の日の吉原だとわかるのかを解説してくれていました。せっかくなので実物確認・・・と展覧会が次の展覧会へと繋がっていくのって楽しいですね。話が長くなるのではしょりますが、そのワケに興味がある方はこちらの浅草酉の市のサイトを是非。

歌川広重「名所江戸百景浅草田甫酉の町詣」。カギは左下の○の中に「後期」と書かれた部分に隠れてしまっている熊手のかんざしと、にゃんこさんが眺める外を歩く熊手を持った人の行列。※画像は展覧会サイトより引用


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