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中平卓馬 火|氾濫 は、濃かった。最近の東京国立近代美術館は攻めてる
名前しか知らない写真家だったので迷いましたが、ここ何回かの東京国立近代美術館の企画展は、見ておいてよかった、というアタリが個人的に多いので、今回も早めに訪問。で、正解だった。好き嫌いありそうですが、雑ぱくな高度成長期エネルギーとその裏側的な昭和の空気感好きなら是非。
行く前に展覧会サイトをチェックしていたら、この人の生き様がすでに濃い。初期のスタイルを1973年に自己批判し、それまでのプリントやネガの大半を焼却(が、2000年代初頭に残されたネガ発見)、1977年に急性アルコールで昏倒して記憶の一部を失って活動を中断・・・?これは気合いを入れて見ないとダメか?と思いつつ出掛けました。
日本の戦後写真における転換期となった1960 年代末から70 年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家である中平卓馬(1938-2015)。その存在は森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えてきました。1960 年代末『PROVOKE』誌などに発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973 年の評論集『なぜ、植物図鑑か』での自己批判と方向転換の宣言、そして1977 年の昏倒・記憶喪失とそこからの再起など、中平のキャリアは劇的なエピソードによって彩られています。
今回は写真展、というよりも当時掲載された「アサヒグラフ」などの雑誌が数多くそのまま展示されています。記事の中身も気になりなかなか進まない。写真の荒々しさが雑誌のザラ紙と相まって良い意味で猥雑な雰囲気がマッチ。特集や写真集のタイトルも存在感あります。「来たるべき言葉のために」とか格好良すぎ!アサヒグラフの「街に戦場あり」は寺山修司とタッグを組んでいるだけあって、記事もついつい読んでしまった・・
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今回はほとんど撮影OK。写真の写真を撮るというのもヘンな感じですが、でも撮りたくなるんですよね。
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そして次が展覧会タイトルにもなっている代表作「氾濫」。今回はオリジナルとモダンプリントの両方がありました。オリジナルは褪色して本来とは違うかもしれませんが、この方が雰囲気がある。
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初期のモノクロとはまた違う勢いがカラーにはありました。
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でも私はやっぱりモノクロの方が良かったです。カラーはどうしても綺麗に見えてしまうせいか、モノクロと一緒にあると1枚の情報量が多すぎるように感じちゃうんですかねえ。
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ということで、ほぼ2時間近く見てしまいました。常設展を見る時間が短くなってしまった・・・17:00閉館で慌ててショップに駆け込んだら、中平グッズは普通の本しかなかった。ハガキあったら買いたかったんだけどな・・・図録もまだ間に合っておらず(予約ができる)、最近は展覧会グッズにどこも力を入れているから意外でした。ただ、本展のフライヤーが超凝ってます。手元に持っていたのと違い、美術館にあるものは、開くと「氾濫」全体が映っている特殊サイズ&特殊折り畳み!わーい。
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最後はもう一度、森山大道の写真で。中平卓馬のお別れの会で配られたプリントだそうです。ああ、いい写真だな、と。
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ということで、ちょっと理屈っぽいというか、「評論」的な面が強いので好みはわかれそうではありますが、脳が右も左も刺激される展覧会でした。こういう「100%好きだ!」とスパッと言い切れないものの方が、記憶には残るんだよなあ。人間って不思議。
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