ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画展という、ちょっと変わった展覧会。ムンク以外は名前が浮かばず、雪、白夜、神話、フィヨルド、トナカイ・・・といったイメージだけでしたが、元々神話の類いは好きなので、新たな出会いを期待して観に行ってみました。
面白かったです。幻想的なものが多く、特に物語の場面を描いたものは、センダックの絵本のような怖いもの見たさのような、不気味な可愛さがある。風景画もスカンディナビア半島の豊かで厳しい自然が描かれていて、ちょっと他の欧州の風景画とは雰囲気が違う感じ。絶対見逃せない、とまでは言いませんが、気楽に楽しみたい時に良いかな。室内楽コンサート的な展覧会です。
会期早めの平日だったというのもあるかもしれませんが、マイナーなテーマなのに詳しそうな鑑賞者が意外と多かった。丹念に1枚ずつ見て、メモして、細かいところを小声で話し合ったりしている・・・美術系の人達だったのかな。珍しい美術館から持ってきているから、興味ある人には貴重な機会かも?見どころ教えてもらいたいなーと思いながら見てました。
撮影は一部のみOK。今回気に入った北欧の伝説を描いたものがいくつか撮影できて嬉しい。「トロル」や「スレイプニル」といった今でもファンタジーの舞台に登場する生き物が跋扈しています。
どうしていつもお兄さんが小悪党なんでしょうね・・・末っ子が活躍するのも神話・民話で万国共通。ちょっとカナシイ。
これ以外にも、神話の一場面を描いた作品がいくつもありました。
そしてもう一人、テオドール・キッテルセンの絵は、北欧の神秘的な雰囲気が出ていて、絵本を探そうかな、と思うくらいに良かった。
自然の中に神や神秘を見るところは、日本も似ていますが、もっと神秘の力が重いというか、厳しさが違うというか。そして、全般的に太陽の存在感が薄いのは、緯度の高い国で育まれた文化だからなのかな、と興味深かったです。まだ北欧は行ったことがないので、いつか行ってみて、この自然や神秘的なものとの距離感の違いを実感してみたい!
<余談>ガーラル・ムンテの絵のトロルたちがとぼけた良い味を出しているためか、展覧会の場内注意書きにひっそりと使われていてちょっとお気に入り。センス良いです。