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最後の文人画家「富岡鉄斎」展@京都国立近代美術館

  金曜日帰り大阪&京都展覧会4カ所巡り、それを締めくくる展覧会がこれ。「没後100年 富岡鉄斎」展。

  金曜日の京都国立近代美術館は20:00まで開館、ということで朝9:30に大阪市立東洋陶磁美術館からスタートし、17:00頃にこちらに到着。

  通りを挟んだ正面にある京セラ美術館では、「村上隆 もののけ 京都」展で混んでいる気配が。こちらはふるさと納税でチケットは確保していますが、友人と日程が合わずまだ未鑑賞。TVの特集を先に見てしまったなあ、と行列を横目に富岡鉄斎の方に。観光客で賑わっていた祇園方面からバスで来たので、美術館の静かさが沁みます。

  さて、文人画は、その味わうべき思想というか知識の部分が全然足りないので、音声ガイドのお力を借りるつもりでいたら、何とQRコードでフリーで聞ける!ありがたい!だが、そこで落とし穴が・・・ここまでに美術館を3カ所回り、写真を撮りまくっていたので携帯の電池があと僅か。新幹線まで保たない。涙をのんでQRコードだけ写真撮ってみた。後で使えるかしら・・・

教訓:次回は日帰りでも充電池を持参しよう

  こちらは写真は撮れなかったのですが、驚く充実ぶり。一番の驚きは、これまでに鑑賞してきた富岡鉄斎の大半は、普通の掛け軸サイズばかりでしたが、今回は非常に大ぶりな屏風がいくつもあったこと。軸装のものが多いのは当然なのですが、それも結構大ぶりだったり。

  特にこの「富士山図」はポスターにもなっていたので気になっていましたが、大きな屏風に雄壮な富士山が見たことのない大胆な構図で描かれており、左右で字体が違うのもこれぞ、という感じ。

富士山図」 展覧会サイトより引用

世に「最後の文人画家」と称えられる富岡鉄斎(1836-1924)。幕末、京都の商家に生まれた彼は、近世都市の商人道徳を説いた石門心学を中心に、儒学・陽明学、国学・神道、仏教等の諸学を広く学びながら同時に、南宗画、やまと絵等をはじめ多様な流派の絵画も独学し、深い学識に裏付けられた豊かな画業を展開しました。良い絵を描くためには「万巻の書を読み、万里の路を行く」ことが必要であるという先人の教えを徹底して守ろうとした彼は、何を描くにもまずは対象の研究に努め、北海道から鹿児島まで全国を旅して各地の勝景を探りました
(中略)文人画というと、何か難しい世界のように思われがちですが、鉄斎の生きた時代にはむしろ縁起物として都市の商人たちの間で親しまれていたともいわれます。

展覧会サイトより引用

  しっかり勉強したらもっと面白いのは、出光美術館で見た池大雅展でも痛感しているのですが、展覧会サイトの解説にあるとおり、意外と知り合いやパトロン的な商売人のために絵を描いてあげていることがわかりました。自宅の新築を祝ったものや、喜寿みたいなお祝いだったり、いつも送ってくれる名物のお礼代わりなのか魚描いたり。ちょっとクスっとするような絵もあり、楽しめます。

  後期にもう1つの目玉作品が出るので、もう一回頑張って見に来ようか、と迷うくらいに良かったです。京都は雪舟展もやっているので、何とかもう1回来たい!しかし今年は渋い展覧会が多いなあ。法然とかもあるし。

  さて、富岡鉄斎展の後、常設展へ。こちらは写真撮れました。ただ、正直なところ展示品の幅がありすぎて説明できない。ゴッホのすぐ近くに今岡景年、その後に超現代的な展示があってから梅原龍三郎。展覧会は何でも大好き雑食の私でも、「?」となりました。後で美術館のサイトを見て趣旨が初めてわかった・・・しかし、最後に河井寛次郎の作品選があり、最近TVで特集見たのも相まって、楽しく鑑賞できました。

  河井寛次郎の焼き物って、古典を踏襲しつつも、色や姿がちょっと違う。個性的。何かはっとさせるんだな、というのが実物を見て感じたところ。特に、東洋陶磁美術館で、その祖となるような作品を見たばかりだったためか、微妙な違いと個性が面白かったです。

釉裏紅福寿文花䟎:この深いピンクが寛次郎独特の色合い
三彩双魚文瓶子:唐三彩みたいでも、もっと軽やかで双魚もモダン
緑瓷瓜虫文䜮:瓜と虫。日本画の典型でもモダン。緑もビリジアンのような深さ。
二彩鳥形注:ありそうでちょっと違うトリになっている。
黄釉象嵌縞文鉢
辰砂菱花文扁壺:やはりこの人の辰砂は色が独特。
黄釉筒描拈華文鉢:落ち着いた色目と大胆な柄の組み合わせが好きです。
三色打薬扁壺:この3色もよくある組み合わせなのにお洒落
辰砂丸紋扁壺:韓国陶磁で見た扁壺は素朴でお茶目だった。形状は似ていても雰囲気が全然違う。


  陽気も良く、桜もまだ綺麗に咲いていた京都。充実の一日でした。

超逆光・・・橋の逆側は写真を撮る観光客の人が多くて、躊躇してしまった。
右にちょっと写っているのが京都国立近代美術館。富岡鉄斎展を見る前、陽があるうちの1枚。

<余談>全部見終わったら19:30。20:30頃の新幹線を取っていたので、受付の方に「どうやって京都駅まで行くのが良いでしょうか」と聞いたところ、「バスが楽ですが、時間によって20分だったり1時間かかったり・・・この時間なら大丈夫だとは思いますが、私なら地下鉄一択です!」と言われ、アドバイスに従い、地下鉄乗り継いで京都駅へ。駅までの説明も丁寧で、バスの時刻表も見てくれるなど、とても親切でした。多謝。
  しかし、最近の京都の混雑は確かに凄い。京都駅で帰りの新幹線で食べるお弁当買おうと思ったら、ほとんどのお店で売り切れてた。お昼抜きで突っ走っていたので、いづうの鯖寿司食べる気満々だったのがちょっとしょんぼり。ああ、祇園で買っておくべきだった・・・

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