タイの商用ビザ免除とは?従来の商用滞在や正規ビザ取得も解説
タイは日本にとって重要な投資先であり、貿易面でも関係の深い国です。
商用目的でタイを訪れる日本人も多く、ノービザで気軽に滞在したいと望む人も多いようです。
本記事では、2023年の12月に発表されたタイの商用ビザ免除の現状や、従来のタイでの短期出張で利用されていた観光ビザ免除について紹介します。
また、タイの正規の商用ビザである「ノンイミグラントB」についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
タイの商用ビザ取得免除の現状
2023年12月12日、タイ政府は日本人の商用目的の短期滞在で必要になるビザの取得免除を内閣で閣議決定しました。
免除されるのは、30日以内のビジネス目的の滞在です。
免除される期間には限りがあり、来年の2024年1月1日から2026年12月31日までの3年間になっています。
現在、日本人が観光を目的としてタイに短期滞在する場合、30日以内までならビザが免除されますが、この免除範囲を商用目的の短期滞在にも拡大した形です。
この免除措置が決まった背景には、これまでも多くの日本人ビジネスパーソンが投資や商談、契約書への署名などを目的に入国していることが挙げられます。
また、タイにとって日本は多額の投資をしてくれる国であり、貿易面で見ても3番目に輸出割合が大きい国です。
今回のビザ免除措置により、日本のビジネスパーソンや投資関係者の入国に関する利便性を高め、より多くの投資やビジネスチャンスを呼び込むのが狙いと考えられます。
従来のタイでの商用短期滞在について
この項目では、商用ビザの免除措置がなかったときの商用短期滞在について紹介します。
内容は以下のとおりです。
これまでのタイでの商用短期滞在は観光ビザ免除を利用していた
観光ビザ免除の概要
これまでのタイでの商用短期滞在は観光ビザ免除を利用していた
本来、タイでのビジネス目的の滞在には短期・長期を問わず商用ビザが必要です。
ただタイには30日以内の観光目的の入国ならビザ取得が免除になる「観光ビザ免除」があり、観光目的に見せかければ商用目的でも利用できました。
短時間で済む商談や契約書への署名など、30日以内で終わるビジネス出張であれば、ほとんどのケースで観光ビザ免除が利用されていたのが現状です。
観光ビザ免除を利用して商用でノービザ入国することは、厳密には違法行為となりますが、実際はグレーな部分として見過ごされるケースが大半でした。
しかし中には、摘発された例もいくつかあります。
観光ビザ免除の概要
タイの観光ビザ免除は、免除の対象となる国の一般旅行券を持っている人が、観光目的でタイに入国する場合に認められるものです。
1回の入国につき、30日以内を限度にした滞在であればビザの取得を免除されます。
免除に必要となる主な資格や条件は以下のとおりです。
在東京タイ王国大使館の公式サイトなどに掲載されている「タイと査証要件免除の協定を締結した国」の国籍を有していること
2023年4月1日以降の入国であること
入国日から数えて、パスポートの有効期限が6ヶ月以上であること
入国時、ひとり当たり10,000バーツ、1家族当たり20,000バーツ相当の現金を持っていること
30日以内にタイを出国することを証明できるものを持っていること
30日以内に出国することを証明する書類として、帰国時の航空券、電車・船・バスなどのチケットなどが挙げられます。
また、観光ビザ免除対象国の国籍、対象国以外の国籍を問わず、許可された期間以上にタイに滞在する予定の人は入国前に必ず正規の観光ビザの取得が必要です。
くわしくは、下記の『在東京タイ王国大使館公式サイトのビザ免除について』のページを確認してください。
タイの正規商用ビザ「ノンイミグラントB」の概要
この項目では、商用ビザの免除措置がない場合に取得すべき、タイの正規商用ビザについて紹介します。
内容は以下のとおりです。
ノンイミグラントBには「就労」と「短期商用」の2種類がある
ノンイミグラントB「短期商用」の資格や取得方法
ノンイミグラントBには「就労」と「短期商用」の2種類がある
タイのビザは、外交や観光以外のものはすべて「ノンイミグラント」と呼ばれ、名称の後にB・O・O-A・EDなどが付きます。
入国目的によって異なるビザの内容は、このアルファベットで区別されています。
タイにビジネス目的で入国する際に取得すべきビザは「ノンイミグラントB」です。
ノンイミグラントBは、さらに「就労・ワーキング」と「商用」の2種類に分かれています。
ノンイミグラントBのそれぞれの内容は以下のとおりです。
就労・ワーキング:タイで就労をともなって長期滞在するときに取得する
商用:事業提供者との会合・商談などを目的とする短期出張のときに取得する
ノンイミグラントBの商用を取得してビジネス目的でタイに滞在する場合、期限は30日以内と考えた方がいいでしょう。
なぜなら、ノンイミグラントBの商用ビザで1ヶ月以上タイに滞在するケースでは、就労・ワーキングとして扱われる場合があるからです。
ノンイミグラントB「商用」の取得方法
ノンイミグラントBの商用の取得申請ができるのは、本人か「20歳以上の日本国籍でグループ会社を含む同会社の社員」による代理申請のみです。
代理申請する場合は、委任状・顔写真付きの社員証・代理人の名刺のコピーなどが必要になります。
ノンイミグラントBの商用の概要は以下のとおりです。
入国目的:短期商用
入国回数:シングルは1度だけ、マルチプルは入国回数に制限なし
有効期限:発行日から、シングルは3ヶ月・マルチプルは12ヶ月
滞在可能期間:シングル・マルチプルともに入国日から90日以内
申請料金:シングルは10,000円・マルチプルは22,000円
主な注意事項は以下のとおりです。
提出した航空券または航空券予約確認書の入国日に必ずタイに入国すること
入国後に滞在期間を延長したい場合は、タイの入国管理局への申請が必要
申請時に提出した書類は返却不可
申請時に支払った申請料は返金不可
書類不備の場合、申請を拒否される可能性がある
ビザ発給の可否に関する理由については回答されない
虚偽の内容での申請、詐称などが発覚すると永久に申請を受け付けてもらえない可能性がある
申請場所については、申請を行う人の住所によって異なります。
申請には事前予約が必須になっており、専用の予約システムから必要書類がそろう日を予測して予約する必要があります。
追加の提出書類が不要であれば、通常、3~4日程度で届くようです。
タイの商用ビザ免除|まとめ
タイの内閣の閣議決定により、2024年1月1日から日本人の商用短期滞在で必要だったビザが免除されることになりました。
これにより、これまでグレー扱いだった観光ビザ免除を利用して短期出張を行う必要がなくなりました。
タイの観光ビザ免除を利用した短期出張は、数こそ少ないものの、実際に摘発された事例があるので不安に感じていた人も多いでしょう。
2024年からはビジネス目的の短期滞在であっても、大手を振ってノービザで訪問できます。
ただ、免除期間は2026年12月31日までであることだけ注意してください。