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昨日
昨日誕生日を向かえたワタルが目を覚ました場所は身に覚えのないベッドの上だった。
時刻を確認しようと携帯を探すが見当たらない。
昨日の事を思い出そうとしてみても頭がガンガン痛むだけで記憶は戻ってこなかった。
とにかくここがどこかを理解するため部屋の中を探ることにしたワタルはベッドから降りた。
ネチャ
不快な音と感触が足に走る。
下を見るとそこには真っ赤な血だまりができていた。
『うわあああああ!』
ワタルは思わず尻餅をついた。
するとその血だまりの奥に女性が倒れているのが目に入った。その女性に近付いて顔を確認したワタルはぎょっとした。
ワタルの恋人だったのだ。
『エリ、エリ!起きろ!エリ!』
何度呼び掛けてもエリはピクリとも動かない。
ワタルは必死に記憶をたどる。
昨日は誕生日のお祝いをしてくれるとエリにホテルに呼び出されて一緒にディナーをした。シャンパンを開け乾杯し、美味しいコース料理を一通り食べ終わった後取っておいたと言う部屋に入った。
少し飲み直そうとなり再び赤ワインで乾杯したところで記憶は途切れている。
その時だった。
『うーん…』
エリが声を出した。
『エリ!大丈夫か?!起きれるか!?』
エリは頭をおさえながらゆっくりと起き上がってワタルの顔を見ながら言った。
『だめ、すっごく頭痛い。もう一生お酒飲まない…。』
そういえばこの血だまり、変な匂いがする。
ワタルはそう思って安堵した。
『吐くまで飲むのはやめような。』
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