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カブトとクワガタ

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短編小説です。 連載感覚で投稿します。
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#二人組

カブトとクワガタ 2

カブトとクワガタ 2

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“お客様にご案内致します。

この飛行機は間も無く降下を開始致します。

着陸に備えまして皆様のお手荷物は上の棚などにお入れ下さい。”

新千歳空港行きの飛行機の中で機内アナウンスが流れた。

『マズいな』

兜の隣に座る丸メガネをかけたこの男、鍬形(くわがた)は眉間にシワを寄せながらそう呟いた。

先程の氷は好きか、という謎の質問から氷の魅力について嫌というほど聞かされた兜はまたくだ

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カブトとクワガタ1

カブトとクワガタ1

兜は少々気が立っていた。

仕事をする時はいつも一人で全てを行う彼にとって
バディを組まされることはストレス以外の何ものでもなかったのだ。

隣に座る丸メガネの男に目をやり、兜はまた一層憂鬱な気分になった。

第一こいつは、顔が目立ちすぎる。

尖った鼻に堀の深い顔面はヨーロッパ人を彷彿とさせる見た目であった。丸メガネで顔の印象を和らげようとしているのだろうが、あまり効果的であるとは思えなかった。

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