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羽田空港地上衝突事故考察のための基礎知識① 航空機と管制

今回の事故では管制官と航空機のミス・コミュニケーションがしきりに言われている。しかし報道等では航空機と管制(管制官)の関係性が曖昧であり、一般の方々にはわかりにくい。
ここが整理出来ていないと、今回の事故原因につながる大きな部分が本当の意味で理解できないであろう。


管制の役割

簡単に言うと、空域、離発着、空港内の航空機の交通整理である。

飛行している航空機はそれぞれの空域を管轄している管制塔にコンタクトして指示を受ける。
これは太平洋上や大西洋上などを飛行していても、管轄の管制を受けている。国内空域でも、それぞれの管轄の管制を受ける。
それぞれ、 Approach Control、Departure Control、Air Route Traffic Control Center、Ocean Area Control等がある。

離発着はご存知のとおり、各空港の管制塔(管制官)が離発着の航空機を整理して指示を出す。これが一般的に認知されている管制塔の仕事である。(Tower Control)
空港によって周波数が複数ある所、ひとつしかない所など空港による。

空港内の地上においても同様で、駐機場から動く時も、プッシュバックする時も、逐一許可を出す。
Ground Control 、一般的に「グランド」と言われる管制。

航空機と管制の関係

航空機は管制の指示(許可)がなければ、1ミリも動けない。
駐機場から出る時、プッシュバックする時、ゲートから出る時も全てGround Control から許可を受ける。

離発着も当然、離陸許可、着陸許可が必要。
飛行中に着陸許可が受けられない場合には、ずっと飛び続ける必要がある。

滑走路に進入する時も、必ず許可が必要である。
これがなければ滑走路手前で停止して許可を待たなければならない。

一般的には誘導路(Taxi Way)までを Ground Controlが担当する。
滑走路進入から離陸は、Tower Control に引き継がれる。
着陸の場合は逆の順番になる。

管制の責任

航空機の離発着、地上移動、空域進入、空域離脱等、航空機の全ての移動に責任がある。
交通整理役である以上、安全管理の徹底も含まれる。

機長の責任

機内の全ての責任は機長にある。
機の安全管理はもちろん、乗員乗客の安全諸々の責任は機長に帰する。
法律の建付けはそうなっているが、不可抗力の事も発生する。

管制と航空機の交信

事故の交信記録が公開されているが、ここで見落とされている事がある。
航空機は、一つの周波数しか受信していない」 ということだ。

出発機は Ground ⇒ Tower ⇒ Departure と指示された周波数に切り替えながら移動する。
着陸機は Approach ⇒ Tower ⇒ Ground と指示された周波数に切り替えながら移動する。

国土交通省から公開された交信記録では、Ground と Tower の交信が一緒にされてしまっている。
これでは原因究明を混乱させる材料になってしまいかねない。

最後に整理しておきたいこと2点

航空機はひとつの周波数しか受信していない。
つまり、Ground 受信中はTowerの交信は聞いていない。

管制の指示なく動く事は出来ない。
つまり、滑走路に進入許可なく入る事はない。

羽田の事故では許可がおりたと勘違いして滑走路に誤進入とされている。
そこが筆者には非常に不可解な点である。

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