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「二度と会うことはあるまい」(2022年9月)

●9月3日/3rd Sep
本日は関東の桐光学園で講演。この学校は「大学訪問授業」という名物プログラムがある。現校長の中野先生を中心に2004年から続いているプログラムで、毎回講師で呼ばれる方々が豪華なことで有名。
 2007年度からは講義内容が書籍化されて、20刷を超えるぐらいのベストセラーになっている。(ちなみに昨年は表紙に大友克洋のAKIRAが使われていた)
 今年の講師もドミニク・チェンさんはじめ豪華なメンバーで、「まなざしの革命」の帯を書いてもらった山極壽一先生や、先日岡山で鼎談した「くらしのアナキズム」の松村圭一郎先生など、ご一緒したことある方々も。
 他にもこんなに豪華なメンバー。夏目房之介/枝元なほみ/ドミニク・チェン/三砂ちづる/田中真知/米澤泉/鷲谷いづみ/山極壽一/詫摩佳代/北村妙衣/内田亮子/松村圭一郎/高谷幸/ハナムラチカヒロ/住吉雅美/安藤宏/酒井邦嘉/重田園江/廣瀬陽子/中山智香子/小林武彦
 こんな中に並べていただき光栄なこともあるが、中高生に話すことに飢えていたので、大人に対しての講演よりも俄然やる気になる。
 スライドも今回用に半分新作を用意して、直前までセリフとスライドのタイミングの調整を重ねて万全の準備で本日臨んだ。まなざしのデザインと革命の両方合わせた初卸し作品。冒頭にマジックの手法も披露した。
 60人くらいの中高生を前に講演1時間くらい、いい感じに話せたので質問も出るかな...と思っていたが、ずっと手が上がりっぱなしで、結局質疑の方が長くなるくらいの盛況だった。
 同じ生徒たちが何回も質問したり、大人は絶対に聞かないような本質的な質問が飛んできたりと、とてもいい時間を過ごせた。だんだん生徒たちがまえのめりになってくれるので、質疑応答ではつい世間一般では話してはいけないようなことも口走ってしまう。
 終わってから理事長や校長たちと昼食取りながら話をしたが、やっぱり大学以前の教育が本当に大事だと心より思う。後日、今年のこのプログラムが書籍化されて左右社から出る予定。
 「まなざしの革命」を中高生たちに直接話できて本当に良かったと噛みしめながら品川まで戻る。せっかく東京なのでもう一泊して誰かと会ってともと思ったが、感無量なのでこのまま引き返す。

●9月5日/5th Sep
少し時間過ぎましたが、上弦の月の今夜、「まなざしの革命放送シーズン2」の新しいエピソードをアップしました。昨日、神奈川で中高生に講演した時に感じたことと、大学での教育を通じて感じていることなどを交えて、中高生の教育について少し考えてみます。

「まなざしの革命放送シーズン2」
vol.023 子供を教育してはいけない

先日、中高生に講演をしてきた際に感じたことを手がかりに、子供の教育について考えてみます。我々大人がどのように子供に接すればいいのか。子供は我々大人をどのように見ているのかについて少し掘り下げてみます。

●9月7日/7th Sep
もう一年以上経ったが、前大学のハナムラゼミの卒業論文をWebサイトに先日アップした。マネジメント学類の学生たちということで、社会現象との関わりがあればどんなテーマでもいいということにすると、多種多様なものになった。

・取り組みと運営主体から捉えた自治体アンテナショップの現状と在り方に関する研究
・食パンブームの実体から捉えた、ブームと仕掛けに関する研究
・マンガ「鬼滅の刃」のヒットに見る現代の時代性に関する考察
・定額制音楽配信サービスとSNS の相互作用にみる日本の音楽流通に関する研究
・東京ディズニーランドにおける風景モデルから捉えた世界観の演出に関する研究
・感染症映画と現実のパンデミックの比較分析と考察
・ジャニーズ事務所のプロデュースに見るグループと個人の個性化に関する研究
・バリ島における観光開発の時代的変遷に関する研究

いずれも、僕自身の風景異化論やまなざしのデザインが踏襲されているような面白い論文に仕上がっている。それぞれ研究手法を構築することに結構時間を費やしたのだが、好きなテーマであれば学生たちは時間をかけて膨大なデータを集めてきた。一年間でジャニーズや鬼滅の刃やディズニーなどに詳しくなったので大変勉強になった。
新大学ではどちらかというと理系の学生を見ることになるだろうが、どんなテーマが持ち込まれるか。生命表象学の枠組みでいえば理系も文系もないので、その少し仕込みをしておく。


●9月7日/7th Sep
そもそも大人が嘘ばかりついているのに、子供に嘘つくなと言えるのだろうか。子供は大人の嘘を鋭く見抜いている。そしてそれに付き合っているうちに、同じように嘘ばかりつく大人になるのだろう。
「まなざしの革命放送」の新しいエピソードでは「子供は教育してはいけない」と少し挑発的なタイトルにした。全ての大人にしっかり聴いて欲しいと願う。


●9月9日/9th Sep
 この20年ほどの自分の仕事と足跡の整理をし始めている。元々アーカイブマニアであることと、2018年12月31日に終演を迎えた我がアトリエでの「3850日の演劇」のアーカイブが訳10年分あるので、ほぼ正確に自分が毎日何をしてきたのかの足跡を辿ることができる。
 それを踏まえて思うのは、我々は長く生きることが出来てもせいぜい3万日程度であり、毎日の足跡がそのまま人生であること。アトリエの看取りの日に張り出した10年分の全日アーカイブは壁一面になったが、それが8面ぐらいで終わりだ。
 時間の問題については2018年に千葉市美術館で制作した「地球の告白」でも問題にはしたが、人生というのはあっという間に終わる。だからこそいつ死んでも良いように毎日をしっかりと生きることが大切だと改めて思う。

●9月10日/10th Sep
 中秋の名月に相応しい満月の晩です。月のリズムで配信しているポッドキャスト「まなざしの革命放送」第二シーズン。今回の話題は、皆さんに身近な話題というより、少し自分のことについて話してみようと思います。
 僕自身は色んなことをしているので、何やっているのかよく分からないと言われることばかりなのですが、実はその背後には大きな補助線があります。これまであんまり語らなかったことについて少しだけ共有してみようと思います。
 バラバラに見える研究や表現の裏には、一体どのような共通した考えがあるのか。それは我々の人生とどのように関係しているのか。なぜそんなことをするのか。僕が提唱している「生命表象学」の話をベースに、生命、意識、宇宙などについて少し考えてみます。
 
まなざしの革命放送 第二シーズン
vol.024遺書のように研究の全体像を語る

今回はハナムラの研究やアート表現の全体像を遺書的に語ってみます。ハナムラは10年ほど前から「生命表象学」という学問を提唱していますが、この世界では目に見えないものが見えているものを生み出すと考えています。生命が持つ意識とは何か、意識は脳が生むのか、物質以外の存在はこの宇宙にあるのか。今の科学ではグレーゾーンになっている部分について少しだけ触れてみます。

●9月12日/12th Sep
 権威とは権威を守ることがその唯一の仕事であり、それによってあらゆることを正当化する役割を果たす。その権威が崩壊する時が革命なのだろう。世界で最も大きな権威が終わったことになったので、戦争は次のフェーズに入ったのだろう。

●9月12日/12th Sep
 おそらくだが、ここで繋がっている人のほとんどは、もう二度と会うことのない方々ばかりだろう。短い一生の中で人と人との関係とは、ほんの一瞬だけすれ違うだけの儚いものだ。それは親子であっても夫婦であっても、敵味方と指差し合う相手であっても同じだ。互いが永遠にその関係でいることなどあり得ない。
 だからこそ一期一会の中で紡がれる時間は貴重であり、すれ違う時間が互いにとって豊かであろうとすることが大切なのだろう。あっという間に時が過ぎるのであれば、罵り合うよりも慈しみ合う方が豊かではないか。
 それは自分という存在も同様で、常に自分は過去へと流れ去っていく。今この瞬間を豊かに過ごせないのに、どうして次の瞬間を豊かに過ごせるだろうか。我々は日々何かに追われるのだが、本当は何にも追われてはいないし、追いかけなくても勝手にやってきて勝手に過ぎ去っていく。今を生きることしか出来ないからこそ、今をしっかりと生きねば。

●9月13日/13th Sep
 これまで孤独にやってきたので、あまり学内の研究者と積極的に話してこなかったが、意見交換の場で意見を求められたので少し掘り下げて考えを述べてみたら、あまりの認識のズレにおののいてしまう。
 予算がどうとか、文科省や市民への説明がどうとかいうことよりも、この社会や文明がヤバい状態になっているという話の方が議論すべき本質的な問題だとは思うのだが、僕が抱いている感覚があまり響いているように感じられなかったことに少々諦観してしまった。
 本質的な議論をすると100年先になっても終わらないという意見も聞こえてきたが、それは反対だ。本質的な議論を100年前からちゃんと紡いで来なかったから、今の社会がこうなっているのではないかと。終わらないという理由で始めもせず、まだ先送りするのだろうか。
 少なくとも今の社会に問題を感じていないわけではないと思うのだが、問題の原因を短絡化して、解決の方向を決め込んで、その技術的なソリューションだけを議論するモードから抜け出せないのであれば、ここで口を開く必要がなくなるだろう。もう少し頑張ってはみるが...

●9月14日/14th Sep
  僕のゼミを卒業した教え子が研究室を訪ねてきた。今後のことについて相談したいということで話を聞くと、就職して半年で会社を辞めて友達の起業した会社に移り、さらに半年でその会社も辞めて、その後TikTokとかでフォロワー増やして知名度上げたらビジネスになるかもと思ってやってみたが上手くいかず、次に何をしたら良いか分からないという。
 色々とヒアリングしながら、どういうところに適性があるのかをランチ挟んで4時間ほど一緒に考える。一つの物事を長続きすることも出来ないが、やりたいことも特にない。何者かにはなりたいと思っているが、その中身が何かは分からない。事業を始めてお金を稼ぎたいけど、何を提供するのかは定まっていない。地道なことはやりたくないけど、他人に喜ばれることをしたい。何もメッセージはないけど何かを申す人間になりたい。そんな感じだった。
 健康で頭脳もある若い青年が自分のことしか考えられない状況に色々と思うところあったが、ひとまず社会との向き合い方、自分との向き合い方として、この方向かなというアドバイスはしておいた。後はどこまで本人が頑張れるか。素直なところが取り柄だが、社会の成功モデルをそのまま受け入れてしまう危うさがある。ゼミでは再三疑うことを教えたつもりだが、素直なことが今の社会では裏目に出ることがある。
 おそらくこうした感覚の若者は彼だけではなく、その背後には何万人もいるだろう。そしてどうしていいか分からずに悩んでいる。これは個人の問題でもあるが、同時に社会の問題が重なっている。なので革命放送で「働くこと」について取り上げてみてもいいと感じて、話してもいいかと彼に尋ねると全然問題ないと言ってくれたので、一度考えてみようかと。

●9月16日/16th Sep
  自分が左利きで良かったと感じるのは、右の松果体が優位になっていることか。小さい頃から幾度となく右利きに矯正されようとしたのをことごとく拒否して来たのは、何か無意識的に違和感を感じていたのかも知れない。

●9月17日/17th Sep
  今夜からしばらく瞑想期間に入る。外界の情報を遮断するため連絡取れません。

●9月26日/26th Sep
  瞑想修行を終えて俗世間に戻る。これから新しい生活が始まる。

●9月27日/27th Sep
 これまで積み上げて来たものが一度全てリセットされる瞬間が革命だ。これまでのものを否定して革命が起こるのに、今度はまたそこに新しく何かを積み上げてしまうと、またどこかで破綻して大きな革命が起こる。だから新しいものを積み上げないためには、常に革命を起こし続ける必要がある。その日々の革命こそまなざしの革命なのだろう。

●9月29日/29th Sep
 我々の問題の8割くらいは本当は心の問題だ。物質的な問題は2割くらいにも関わらず、世で掲げられる解決方法の8割くらいは物質的な方法になっている。何割という正確な数値はともかく、心の問題を解決する方法には偏りがある上、真の問題を理解しないまま提示される方法では解決には至らないのだろう。提示する者たちの心の問題が解決しているわけではないのだから。

●9月30日/30th Sep
 岡山のアーティストの金考姸さんにハナムラもタグ付けしてもらいましたが、9月30日より「岡山芸術交流2022」という現代アートのイベントが行われています。
アーティスティックディレクターにタイの現代アーティストのリクリット・ティラヴァーニャが起用され、彼のオイルドラムステージという作品も展示されています。
これは彼の社会彫刻の考え方を表現する場で、市民や様々な表現者がこのステージで出来事を繰り広げることで完成します。岡山の伝説のライブハウス「ペパーランド」のオーナーの能勢伊勢雄さんにお声がけ頂き、ハナムラも11月22日に作品を作る予定です。
タイトルは「わたしと居た時間はほんのわずかかもしれないけれど」という作品で、今回新しく作るつもりです。
 平日の昼間の岡山ですので、実際に足を運ばれるのが難しい方ばかりかと思いますので、ライブ配信も検討しています。まだ会場を見に行けてませんが、実際に会場に行くと今考えているプランがどういう感じで変化するのか今から楽しみです。


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