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Paris日記
初めまして。今日から、気が向いたらここにパリでの生活で起こったことや思ったことを書こうと思う。ずっとブログは書いていたけれど。
どうしても、ブログでは、ついつい当たり障りのない文章になってしまう。誰も傷つけず。誰のことも批判せず、名指しせず。
明るい雰囲気を保ちたいと思うと。なんだか、今日もいい天気ですね・・・・・という程度のことしか書けなくなってしまう気がして・・・・。
もっと深く考えていることも書きたいとは思っても、それはブログではないなと前から思っていたのです。ここは、とてもシンプルな作りで、賛同できるシステムのようなので、実験的にここで書いてみることにします。
登場人物
フランス人夫・編集者・カメラマン・作家
私 音楽家・フランス在住25年の日本人
***
昨晩は夫と映画の話で盛り上がってしまった。
彼が好きな映画はだいたい60年代とか古い映画。
この場面がたまらないんだよ!なんていうのを
ユーチューブの数分だけの場面など見ながら、
いろいろ話して面白かった。(昨日見たのはアントニオーニ監督の映画)
もう直ぐ彼が書き上げた本が
出版されるので、その中に引用した箇所とか。
いろいろ話してくれて、すごく感激した。
もう随分長い付き合いと思っているけれど、この人の頭の中にはまだまだ知らないことがたくさん隠れている。彼の好きなファッションや映像構成のルーツともいうべき映画の場面など見せられて、
「なぜ今まで見せなかったのよ」とも思うし。
こうして10年たっても、20年たってもへー、そんなこと考えていたの!?うっすらとは聞いていたけど。知らなかった!と、驚かせる相手と一緒に暮らしているなんて、なんて楽しいのだろうと思う。
小説などではないです。
彼はカメラマンでもあるので。
写真が主な芸術系の本。
本の文章を書いている最中は、すごくテンションが高くなっているし。
集中しているから、本人が話したがらなければ余計なことは言わないように気をつけているし。
原稿を覗き込んだり、見せてと言ったりもしない。そういう、尊敬の念や相手とその創作意欲を大事にする感覚みたいなものが一致していないと、親友やカップルは難しかろうと思う。相手を邪魔しない術を知っていると、いろいろうまくいく。
すごく煮詰まっている時に今、煮詰まっているんだよね。と、言ってくれれば、それはそれは・・・なるほど。と、理解できるので、さらに邪魔しないようそっとしておく。きっと全く違う業種の人でも同じだと思うのですよね。今、大まかに言うと、こういうことが起きていて、煮詰まっているんだよね。と、パートナーに話してくれさえすれば、大抵、女性はそれは大変だ!と、すごく優しくしてくれると思う。世の男性はあまり仕事の話をしたがらないけれど、すればいいのに・・・・と思います。
私は本作りは専門ではないから、
まさか、アドバイスなんていうほどのことは
できるわけがないと思っているんだけど。
音楽家だからこその、センスというのがあるから、意見を聞かせてよ。と、例えば表紙はどっちがいいかな。なんていう意見はすごく本気で聞いてくれる。その真剣さは、すごく誠実で、私だけではなくて、例えば私の友人とか、いろんな世代の職業の人の意見を聞く時、彼は絶対に相手の意見を馬鹿にすることがない。そういうところが素晴らしい人だなと思う。
私は、いろんなことはダメダメで。
すぐコップも割るし。ものは落とすし。
お掃除をすればあちこち埃は残っているし。
お料理していても、ちょっと失敗するとめげて
「助けて〜」と呼んだりするし。(mの方が料理上手)
と、いろんなことはへなちょこでポンコツだけど。
ある種の頭の整理みたいなことはすごく得意。
だから、本の構成の話などを聞くと、できるだけ話を聞くことに集中して
意見は言わないけれど。ほほー、こういう風にしようとしているわけだね。と、私の拙いなりの理解をしながら、仏語で話しているから必然的に、私は簡単でシンプルな言い方で、自分の頭に入れようとする。
そうすると、それを聞いているmは、そうそう。つまりは、そういうことなんだよね。と、イライラせずに、私の頭の中でまとまろうとしている自分の本のことが、客観的に見られて、急に何かをひらめいたりもするようなんです。
こんな風に、言葉やアイディアのキャッチボールしながら、夜が更けていくなんて、なんて楽しい人生だろう。
・・・・と幸せを感じた夜だった。
のろけたいのではなく。誰でも、ああ、こんな風に誰かと意見を分かち合って、意気投合して会話をするって素晴らしい。と、思うことが時々あって。それは親友のこともあれば、母や姉のこともある。
それは、例えば、どこかで大変な思いをしている人たちにとっても同じことで。誰かが病気とか、何か大きな問題がある時にも、こんな風に何かクリエイティブで、芸術的なことや文章のアイディアなどを思いついて話し合ったり。楽しい映画を見たり、良い主題の文章を読んだら、じんわりと暖かい気持ちになれる。そういうことが一番大事なんじゃないかなと思った夜でした。