Safety, tolerability and efficacy of up-titration of guideline-directed medical therapies for acute heart failure (STRONG-HF): a multinational, open-label, randomised, trial
いくつか入っている勉強グループ (?)のうちの一つに流れてきたやつ。面白そうだったので読んでみました。https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)02076-1/fulltext#
心不全治療薬をどのくらいのスピードで増やすかっていう話。
β-blocker、ACE-I (またはARB, ARNi)、MRAを急性心不全の入院後早期に開始して漸増
多国籍・多施設共同非盲検前向きランダム化試験
予測された退院の2日前以内にβ-blocker、ACE-I (またはARB, ARNi)、MRAの最初の調整を行う
MRAは少なくとも最適容量の半分
割付後2週間後に最適容量まで漸増。安全性から漸増できなかった場合は追加で1週間後に再評価。6週後に再評価する。
利尿薬はNT-pro BNPを見ながら必要に応じて使用
sBP<95 mmHg, K>5 mmol/L, eGFR<30のいずれかの場合はCE-I (またはARB, ARNi)、MRAは増量せず
HR<55 /min, sBP<95 mmHgのいずれかの場合はβ-blockerは増量せず
NT-pro BNPが退院前より10%以上高い場合はβ-blockerを増量せず、利尿薬増量を検討
90日後、180日後にアウトカムを評価
Primary endpoint:180日間の心不全再入院、全死亡
2018/5/10~2022/9/23までに1641人をスクリーニングし、1085人を割付
高強度治療群:542人
通常治療群:536人
通常治療群では高強度治療群に比べてfull doseまで行けたのはわずか
研究時点でSGLT-2iは推奨薬に勿ったが、90日目で高強度治療群の10%、通常治療群の5%で導入
180日目までの再入院、全死亡は高強度治療群 vs 通常治療群 15.2% vs 23.3% HR:0.66 (p=0.0021)
EFによっても結果は変わらず
有害事象は高強度治療群で多いが (41% vs 29%)、重篤な有害事象に差はなし (16% vs 17%)
<Limitation>
2度プロトコル修正が行われている
180日後の評価を追加
Primary endpointの評価を90日目→180日目に変更し、対象患者を900人→1800人に
1069人の割付時点の解析でDSMBの勧告に従い研究を終了した。
日本の心不全ガイドラインでもできるだけ増やせ!って書いてあります。この結果だけ見るとガンガン増やしていくのすげえ!ってなりますけどどうなんでしょうね。通常治療群は容量足りてない人が多すぎるような気もします。
それと、高強度治療群では退院後1ヶ月に平均5回程度受診が必要みたいで (β-blocker漸増のためにはしょうがないと思いますが・・・)、なかなか誰でもできる治療、というわけではなさそうですね。入院中にどんどんふやしておきたいですね。まあそれはそれとして、医療者の意識としては耐えうる限りとにかく早く増やして行く、っていうのが大切そうです。
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