同人誌装丁のまとめ&振り返り【2024年】
文学フリマ東京37(2023/11/11)に一般参加し、「同人誌を作ってみたい!」と思い立ってから早いもので1年が経ちました。色々と手探りの中、4冊も作れたのはひとえに楽しかったからですね。忘備録も兼ねてまとめてみます。
はじめに
小説本文は全て創作おTipsさまのこちらのテンプレートを使用しています。セクション区切りとかヘッダーとか、いちからやると面倒だったり構築するまでにかなり時間がかかる(そしてぐちゃぐちゃになって分からなくなる)ので、とっても助かっています。
基本的にはそのまま使用しているのですが、手元にあった市場に流通している小説を参考に42字×15行に変更しました。
ただ、掌篇集や短編のように息継ぎしながらゆったり読む分にはゆとりがあってもいいのですが、「魔女の篝火」は映画のように流れを止めず読んでほしいのもあり、増刷時に42字×16行へ変更しました。それでも余裕はあるので、ノド側の余白をもう少し詰めてもいいかもしれないですね。
表紙はUnsplashのものを加工しています。奥付にはその情報も載せているので元の画像やそのクリエイターの他の写真も見てください。
その他の飾りやパターンはTOPECONHEROESさまのものを使用しています。本当にいろんなデザインがあって助かってます。
・飾り枠(フレーム素材) ・罫線(ライン素材) ・パターン背景 ・レース
①琥珀色の教室
すべてが初めての経験だったので、noteやTwitter(現X)を見ながらなんとか形にしました(ほとんど先人の真似をしただけですが)。表紙作製についてはAdobe製品を持っていなかったのでAffinity製品を使用しています(Adobeはサブスクリプションなのに対してAffinityは買い切りです ※執筆時点)。色々できることは制限されるそうですが、元をあまり知らないので特に困りませんでしたね。
表紙をキラキラさせたり文字を光らせたりしたかったのですが、そういう難しいことは分からなかったので表紙をマット加工にしてもらいました。手触りが良く落ち着いた雰囲気になる反面、少しでも擦れると跡になったり指紋が残ったりと扱いが難しい印象です。
②Re:tuneリメイク
自サークルのメインコンテンツの一つとして作成した「小説の執筆過程を読める本」です。イラストで言うところのタイムラプス動画のようなものにしたかったのですが、前例が少なく本の形に落とし込むのは結構大変でした。
ただ、自分の中にあったイメージが「参考書」だったので、そのレイアウトを参考にしながら作りました。表紙のレザック(表面に革製品のような皺加工が施されている厚手の紙)は問題集や文集の雰囲気があって気に入っています。ここはその質感を残したかったので文字だけのモノクロ印刷にしました。
カラーページを入れると急に高くなるんですね。そうとは知らずにカラーページを作ってしまい(モノクロにすると成立しない+修正していると納期が間に合わない)、次からはモノクロで成立する原稿にしようと決めました。
③魔女の篝火
「村を焼くなら」という診断メーカーを使って書いたものです(内容についての詳しい話は こちら で読めます)。3万文字を想定して書き始めたらいつのまにか11万文字を超えてしまったという自分でもびっくりする本になってしまいました。でも本当に書いてて楽しかったので、たくさんの人に読んでいただきたいです。
本文表紙は主人公のアリシアが持つ魔導書をイメージしながら、より紙の質感がはっきりしていて、かつ星のようにキラキラしたものを選びました。手元にある人はぜひカバーを外して眺めてみてください。
古い洋書のような装飾にしたかったのですが、自分の能力ではこれが限界でした。いつかは上製本で本当の魔導書みたいにしたいですね。
せっかく流通している小説と同じくらいの厚さになったので、表紙も作ることにしました。
背幅もしっかりあるので背表紙となる部分にタイトルも入れ、ソデにはあらすじや既刊紹介を書きました。作者近影を載せることも考えたのですが、できるだけ自分の存在は消したかったのであらすじのみとしています。
ただこのデータ作成が難しく、出力した際に余計なデータ(メタデータ?)が含まれてしまい「意図した仕上がりにならないかもしれない」と、何度も印刷会社さんとやり取りをすることになってしまいました。ここでAffinity製品のデメリットというか、使用者がそう多くないためにHOWTOをまとめている人もおらず、かなり苦戦しました。初版分はそのまま押し通し、第二版分は同じように作ったけど何も言われなかったので、実際何がダメだったのかは分からずじまいです。
また、増刷するにあたってレイアウトを調整しました。だいぶ余白が大きめだったので行数を増やし、ちょっとだけ詰めています。それだけでも10ページくらい削減できるもんなんですね。
④循環する言葉たち
ここまで書き下ろしを本にしてきましたが、まだイベントへの参加も少なく知名度がないため、いざスペースを訪れても「どれを読めばいいか分からない」といったことが発生しないよう、自己紹介がわりの掌編集を作ることにしました。どれも発表済みのものにはなりますが、再度推敲をして表現やレイアウトを調整しています。ただ、元の雰囲気が損なわれないようバランス見ながらやりました。
作品はジャンルが固まらないよう幅広く、似たようなネタやギミックが重複しないようにしました。季節ごとに2編、その間に季節を指定しないものを4編+1挟んで計13編としています。
表紙を見てもわかる通りだいぶ作るのに慣れてきた感じですね。文字の配置や雫、水滴などはちょっと凝りました。ただ本文用紙を間違えて書籍用紙ではなく上質紙にしてしまったのでちょっと後悔しています。入稿は時間に余裕を持って内容を丁寧に確認して行いましょう(自戒)。
⑤おまけ
作品が増えてきたので無料配布用にパンフレットを作成しました。簡単な作品紹介と限定SSを載せています。夏、冬のタイミングで内容を更新するのがいいかなーという感じです。
うっかりたくさん刷ってしまったので、イベントで見かけたらどんどん持っていってほしいです。
おわりに
人生で初めて自分が書いた物語を物質にして、それをいろんな人にお迎えしていただけて本当に嬉しいです。本当にありがとうございます。
まだ試せていない装丁もたくさんあるので、来年はいろいろ試したいですね。特に箔押しやってみたいです。データの作り方が全くわかんないけど。
作品についても、来年5月の文学フリマ東京40に合わせてリメイクがひとつ進行中、現在連載中の「村焼き(仮称)メイキング」の製本、その「魔女の篝火」の続編などなど、書きたいものや作りたいものがいっぱいあるので、来年も頑張ります!
今年一年お疲れ様でした!
みなさんの読書時間がより素敵なものになりますように。