【詩】わたしの中の「わたし」という存在を考える
あるとき わたしはこれが「わたし」と気づいた
気づけばここに「わたし」がいた
わたしはどこからきたのだろう
なぜこの「わたし」が選ばれたのだろう
この「わたし」に気づく前 きっとわたしはこの「わたし」にはいなかった
では あるときわたしは
ふっとこの「わたし」の中に生まれたのだろうか
「わたし」というからだが先で
わたしという中身はあとからくるものなのか
そうなると気になるのは
わたしは前どこにいたのか ということ
きっと「わたし」にくるまえ
どこかに控えていて
あることをきっかけに「わたし」のもとへ
やってきたのではないか
それは すぐ前まで地球上のどこかで
生きていた「だれか」の中
あるいは だいぶ前に「だれか」から別れを告げ
空のどこかでしばらく休んでから
ここだ と思って
いや もしかしたら この「わたし」でわたしは誕生し
いずれは完全に 無 になるのか
できれば その「いずれ」がきても
わたしはいなくならないでほしい
ずっと「だれか」の中を渡り歩いてきて
今 何度目かの「わたし」への到達でありたい
真っ白な状態で次に行くでかまわないから
いずれその時がきたら
消えずに次に行かせて欲しい
今 隣で寝息を立てる2歳の我が子には
もう「わたし」と思う存在が中にいるのだろうか
まだ 誰がくるか検討中だろうか
近い未来に確実に来てくれる「だれか」が
この「わたし」にきてよかったとなれるよう
からだも こころも 抱きしめ続けたい