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過ぎ去りし時を求めるべきだったのか


※本記事は『ドラゴンクエスト11S』のネタバレを大量に含んでいます。ご自衛の程よろしくお願いします。


 先日ドラクエ11Sを終えまして、レビューも投稿したのですが

今回はこのレビューでも言っていた、過ぎ去りし時を求めたことに対して私が否定派寄りであった理由を吐き出そうかと思います。上のレビューを読んでくださった方の中にも私と同じくモヤッとされた方もいらっしゃったようで、これは意外と否定派も結構いるのでは?と思ってしまいました。

なんで時を戻したくなかったのか

 こちらの記事で書いた内容と少し被ってしまうのですが、私は最初に忘れられた塔のイベントを見た時に、仲間たちと永遠の別れになってしまうと感じました。時を巻き戻した先にも同じ仲間はいますが、六軍王やウルノーガを一緒に倒してきたという思い入れがある彼らではないからです。特に私が引っかかっていたのは、セーニャの独り立ちが無かったことになってしまったこと。そのきっかけがベロニカの死であったことはあまり良いきっかけとは言えないのですが、ベロニカがいなくなってからのセーニャは本当に頼りがいがあってかっこよかったんです。

 じゃぁ結局最終的には別人だったのかというと、なんだかそれも違うようなシーンがたくさんありました。「前にもこういうことがあった気がする…」的な発言があまりにも多かったことから、本人たちが世界ごと巻き戻ったという見方が正しいのかもと思いました。完全になかったことにはなってない……?でもそれなら「また会えたな!」って心から再会を喜びたかったし、皆にそういう経験をしたことを思い出して欲しかったです…。ベロニカにもセーニャ頑張ったんだよって知ってほしかった。

時を巻き戻して何が変わったのか

改めて書き出してみましょう。私が感じたことも添えて。まずはメインメンバーから。

カミュ
→マヤイベントが大きく変わった。マヤがウルノーガに利用され六軍王キラゴルドになることなく、あっさり勇者の力で黄金化が解かれることとなった。兄貴に置いていかれたという寂しさをマヤが感じずに済んだといえばそうだけど、私は「黄金なんていらない!」とちゃんと黄金への価値観を正した一周目の方が良かったと感じた。

ベロニカ
→死亡回避。ベロニカに関しては完全に二周目の方が望ましい結果ではあった。一周目の散り際はかなりかっこよかったですけどね。やっぱり死んじゃうのはダメ。
セーニャ
→姉の死亡回避により、魔法が回復魔法メインのままとなった。前述したように姉の死によって、姉依存からの脱却、自立、そしてベロニカの攻撃魔法の引き継ぎが無くなってしまった。それまでサポートに徹していたセーニャが、攻撃魔法を覚えて最前線に出てきた時は、強くなったなぁと感動すら覚えた。それが無かったことになってしまったのが1番残念だと感じた。

シルビア
→父親との和解がかなりあっさりに。世助けパレードの存在がなくなり、ナカマ達との繋がりが無かったことになった。………けどれんけい技で呼べるのはなんで?
マルティナ
→六軍王ブギーイベントが無くなった。滅んでいないデルカダール王国で父親と再会できた。こちらもシルビアと同様にデビルモードのきっかけが無くなったはずだが、二周目もちゃっかり使える。一周目ではデルカダール王国は魔王軍に占拠され、王国の住民が最後の砦(旧イシの村)に避難するほどだったが、二周目では王国は無事。マルティナも時を巻き戻して良かった人かもしれない。
ロウ
→ニマ大師が亡くなっていないので冥界に行かずに済んだ。リスクを負わずに済んだという点では良かったのかも。修行していないはずなのに二周目もグランドクロスが使えてしまう。エレノアとアーウィンのイベントは変更なく、1番「あーまたこのイベントか」と消化イベントのように感じてしまった人も多いのでは。
グレイグ
→二周目は眼の前で友であるホメロスを殺害されてしまうが、一周目とは異なり、ホメロスと完全に和解ができるイベントがある。二周目の方が救われているイメージ。


その他気になったところ
ロミアとキナイ
→ほとんどのキャラが異変前の状態の続きのはずなのに、すでに出会っているはずの2人が初対面の状態に戻っていて1番疑問を感じた。さらに、一周目ではユキを待ち続けるorユキの後を追う、といずれもキナイ・ユキ一筋の行動をとっていたロミアだが、二周目は孫キナイとくっつきそうなフラグがほんのり立っている。(仲間たちとの会話内容からもそう取れる)それでいいのか……!?あれだけ執着を見せたキナイ・ユキへの想いはそんなにあっさり上書きされてしまっていいのか……?一周目の泡になるルートがあまりにも美しくて儚すぎて好きだったので、それに比べると軽いなぁと……。うーーーん………。

セニカとローシュ
主人公が過ぎ去りし時を求めた結果、一周目の世界はどうなったのかというと
①丸ごと巻き戻って新たな時間を刻み始めた
②世界線が分岐し、主人公のいない世界として残っている
③過去が変わったことで消滅した
の3つの可能性が考えられます。個人的にはパーティーメンバーが一周目の記憶を若干持っていたことから①の可能性が最も高いと思われます。
では仮に①だったとしたら、二周目の最後にセニカが遥か昔に渡ったことで、ドラクエ11本編の世界にも影響が出てくるのではないかと勝手に心配しています。特に影響を受けるのは主人公では。下手するとローシュの運命が変わることで生まれてこない可能性だって出てきて、そうなるとロトの勇者だって別人がなるかもしれません。例えばウラノスに殺されなかったローシュが初代ロトで、その後子孫として見た目がそっくりな3の主人公が産まれる……とか。(3の主人公が11の子孫にしては似てなさすぎるなぁと、髪型とか)

おわりに

 ロト関係の考察はドラクエ ド素人の私がするにはおこがましいのでこれ以上はしませんが、それを抜いても気になったこともありますし、何より今回の時間操作で長い時間をかけて歩んできた道のりが無かったことになってしまったような、そんな寂しさを感じてしまったんですよね…。言ってしまえば、一周目のメンバーで邪神を倒したかったなとも思ってしまう。いや、ベロニカがいなくてよかったってわけではないんですよ、これは誤解してほしくないんですけどね。ベロニカをどうにか一周目の世界線で復活させられたらベストだったんですけど、そうじゃない切なさが醍醐味なのかもしれないし……。うぅ、難しい!!

 時間操作が絡む話には、たいてい複数の世界線が存在します。そして操作をするということは大きく流れが変わっていることがほとんどで、それを両方知っているプレイヤーは必ず『元のままでも良かった』『変えられて良かった』の二派に分かれるのではと思います。そこで前者はどちらかというとマイナスに、後者はプラスに作品自体に対する印象が大きく変わってくるのはちょっと勿体ない気はします。

 今回個人的に意外だったのは、私はどんな作品でもハッピーエンドが好きな人間なのですが、今回はどう見ても大団円な二周目を素直に受け入れられなかったんですよね。それって一周目の終わり方(紆余曲折あっての魔王撃破)をハッピーエンドと感じたからなんだと思います。一周目でもみんな(生存者に限るけど)が幸せになれそうな形に落ち着いたならそれはそれでよかったなと。例えば一周目でベロニカの死を受け入れられないとか、世界中の人々が亡くなりすぎてロトゼタシアが混沌と化してるとか、どうあがいても不幸な流れだったらすんなり二周目を受け入れられたんですけど…。少しでも一周目も良いと感じてしまったら、人によっては二周目は蛇足と取れてしまう。二周目を受け入れられない方はきっとそうなんじゃないかな。

 なんか思ったことを言い連ねたら長くなってしまって、まとまりもなくなってきたのでここらへんで切り上げます。まぁ、こうしてクリア後も考えさせられるゲームって結局『心に残るゲーム』として名作であることは間違いありません。まだまだしばらくはこの余韻に浸っておこうと思います。

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