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あるおじいさんからのメッセージ

息子がまだ3歳くらいの時だったかな…
となると今から6年くらい前の、確かあれは1月4日。
まだ離婚もしていない時で、別居もしていなかったからそのくらい。

行きつけのモールの外広場のベンチで息子と2人で寛いでいたんだ。
息子はじっとしていられないから、走り回ったり、転げ回ったり。
私はその様子を”やれやれ”という思いでいつも通り傍観。

すると隣に座っていた老人(男性)が、やたら
”今日は良い天気だなぁ”
”天気が良いのが一番だなぁ”
”ポカポカだなぁ”
と何度も呟いている。

なんとなしにこちらに聞こえるようにも言っているように思えたから
”そうですねぇ”
なんて、返してみた。

するとその後ガッツリ話しかけてきたもんだから、心の中で
”あ、私めんどくさいおじいちゃんに掴まっちゃった系?”
と思ってしまった。

でも話を進めていくと、そんな感じはしなくて、どんどんそのおじいさんの話に吸い込まれていった。

どうやらそのおじいさんは戦争経験者で、当時のお話をたくさん聞かせてくれた。
そして息子のこともたくさん褒めてくれた。
”いっぱい食べる子は良い”
”子供は元気が一番”

そのおじいさんから聞く当時のお話は、やっぱり胸が詰まるようなことばかり。
しかも子供を持つ母の身としてはなんともいたたまれない…

段々とおじいさんのお話で涙が出てきたんだ

話を聞き進めていくうちに、そのおじいさんは戦後は新聞記者として働いていたらしい。
奥様は何年も前にお亡くなりになって、今は1人で”語り部”の活動をしているとのこと。

色々納得。

そのおじいさんが最後に私に伝えてくれたことがとても印象に残っていて、今でも私の頭に刻まれている。

「死んだら何も持っていけないんです。
あの世に何も持っていけないんです。
その代わり、書き記したものというのは一生残るんです。
だから書いてください。
たくさん書き残してください。
書いたものは一生残るから。」

新聞記者さんだったから”書くこと”に関して最後そう伝えてくれたのか…

私は”書くこと”が昔から好きだったから余計にその言葉が胸に刺さってね。

きっと2度と会うことのないあの日のおじいさん。
私にしか見えていなかったのかな…という錯覚さえも起こしてしまう。
まるで神様からのメッセージのようだった。

”それにしても今日は良い天気だなぁ”

そう空を見上げながら、そのおじいさんは去っていったんだ。

おじいさん、ありがとう。
おじいさんのメッセージはきちんと心に残っています。
私にとってきっと一生忘れられない出会いとお話しになるでしょう。


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