私がオーディション番組にはまる理由

THE FIRSTの本編が終わって、ランくんが最終メンバーに選ばれなかったのもあって、ひゅるひゅると熱が冷めていった。その後、何の気なしに韓国のオーディション番組、I-LANDやLOUDを見始めたら、いとも簡単にはまってしまった。

I-LANDとは「世界各国から集まった志願者(練習生)がシステムの提示するテストにクリアし、最後まで生き残り、次世代グローバルK-POPアーティストとしてデビューする過程を描いた観察型リアリティ番組(Wikipediaより)」で、BTSが所属する事務所が手掛けたもの。この番組は2020年に放送され、最終メンバーはすでにデビューしているので、見ている間はWEBで検索しないようにして過ごした。

選考の過程が過酷だったり、10代前半の子も含め生活空間までずっとカメラにおさめることが倫理的にどうかという批判もあるだろうけれど、一方で彼らがアイドルとしてデビューするために激烈な努力をしているのだということも伝わってくる。その打ち込む姿に心を打たれる。

特に、海を渡って不慣れな言葉と環境のなかで挑戦している日本人は応援せずにはいられない。ダンスの実力は圧倒的なのに、最初は順位がスレスレだったニキが、デビューメンバーとして名前を呼ばれたときは、本人も驚いた顔をしていたけれど、私も驚いてしまった。呼ばれるとしてももっと後に呼ばれると思ったからだ。


LOUDは今年放送されている番組で、日本でもおなじみのJ.Y. Parkと「江南スタイル」のPSYプロデューサーが、それぞれの事務所からデビューさせるメンバーを選考していくオーディション。これは先日、最終メンバーが決まったばかりなのだが、その放送回を見る前にこらえきれずネットニュースで結果を見てしまった。

LOUDの方でも、単身韓国に渡って、言葉に不自由しながらも挑戦している日本人が4人出ていて、1人は途中で脱落してしまったけれど、残りのアマル、ケイジュ、コウキはそれぞれに個性を発揮している。全世界のファンからの人気投票でも上位にいて、アマルは歌があり得ないうまさだし、コウキは12歳だというのにまわりが驚愕するほどのダンスの上手さ。ケイジュにいたっては両方のプロデューサーと事務所スタッフから熱烈なラブコールを受けるほどすでにアイドル的存在で。

両方の番組とも、ありえないほどレベルが高い。特にダンスは日本のグループと比べると細部までタイミングも動きもピシッと揃っている(といっても、日本のグループをそんなに見たことがないのだけれど、例えばTHE FIRSTと比べてもレベルが全然高いと思う)。歌ももちろん上手いし、表情や手の動きなどで「表現する」ということもとても熱心にやっていて、そういうところもまたファンがもっとはまる魅力なのだと思う。

ここまでK-POPが築いてきた栄光の道があるからこそ、そこに憧れる子たちがどんどん育ってきていて、だからこそレベルが高いのだなあということを、あらためて実感した。


で、今日一番書きたかったことは、そういうオーディション番組を見ることを通して気づいたことだ。

ちょっと前までは、何かに真摯に取り組む姿勢に胸を打たれるという、毎年箱根駅伝を応援するのと近い気持ちでオーディション番組を見ていた。

今回気づいたのは、自分は、プロデューサー的な視点で見ていたということだ。音楽をやったこともないのにこんなことを言うのはおこがましいが、あくまでも自分が聞いて、見て、感じた基準で、メンバーを選ぶとしたら、グループを組むとしたら、そういうことを想像するために、放送で練習を見て、発表を見て、そして最終結果を予想する。

だから最終結果だけをネットニュースで知りたくはない。毎回のステージを見て、また次を予想したいのだ。それが、自分がオーディション番組にはまる理由だということに思い当たった。

そういう「プロデューサー的目線」で見てしまうのは、子どもの頃からスポーツや遊びのチーム分けを考えるのが好きだったのもあるし、大人になってから人材育成にかかわるなかで、人の才能や魅力を発見したいと思ってきたから、ということもあるだろうか。


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