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乳がん治療に向けて②:入院までのあたふたの日々 その2

乳がんと診断を受け、「もしかしたら乳がん」が「確実に乳がん」になってから入院までの3週間、自分はどうしていたのか?について、当時の日記をみながら振り返ります。その2です。

前回の投稿はこちら。


12/5 船戸先生のセミナーと最強のお守り

仕事でお世話になっているIさんからお誘いを受け、この本の著者である船戸先生の講演をオンラインで伺った。

がん細胞はすべての人の体内で発生しているものだけれど、それが異常に増殖することで、がんとしてあらわれる。

がんになる5つの原因は、

・運動不足
・睡眠不足(睡眠中はリンパ球ががん細胞を倒す時間)
・不健康な食習慣+酒煙草などの悪習慣
・冷え(がん細胞は熱に弱い)
・笑わない

さらに、こういった生活習慣になってしまう根本的な原因は、「自分でも気づいていない間違った思い込み、信念」だということ。

船戸先生も腎臓がんのサバイバーで、当時は外科医として患者さんのがんをどんどん切除しながら、自分はがんにならないと思い込んでいたそうだ。そういった「思い込み」があるから、悪習慣を続けてしまうのだという話に納得をした。

最初の検診で乳がんかもしれないとなったときに一番最初に思ったのが、「自分を攻撃しすぎた」ということ。常に自分を責め続けたことが原因だ、と直感的に思った。自分の精神や身体をものすごく雑に扱ってきたという自覚があるし、5つの悪しき生活習慣は煙草以外すべて当てはまる。

このタイミングでIさんの闘病体験や船戸先生のセミナーを聞いておいてよかった。乗り越えた人というのはやはり、これからそこに向かう立場にとっては、希望であり安心であり、励みになると思った。

夜、次男から、「ママこれあげる~」と言われて受け取ったのがお守り。

泣きそうになったが無言でこらえた。
やっと出てきた言葉が「胸が入ってないね」(脳、肺臓、心臓、肝臓、膵臓、腎臓と書いてあったので)。そんなことしか言えない自分が情けないが、やさしい気持ちに自分の部屋に戻って泣いた。


12/6 父親に電話

姉と妹には検査のときにすぐ連絡をしたが、今日になってやっと父親に電話した。思ったよりあっさりした反応だった。

セルフセラピーカードを引いた。病気のことでカードを引くことはやめようと避けていたけれど、このタイミングで引くとカードは何を示すだろうかと興味が湧いた。だが、このタイミングだと、どんなカードが出てもそれっぽく思えるだろうという気もする。


12/7 手術の説明を受けに行く

説明だけなので、都内の病院ではなく地元の病院で。遅い時間に来てくださいと言われていたが、それでも呼ばれるまでかなり待った。だんなさんの代わりに、つきそいで長男が一緒に来てくれた。

今回は乳房温存部分切除手術であること、センチネルリンパ節生検を行ってその結果で腋窩リンパ節郭清を行うこと、術中迅速診断の結果によって乳房全摘になる可能性もあること、術後はドレーンを挿入することなどの説明をひとつひとつ丁寧に受ける。

夜、いつものお寿司やさんで待ち合わせをしていただんなさんに、長男から手術の内容を説明してもらった。人は人に教えるときが、一番学ぶ。長男は大学生にして乳がんの手術に詳しい男になった。前回の検査結果を聞いたときもそうだが、人が代わりに説明してくれるというのはらくちんだ。


12/8 仕事をどうするか

仕事の問い合わせが来て、Zoomで打ち合わせをすることになった。少しでも収入を得たいので受注したいが、納期がどう考えてもきびしい。代わりになる人間がいないので、迷惑をかける可能性があるからということを伝えよう。

収入も大事だが、なによりも生活習慣を改善しないと。呼吸法、散歩、お風呂、睡眠時間はできている。あとは笑うのが足りていないか。

来週の入院の日は長男に送ってもらい、退院の日はだんなさんに迎えに来てもらう予定になっていたが、次男が仕事の休みをとって、入院の日に送っていくという。お守りに続きやさしい。


12/9 不安を埋める代償

心の不安定さを、買い物で埋めている。毎日楽天とか、スーパーで買い物をして気を紛らわしている。逃避でしかないし、本質は何も変わらないと思うが、まあ無駄なものを買っているわけではなく、これからの治療や療養で使うものだからよしとする。生活習慣の改善はしっかりやっていこう。

入院までに最低限のことを終わらせようと思っていたが、最低限と思っていることさえ終わりそうにない。だが、本当に本当の最低限は、入院の荷物の準備だ。それだけはしっかり終わらせよう。当たり前だけど。


12/10 抗がん剤のことが心配で

いつのタイミングで乳がんということをオープンにするか。最初は入院するときにと思っていたけれど、せめて手術が終わってから、もしくは年が明けてからと考えていたが、不確かなことを言ってもしょうがない。病理診断結果が出てステージも確定して、今後の治療が決まってからでいいような気がしている。だとしたら1月の下旬になる。

夜、崎谷医師の本を読んだ。

抗がん剤をすることで、生き延びたがん細胞の悪性度がより高くなる。
副交感神経の優位が、がんの増加を促進させる。

これは本当なのだろうか?
だとしたら今自己洞察瞑想でやっている呼吸法は、がんを増殖させることになるのか?
原始人食もやろうという気にはならない。
添加物を押さえる程度でいいのではないか。

手術は受けて、抗がん剤や放射線をやらないという選択肢はあるのだろうか?あまり「~ねばならない」になると、苦しくなる。


12/11 シャウエッセン大の

子宮頸がん検診の結果が異常なしでほっとする。
脇の下のしこりがかなり大きい。シャウエッセンぐらい、指が入っているみたいな感じ。前より大きくなった気がしたが、そもそもがちゃんと触れていなかったのかもしれない。

書店で2021年の手帳を買った。
起床時間、体温、体重、呼吸法や運動の記録、3食の記録、特筆すべきことなど、闘病の1年をしっかり記録していこうと思う。


12/13 With you Tokyoに参加

午前中に片付けや掃除をしたあと、お昼は外食。
午後、ZoomでWithyouTokyoに参加した。

開会のあいさつなどのあと、最初に小グループに分かれてのセッション。「入院・手術」のグループを希望したのだが、「抗がん剤治療」のグループに割り当てられた。

腫瘍内科医、がん専門看護師、薬剤師の方々に、なんでも聞いていいという時間だったが、私の場合あまりにもがん初心者すぎて、自分が何がわからないかがあまりわかっていなかった。

ひとまず目の前の入院生活がどうなるかというのが直近の心配事だったが、その後の抗がん剤治療の副作用についてもやはり心配で、副作用について看護師さんや薬剤師さんがとても丁寧に応答してくれたので、内容以上にその「受け止めてくれた感」に安心をした。専門家のアドバイスを聞けてよかったし、他の患者さんの経験談も聞けてよかった。

後半は、各専門の先生方のプレゼンが続いた。コロナ禍でどのように治療を進めているのか。最新の乳房再建症例の共有など、患者よりも多い数の医師、看護師の方々が、全国から参加して情報共有がされていた。そういう医療関係者の方々の真摯な姿を見たこともまた、よい経験だった。

いよいよ明日から入院。


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大前みどり
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