「無人島に本を7冊持っていくなら?」:勝手にブックカバーチャレンジ
facebookのタイムラインが、みなさんの投稿したブックカバーチャレンジの本の表紙で埋め尽くされている近頃。最初はじゃっかん読み飛ばしていたものの、だんだん「へえ~」と思うようになってきて、日々、楽しんでおります。
何が楽しいかって、その人とその本との関係やなれそめのストーリーがおもしろい。人の数だけ、そして本の数だけ、その「関係の物語」があるんだなあと。
私はバトンが来ませんようにと思いつつ、もし来たら「7冊いっぺんに写真をのっけて、バトンをまわさないっ」と方針を立てていたのですが、無事に? さみしくも?、誰からもバトンをいただくことなく、今日にいたっております。
そんな中、小森谷さんが
これから急に無人島に行くことになったらという観点で選んでみました〜♪
と本の写真を7冊まとめてあげられていたので、これはおもしろいなあ、マネしてみようと、同じ「無人島」の観点で選んでみました。
残念ながら私の家には誰かの全集はないので、あれこれ逡巡して、以下の7冊になりました。
まずはこの3冊。
理由は、ちゃんと読み終えていないから。読んでもよくわからないから。そして一生の間に何度も読むだろうから、です。
外山滋比古さんの『読書の方法<未知を読む>』という本にこんなことが書かれています。
本当に読むに値するものは、多くの場合、一度読んだくらいではよくわからない。あるいはまったく、わからない。それでくりかえし百遍の読書をすることになる。時間がかかる。いつになったら了解できるという保証はどこにもない。
わからぬからと言って、他人に教えてもらうべきものではない。みずからの力によって悟らなくてはならないのである。
これらの3冊は、読んでいてもよくわからないし、一人で読んでいるとすぐくじけるか寝落ちするし、だからこそ繰り返し読んで、「みずからの力によって悟りたい」と思っている、という本です。
次は、この2冊。
無人島にいったっきりで、2度と帰ってこないということもあるだろうから、『死ぬ瞬間』を読んで、そのときの準備をしたいと思います。
『ユングとタロット』の方は、今ちょうど読んでいるというのもありますが、無人島では考える時間がたっぷりあるだろうから、自分の人生を思いかえすときに、カードを象徴としながら、いろいろ振り返れそうだなあということがひとつ。
あとは、無人島ではたぶんさみしくて物語作品に触れたくなると思うんですが、誰かの作品にしぼるよりも、逆にこういう本の方が、いろいろ想像の物語世界が広がりそうだなあという意味もあります。タロットの旅のストーリーをモチーフに、自分で物語を生み出すこともできるかもしれないですし。
そういう意味で、自分で物語を書く時のためにも、最後にこの2冊。
『てにをは辞典』の方は、いわゆるコロケーション辞典です。例えば、「花が」-「咲きこぼれる」など、組み合わせて使う言葉が大量に載っていて、うまい表現が見つからない時に見ると、たしかにたしかに、とおもしろいですし、しっくりくる言い回しを選ぶことができます。
『てにをは連想表現辞典』の方は、たとえば今パッとひらいたら、「酒を飲む」という言葉が出てきたのですが(今の心理が反映されている?)、その言葉やそれに似た表現を、作家たちが作品の中でどう使っているのか、その用例がたくさん載っています。
酒を舐めるように啜る=谷崎
酒をらっぱ飲みにぐびりとやる=二葉亭
火のような酒で喉を焼く=辺見
「泥酔」のところでは、
波間に浮かんで何処かの果てへ流れ去ってゆきたいような酩酊に落ち込む=壇
千鳥足で鼻歌という御酩酊ぶり=瀬戸内
これはこれで、見ているだけで表現の豊富さが味わえて、飽きないだろうなと。そして、相当時間をつぶせるだろうということで、めでたく7冊の仲間入りを果たしました。
今日、本を選びながら思ったのは、今後の人生、もうこの本たちだけでいいのかもしれないなあ、ということです。
職業とか属性とかがなく、ただのなんでもない自分になったときに、それでも手に取りたい本というのは、自分が本心でどんなことを必要としているか、どんなことを望んでいるかについて、教えてくれているのかもしれません。
ということで今日は、勝手にブックカバーチャレンジ:「無人島に持っていくなら?」でした。ルール無視、バトンももちろんなし、です。
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