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哲学対話「教える」の開催レポート

毎月第4土曜日にオンライン哲学対話を実施しています。3月23日(土)に実施した際の様子をレポートします。

哲学対話とは「普段はあらためて考えない疑問」、「すぐには答えが見つからなそうな疑問」について、みんなで語りあって思考を深めていく場です。67回目となる今回のテーマは「教える」で、参加者は15名でした。

<これまでのテーマ>
「対話」、「時間」、「夢」、「言葉」、「弱さ」、「笑い」、「つながり」、「学ぶ」、「遊び」、「信じる」、「読む」、「書く」、「聴く」、「楽しさ」、「無駄」、「不安」、「記憶」、「努力」、「考える」、「協調」、「変化」、「労働」、「プレゼント」、「味わう」、「ハマる」、「共感」、「旅」、「役に立つ」、「自尊感情」、「ほめる」、「本音と建前」、「違和感」、「配慮と遠慮」、「成長」、「鈍感」、「ユーモア」、「沈黙」、「選択」、「もやもや」、「差別と区別」、「感情」、「先延ばし」、「したたか」、「嘘」、「後悔」、「常識」、「距離感」、「思い込み」、「先延ばし(2回目)」、「流される」、「寛容」、「外見」、「深い」、「メリハリ」、「魅力」、「才能」、「チャンス」、「謙虚」、「美味しい」、「仕事」、「かわいい」、「祝う」、「あきらめる」、「推す」、「おせっかい」

※以下、当日出た意見を、個人が特定されない範囲で紹介します。個人の具体的な体験などは省略した他、進行役の解釈・編集が入っていますのでご了承ください。またメモを見返して意味がよくわからない部分は省略しています。

具体例の共有

最初に30分程、「最近どんなことを教えましたか/ 教えてもらいましたか?」という問いで具体的な体験をお話していただきました。これは本質観取という方法を参考にしたやり方です。

教えてもらって確かにそうだなと納得をした話や、上司の行動を見て学んだという話、何十回と読んでいる本の著者の生き様やあり方から影響を与えられた話、間違いをあえて指摘てくれた人がいたという話、小さな子に自分がやって見せて、やらせてみせてを繰り返しているという話など、様々な教える/教えられる例が出されました。

問い出し&問い決め

ここまでの話をふまえて、「教える」というテーマについて、どんな切り口から考えてみたいか、各自で問いを考えて出していただきました。なぜその問いで考えたいと思ったか、それぞれの問いの背景を聴いたあと、考えたいことが似ている問いは一緒にする時間を取り、最終的に投票で決めました。

◎【教える】と【導く】の違いは何か?

◎何のために教えるのか
 ―なぜ教えるのか
 ―人に「教えたい」と思うのはなぜ?
 ―教えることは手助けすることか…。 

◎教える、教わるはどういう状態を持って成立するのか?
 ー教えてもらうときどんな気持ちや関係性が大事なの?
 ― 「教える」と「教わる」と「学ぶ」の関係は?
 ー先生、親、子供がみんな楽で幸せになる教育方法ってある?

◎教える対象物によってどんな違いが生まれるか

◎教えることが学びにつながるためには、何が必要か? 
 ― 「学び」につながる「教える」必須の(*普遍的な、最大の)条件(*要素)は何?
 ―人同士が教える-教わるときに気持ち良い関係性はどうしたら成立するのか?
 ―教えてもらったことをすんなり受け入れられるのはどんな時?

選ばれたのは「教えることが学びにつながるためには、何が必要か?」という問い。ここで短い休憩をはさみました。

問いについての対話

・学びにつながるためには、教える側の「教えてやろう」という意図が感じられないことが大切ではないか。そこに支配感があると学びを妨げるのではないか。

・学びにつながるためには、本人がそれを求めているということが必要。学ぶことで何がプラスになるかを伝える必要もある。

・学びにつながるためには、その内容に対しても、教える人に対しても、納得感が重要。受け入れることができないと学びにならない。

・教える際に、学習者の興味関心をいかに引き付けるかが重要。そのために関係性や対話が必要になってくる。

・一番重要なのは好きという気持ちではないか。内容についても、教える人に対しても。

・教えてもらったときは受け入れられなくてすぐに学びにはつながらなくても、時間が経ってから受け入れられることもある。

・時間のというのは、そもそも何を教えるのかによって変わるのではないか。学校のカリキュラムのように範囲が決まっているものもあれば、人生に関わることもある。

・時間がたって学びになるためには、視野の広がりや視座の高まり、経験を重ねること、自分の成長などが必要では。

・教えることには、ある種の相手を変化させる暴力性がある。そこに対しての自覚や謙虚さも必要。

・教えることが学びにつながるために一番必要なのは、教える人の魅力ではないか。

・自分がどう思うかを押し付けるのではなく、相手が受け取りやすいようにというやさしさや、自分のやり方に固執しないある種の遊びを持っておくことも重要。

・教える相手に好かれようとしていると、ぐっと踏み込んで教えようとするときに妨げになる。好かれようとしないということも大切では。

・一番重要なのは、学習者の関心や興味をかきたて、ひきつけることではないか。

2時間の対話を終えて

今回はいつもよりも参加人数が多く、問い出しや問い決めのところもじっくり進めたため、問いについての対話は30分弱でした。こういう展開のときは「もっと問いについて考えたかった」というご意見をいただくことが多いため、その点について途中でみなさんに次のようにお伝えしました。

問いを決めてから話すパートだけが哲学対話ではなく、具体例を出すところや問いの背景を聴き合うところからすでに哲学対話は始まっていて、お互いに関心を聴き合い、何を一緒に考えていこうかというやり取りがすでに対話なんですよ、と。

放課後は、直前の哲学対話についてみなさんからご質問をいただきながらメタダイアローグをしました。最近は哲学対話そのものよりも、ふりかえってのメタダイアローグが学びが多いなあと思います。ご参加のみなさま、ありがとうございました。

来週は「学ぶ」というテーマで本質観取を行うので、つながっていきそうで楽しみです。

今後の開催予定

4/12(金)20:00~21:30 
アーダコーダ哲学カフェ テーマ「ケア」

DOD主催の4月開催分は残席わずかです。
4月18日(木)10:00~12:00、オンライン開催。テーマ「ドジ」
4月28日(日)10:00~12:00、オンライン開催。テーマ「さびしい」

最新の開催情報は下記Peatixページに掲載しています。

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大前みどり
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