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サピオセクシャルの性
皆さんはサピオセクシャルをご存知だろうか。
相手の知性に性的な感情を抱くセクシュアリティのことです。
最近このセクシュアリティを肌で感じることがあり、私は自身のサブミッシブとの相性が最悪なことがわかり今も思い出すと身が震える程です。今日はそんなお話をしようと思います。
初めてその方、Dと出会ったのはチャット。話し相手を探そうと耳にしたことがあるサピオセクシャルをキーワードとしてチャットを始めた。物事を深く知れれば程度でこのワードを設定したがそれが間違いだった、私には少なからずこの性が眠っていた。
「初めまして、私はサピオセクシャルでドミナントです。」
物腰が柔らかく優しい印象を受け、初めは他愛のない話をしてゆっくりとサピオセクシャルについて話しを進めていく。自分のことや相手のことを話していき、中盤は心の話へと進んだ。
「相手と距離を一定に保っていたいんです。」
相手に心に踏み込まれることが苦手なことをそれとなく伝えて相手を牽制したつもりでした。これ以上は踏み込むな、とそうすれば安心で安全な会話を続けることが出来ると信じて疑っていませんでした。
「そうなんですね、あなたはその自己防衛でずっと守ってきたんですね、純粋で綺麗な心をお持ちなんですね。」
「その心を握り潰してしまいたくなりますね。」
咄嗟に強い力を感じて肩が竦み画面から目を背けました。もちろん相手はチャットの向こう側で実際に目の前にはいません。こんな感覚は初めてでした。本能的にこの人に関わったらだめだと察し、距離を取ろうと話を自然な形で逸らそうとしましたがもう逃げれられなくなっていました。
「大丈夫ですよ、嫌なら逃げてください。ほら、誰も止めませんのでどうぞ。」
蛇に睨まれた蛙とはまさにこのことでした。退室ボタンを押すという、たった1つの行動が起こせなくなりました。ただ画面越しで見られているだけなのに威圧を感じ、抗うことが出来ない。数分返事を返せずに画面を見ていたら自動更新されていきました。
「それがあなたの意思ですよ。」
「違います、違う。」
必死に否定を口にするも脳裏に浮かぶのは従いたいというサブミッシブの性。頭が正常に働かなくなり自分の体じゃないみたいに言うことが利かない。まるで全身が性感帯になったかのようで、背筋のぞくぞくが止まらずに勝手に腰を床に擦り付ける始末でした。
「もうご自分がよく分かってるんじゃないんですか。さぁ、私の前に跪いてください。」
チャット越しでなければどうなっていたかと今でも末恐ろしく感じる。頭の中は従いたい、命令されたい、壊されたい、欲しい、で埋め尽くされて泣きそうになる程でした。
「嫌だ、違う、嫌い、触らないで、大嫌い。」
「あぁ、可愛い人ですね。本当に貴女は屈服させ甲斐がありますね。」
辛うじて紡いだ言葉もすぐに包みこまれて飲まれる。こんなやり取りを数回繰り返して私が白旗を上げた。限界だった、頭も心も壁を溶かされるように言葉をかけ続けられたら武装のしようがない。チャット越しに彼の言葉で自慰行為をした、自分しか触れていないのに泣くほど気持ち良くて頭が溶けるかと思いました。
「貴女は、私の心をゾクゾクさせる方です。それではまた、会えますように。良い一日を。」
去り際もあっさりしていて、こちらが追いそうになる振る舞いで危うく声に出すところでした。この一件から私は、時々彼の言葉が欲しくなりチャットへ入り浸ることが増えました。依存性の高い言葉遣い、紳士的な立ち振る舞い、これがチャットで起きたことなんて誰が想像するのでしょうか。
皆様もチャットにはお気をつけてくださいませ。
それではまた、ご機嫌よう。
櫻子