流星群
今晩はふたご座流星群が見れるらしい。
夜中にふとTwitterに目をやると、フォロワーがそうツイートしていた。
あまり興味はなかった。眠いし。だけどせっかくの機会だし見とくか、という「せっかくだから精神」が珍しく眠気に勝った。
玄関を出て、マンションの外階段を少し降りた踊り場のとこで、手すり壁によりかかって真上を見上げた。ベランダよりもこっちの方が夜空を広く見渡せると思った。
冬の空の冷たく渇いた空気が、引き篭もって淀んだ肺の空気を一新させた。
5分経った。首が痛い。
なんとなく、斜め上方向よりも、天頂の方が星が降りやすそうな気がして、首を90℃傾けて真上を向いていたのだけど、これは疲れる。流れ星はまだ見えない。
視線を水平に戻すと、今度は見慣れた夜景が視界に入った。
東京の夜は明るい。人口の灯りと宇宙の境界がグラデーションになっていて、人の欲が天を侵食しているようにも見える。
地上の灯りが持つ生命力の美しさも、空の星に引けをとらないと思った。
首の疲れがやわらいだので、再び上を見てみる。
数分後、視界の端に一瞬、ちらとそれらしきものが映る。
これが流れ星なのか。初めて見た。
思ったとおり、星は天頂に降った。
流れ星の軌道の長さを表現したかったけど、空には長さを表すための比較対象がないことに気づく。
とにかく一瞬で短かった。
「流れ星に願い事を3回唱えると叶う」なんて最初に言い出したやつはよほどのドSだったんだろうな。そんなことを思った。