亡き人への手紙
2022年6月25日 新聞掲載記事
7日付本紙の生活面記事で「亡き人への手紙募集中」の見出しが目に止まった。亡き人へ手紙が届くのだろうかと不思議に思った。記事に出てくる場所は松江市。
現世と死者の境界として古事記に描かれる「黄泉比良坂(よもつひらさか)」の伝説地だ。
亡き人に宛てた手紙の「たき上げ」が行われるとあった。手紙を書こうかどうか迷ったが、翌日には書きたくなった。
祖父・祖母・父親にあてて書いた。主に近況の報告だ。長男が無事に大学入学したことや次男が受験生であること。主人が仕事を頑張っていること。私は、健康であることに感謝し、日々邁進するので見守っていてほしいとも書いた。
故人が今の世の中を知ったら驚くだろう。新型コロナウイルス禍もあり、IT化も進み「時代は変わったなあ」と言う声が聞こえてきそうだ。だが世の中がいくら変化しようとも、家族を思う気持ちは変わらない。
ウクライナのニュース報道が減ってきた気がする。だが、今も空襲警報は鳴っている。戦争で家族を亡くした人々がいる。希望もなく地下のシェルターで暮らす高齢者もいる。
平和への思いはロシアには届かないのだろうか。
家族を思う気持ちとともに、平和を願う気持ちも変わらない。亡き人への手紙を書きながら思った。