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【読書】一日一生
酒井雄哉 天台宗大阿闍梨
一冊の本を何回も繰り返して読むタイプではない。だが、この本は再度読み返した。やっぱりすごい。言葉の語尾から優しさがにじみ出ている。お会いしてみたかったなあと思わされる。千日回峰行と言って日本にこのような修行法があること自体驚きだった。
●千日回峰行
約7年間かけて比叡山を1000日間、回峰巡拝するなどの天台州独特の修行法。
行者は、半開の蓮の葉をかたどったひのき笠を頭に、白装束に草履履き、死出紐を肩に掛け宝剣を腰にした姿が特徴。行を挫折したら自害するという覚悟のいでたちだ。
初年から三年は深夜から朝にかけ、比叡山中の二百数十カ所を巡拝しながら、一日30~40キロの道程を毎年100日間歩く。4、5年目は毎年200日、計700日の回峰をする。
700日の回峰行を終えると、不動堂に9日間こもり、断食、断水、不眠、不臥で不動明王の真言を10万回唱える「堂入り」という行が課せられる。終盤になると、瞳孔が開き死臭が漂うともいわれる非常に過酷なものだ。
6年目は一日に歩く行程が60キロになる。最終年の前半100日は比叡山中と京都市中85キロを歩き、後半100日は比叡山中30~40キロを歩く。こうして7年間で歩く行程は延べ4万キロ近く、地球一周分に相当する。
この行を成し遂げた者は、大行満大阿闍梨という尊称が与えられる。
千日回峰行を成し遂げたのは、記録の残る織田信長の比叡山焼き討ち以降約400年で、49人しかいない。戦後だとわずか12人だ(2008年10月現在)。
酒井師はこの荒行を1980年、87年と続けて二度満行した。
二千日回峰行者は400年で3人しかおらず、また最高齢だ。
「一日一生 P85~P86抜粋」
このようなことを成し遂げることは自分にはできない。では、どう自分の行動に昇華していくのか。
酒井師の言葉「自分の身の丈に合ったことを、毎日毎日、一生懸命やることが大事なんじゃないの。人間から見た偉いとかすごいとかなんて、仏さんから見れば何にも変わらないから」
「人間って、何か持っているようでいて、なんも持っていないんだな」
生き仏と言われる酒井師の言葉には人生の真理と重みがつまっていると思っている。
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