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水色[改]
小さい頃、色白でとっても可愛い男の子がいた。
5歳頃まで女の子と見間違われるくらいであった。
きれい好きも相まって、カレーが嫌いだった。
彼は幼稚園という初の社会進出を果たした。
泥団子は嫌いであったが、鬼ごっこ、ドッチボール、ケイドロ好きなアクティブな少年でもあった。
しかしまあ、家では女性モノに興味津々、好きな色はピンク、ピン止めを付け出すなど、そんな女性的な内面も兼ね備えていた。
今で言うならジェンダーレス男子だろう。でもまあそのときはそんな概念あるはずもなく、男の子は青色に例外なく染められた。
そんなある日、母親の目を盗んで彼はかねてから気になっていたマニキュアを左足の小指にそっと付けてみた。
それは夏の空のように綺麗な、水色だった。
靴下をはいて、誰も知らない秘密を抱えた。
自分だけが知っている、その危険な響きを堪能した。
しかしその秘密はある日、おわりを告げた。
その日少年はいつものように、走り回り、上り棒のてっぺんめがけてのぼろうとした。
その時、
「あれ、マニキュアつけてるの?」
夏の良く晴れた青空の下、彼の水色の小指の爪はむなしく光を反射していた。
以下の記事の一部改訂版。