トゥーランドットははじめになんと言ったんだっけ。【小説】
トゥーランドットははじめになんと言ったんだっけ。
薄暗い部屋の中で、あたしはあんたの首筋に頬を埋めて、あんたの背骨を指でなぞった。長い髪をかき分け、尾骶骨まで。つぶれた胸の奥で、あんたの心臓がどく、どく、言っていた。
「ねえ、くすぐったいよ」
あんたは歌うように笑った。ナイチンゲールみたいな声だった。あたしはそれが愛しくって、もっと啼いてほしくて、首筋の動脈を喰んだ。そこもどく、どく、言っていた。
そうだ。トゥーランドットは二言目にはこう言った。炎の如く燃え上