マガジンのカバー画像

残影と残響 —Ghost&Reverberation

18
ベラゴアルドの記憶と追憶。或いはその残り香、残影と残響。 だいたい一話完結の短編。
運営しているクリエイター

#イラスト

残影と残響 —Ghost&Reverberation【総合目次】

ベラゴアルドの記憶と追憶。或いはその残り香、残影と残響。 酔いどれも殺すに及ばぬ 報いは…

酔いどれも殺すに及ばぬ

—レムグレイド歴三百二十八年 紫千鳥六の月—  レムグレイド大陸北、港街ノマリナの裏路地…

報いはなく、勝ち得るものもなく

—レムグレイド歴二百八十八年 朱鷺二十の月—  王都レムグレイドを抱くレム・オル山脈を越…

尊き身代

—レムグレイド歴三百二十一年、紫千鳥十八の月—  レムグレイド大陸北、港街ノマリナから南…

往ては戻らぬ旅路の果てに

—レムグレイド歴三百七年— 「最初はネル・ローっつう、でかい街だ。ん? フラバンジだよ。…

ただ鐘は鳴る

 レムグレイド大陸中心部、王都からレム・オル山脈を越えて南に進めば、聖鈴都市アルトルが見…

込めたるは祈りにあらず

ハースハートン大陸南、 ポランカの街から続く山脈沿い、 西の峰の麓にスミッチ村は位置する ベラゴアルドのどの村でも同じように、貧しく閉鎖的ではあるが、 同じように争いは少なく、人々は良識を持ち、穏やかに暮らしている。 込めたるは祈りにあらず 一| 違い子たちの家  モニーンが死者の国へと旅立つと、イーゴーの人柄はすっかり変わってしまった。  しかしそれはほんの切欠に過ぎなかった。新たな世話役として孤児院を訪れるようになった|咒師、主たる原因はその老婆にあった。  老

込めたるは祈りにあらず |二|

咒婆の躾  ある朝、最年少のヒケアがいなくなった。ヒケアは足が魚のヒレのように変形してい…

込めたるは祈りにあらず |三|

些細な供物  レモロは懸命に働く。少しでも信頼を勝ち取ろうと躍起になる。働きぶりが認めら…

込めたるは祈りにあらず |四|

嵐の訪れ  その日もレモロは野良仕事を終え、孤児院へ戻る畦道を歩く。近頃のイーゴーの背中…

込めたるは祈りにあらず |五|

宴  振動と衝撃がレモロに覚醒を促す。  はじめは誰か、何かの叫び声をぼんやりと聞いてい…

込めたるは祈りにあらず |六|

粛清  怪物は立ち上がり、両腕を広げる。ドレスは破れ、肥大した肉体が露出する。緑色の二の…

込めたるは祈りにあらず |八|

生き残り  ジャポが行う地母神教の弔いを待ち、準備が整い次第、アギレラは部屋に落ちていた…

込めたるは祈りにあらず |九|

判断  アギレラは眠り続けるレモロを抱いて山脈を登り、見晴らしの良い平地で野営を張る。  キャリコらとは、孤児院の先の坂道で別れた。スミッチへの後始末は二人に任せ、ひとまず彼がレモロを引き取る運びとなったのだ。  金鷹までの猶予。キャリコが提案した折衷案はそれだった。三つの季節が過ぎるまでには、必ずアムストリスモを説得し、レモロを引き取らせる。そう胸を張るキャリコをひとまず信じ、アギレラは孤児院が燃え尽きるのを待たずにスミッチから遠ざかった。急いだのは、いち早く子どもをこ