<映画感想>The 40-Year-Old Virgin
どうも、
ノミが白昼夢をみた、です。
スティーヴ・カレル主演の『The 40-Year-Old Virgin』を見ました。
今ネットフリックスで見れます。
随分前から視界の片隅で常に意識していた作品で、なかなか再生ボタンを押す気になれないでいました。
しかし、ついに制覇できました。
「見たい!」とかじゃなくて、何も考えていない状態だと再生ボタンが押しやすくなるんですね。
この映画があらゆる場所で引用され、公開当時話題になったということは知っていました。
主人公のアンディが胸毛を脱毛するシーンは今や伝説的です。
映画のタイトルと主演、そして映画の一シーンまでも知っているのに映画自体を見たことなかったのはいつも自分の中で引っかかっていたことでした。
映画に関する情報を多く知っていたので、見たつもりになっていたのかもしれません。
でも、そのような後ろめたい感情は今日でおさらばです。
明日からは胸を張って他人様にこの映画をお勧めできます!
タイトルから予測できる通り、映画はある中年男性が童貞を捨てる物語です。
男が「大人」になる話なんですけど、言い換えると、童貞を捨てないと大人になれないという意味なんです。
そして、セックスの方ですが、初体験は好きな人としたいと夢見るのは女性だけではないというのがよくわかる作品です。
「童貞を捨てる」行為自体は簡単です。風俗に行けば済むことですから。
主人公のアンディは幾度も性行為に発展しそうになるのですが、肝心なところで行為に及ばない。
一見、映画は相手の女性たちに問題があるように描きますが、要は、主人公がその女性たちとのセックスを望まなかっただけなんです。
そして、女性たち全員に共通しているのが、会ったばかりで非常にアグレッシブという点です。
積極的な女性というのも案外もてないようで、草食男子だからといって肉食女子が好きというわけでもない。
一方、主人公は相手を知った上で、恋愛感情による裸の付き合いをしたい。
要するに、アンディは「乙女」なんです。
これはカトリーヌ・ブレイヤ監督の『処女』(2001年)とは正反対の考えで、この映画の主人公の少女は初体験は知らない他人と済ませたいという乙女らしからぬ発言をしたことで話題になりました。
アンディのような乙女心を持つ男性たちが決してゲイではないということを主張するかのように映画のゲイへの当たりは異様に強いです。
女性で中年で処女でもゲイとは思われないが、男性で中年で童貞だとゲイになるってのは面白いですね。
映画がミュージカルで終わったのにはびっくりしましたが、それと同じぐらい驚いたのがアンディが結局童貞を捨てるのが結婚の初夜だということでした。
それまでは、好きな相手に童貞を捧げる健気な中年男性として見ていましたが、その場面によって宗教的意味合いが感じ取れてしまい、
そのままハッピーエンドになるので、なんとも言えない気持ちで見届けました。
映画の全体的なメッセージとして「童貞を捨てて大人になる」ことがあると思うんですが、アンディは大人になるために童貞以外におもちゃも捨てることになります。
小学生からコレクトしていた開封もしていない貴重なおもちゃたちなんですが、大人になるためには子供心も捨てなければいかないとは、かなり悲しいです。
好きな相手に童貞を捧げるというファンタジーは許されるのに、子供心に関しては現実主義になるという風潮、あまり好きじゃないですね。
最後に、キャスティングに関してですが、
超が付くほどの豪華キャストです。今のコメディ業界の大物たちがサラッと集まっていてウキウキしながら見ていました。
多分、この作品がきっかけブレイクしていった若者たちが今活躍している感じです。ジョナ・ヒルとか超脇役で出てきますから。
主演のスティーヴ・カレルに関しては、いうまでもなく、「おもろい!」の一言に尽きます。
で、それに負けないほど魅力的なのが、キャサリン・キーナーで、見ていて本当に美しいです。
なんと言ってもその笑顔が最高にいいです。笑った時のハスキーボイスとか、白目が見えなくなるほど細くなる目蓋とか、顔いっぱいに広がるスマイルと歯並びと、全てがツボにはまりました。