バーテンダー論語②
4巻~6巻まで。
バーってのは夜だけ開いてる病院なんだよ。人は体を治すために昼間の病院に行く。じゃあ魂は?生きる勇気も自信もその方法も分からず血を流している魂はどこで癒される?『Bar』だ。医者は体をバーテンダーは客の魂を預かってるんだ。だから絶対に裏切っちゃいけない。(北方)
酒にはいつだってふたつの顔がある。毒と薬。その中から薬の顔だけ引き出してやるのがバーテンダーの仕事なんだ。(北方)
いいですか。どんなお客様でもそのバーに相応しくない方などいません。相応しくないサービスがあるだけです。常連でも初めてのお客様でも常にそれが最初で最後の一杯だと思って作ることです。(加瀬五朗)
なぜバーテンダーの仕事がボトルを磨くことから始まるか・・・埃を払い店の品揃えを覚えることはもちろんですが一本一本のボトルに込められた作り手の歴史と文化をきちんと学ぶことで酒への愛情が生まれるからです。(加瀬五朗)
「人はバーテンダーという職業につくんじゃない」「バーテンダーという生き方を選ぶんだ」(佐々倉溜)
どんなに努力しても一流になれる保証はない。でも努力しないで一流になったヤツだけは絶対にいない。(佐々倉溜)
どんな酒であれバーテンダーは酒という命の水を受け止めお客様という命に渡してゆく。命への祈りを命へとつなぐこと。それがバーテンダーの本当の仕事だと私は思います。(東山)
バーのグラスにはどんな一杯にも情熱という名の炎が潜んでいます。味への情熱。サービスへの情熱。そして疲れたお客様の魂を癒したいという情熱。(佐々倉溜)
(バーに来るのは)やせ我慢を学ぶためだ。苦しいのに苦しそうに見せない。酔っても酔った顔を見せない。大人になるとはそういうことなんだ。『Wisely,and slow;they stumble that run fast.』・・・意味は分かるか?『賢明に そしてゆっくりと・・・速く走る奴は転ぶ』安酒をみんなでガブガブ飲んだからって大人にはなれないんだぞ。(神崎)
子供って教師が言った言葉の奥にある何か・・・魂のようなものに感動するのかもしれません。(佐々倉溜)
バーのカウンター板はとても厚くて重い・・・・・どうしてだと思います?お客様の・・・孤独 憎しみ 悲しみ 苦しみ 絶望する魂。そんな重すぎる想いをしっかりと支えるためです。(佐々倉溜)
大人の酒はいつだって少しだけ苦い。覚えておけよ。アメリカのビジネスマンは弁護士と医者を一人ずつ友達に持てという。だが人生に必要なのはそんなもんじゃない。本当に必要なのは・・・苦い酒を少しだけ旨く飲ませてくれる腕のいいバーテンダーさ(宇崎)
『幸福な家庭はみな似通っているが不幸な家庭は不幸の相もさまざまである』トルストイ『アンナ・カレーニナ』の冒頭、人の不幸には他人には分からないいろいろな形があるってこと。お客様の中には威張ったりからんだり自慢したり時には怒鳴ったり・・・そういう形でしか心の中をバーテンダーに伝えられない人もいる。幸福な時のカクテルは一杯だけでいい。何を飲んでも美味しいから。でも……不幸の形が100あるなら・・・ボクは不幸を癒す100のカクテルを作るバーテンダーになりたいと思う。(佐々倉溜)