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21世紀美術館とダイアグラム

金沢での体験記2記事目。

金沢駅は「世界でもっとも美しい駅」のひとつに選ばれている。駅前には建築家の白江龍三がデザインを監修した鼓門(トップ画)と近代的なデザインのおもてなしドームが迎えてくれる。特にドームは、3000枚を超える強化ガラスとアルミ合金から作られており、幾何学模様の天井ドームは国内最大のアルミ建築だそう。この2つの時代を相対するファシリティの組み合わせがなんとも構造的であり、わかりやすく図的である。

おもてなしドーム

21世紀美術館

加賀百万石の金沢市は芸術も盛んということで、21世紀美術館を訪れた。21美は2004年10月に開館し、今年がちょうど20年目のアニバーサリーらしい。コレクションの収集方針のひとつに「新しい価値観を提案するような作品」との方針があり、多視点からの気づきが得られそうでワクワクする。

LAR/ フェルナンド・ロメロ『ラッピング』

庭には早速、恒久展示作品が中心の本館を取り囲うように配置されている。LAR/ フェルナンド・ロメロの『ラッピング』を鑑賞して、理由はわからないが西田幾多郎を思い出した。彼が金沢出身だからだろうか。哲学では構造に重きを置かれている。特に近代以降の西洋哲学では「構造」が中心的なキーワードだ。『ラッピング』が哲学的に感じられたのは、九鬼周造の『「いき」の構造』のせいかもしれない。


オラファー・エリアソン『カラー・アクティヴィティ・ハウス』

続いて、オラファー・エリアソンの『カラー・アクティヴィティ・ハウス』に入ってみた。シアン、マゼンタ、イエローの壁が、中心のライトに対して渦巻き状になっているパビリオンだ。光の向きや鑑賞者の現在地によって色や形を変化させるこの作品は、主体を必要とする図解そのもの。客体は主体によって様々な表象に形作られるが、この作品も多くの鑑賞者ごとの表象が作られ、内的ダイアグラムが存在しているのだろう。

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「図解思想家」髙野雄一の日常生活。図的な瞬間を徒然に切り取るエッセイみたいなもの。意味があったりなかったりする。週1~2回くらい更新します。

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