見出し画像

図的→野良猫的

いつもの散歩コースには2匹の野良猫が暇そうに屯している。

ダイアグラムというのは具体的でありながら抽象的な性質を持ち合わせている。さらに、固定されながら流動していく。この2つの奇妙な性質がとても野良猫的である。

まず、ダイアグラムが具体的でありながら抽象的であるとはどういうことか。

一般的にはダイアグラムは物理的に記録に残る。所謂「図」は紙にペンで描くものであって、紙に描かれた図は物理的な存在として共有されるし、当然のように歴史にも残る。また、紙に描かれた図は描いた人物の主体と意図を超え、人から人へと伝達され、時間をまたいでいく。このような性質は具体であるゆえに発生する。

一方、野良猫も具体には存在しているが抽象的な存在でもある。まず、野良猫には名前がない。記号化される寸前の状態であるにも関わらず「野良猫」と言われれば近所の猫を思い出す。また、野良猫にはランダム性がある。野良猫にわざわざ会いに行く人もいるだろうが、多くの人は「見かける」という表現が適切であろう。見かけるという状態は具体と抽象を行き来しなければありえない特別な状態なので、野良猫もまた図的であると同時に、ダイアグラムも野良猫的なのである。


ここから先は

737字 / 2画像
ダイアグラム思想の世界観に浸りたい方はぜひ。メンバーシップに入ると読み放題になるのでお得です。

「図解思想家」髙野雄一の日常生活。図的な瞬間を徒然に切り取るエッセイみたいなもの。意味があったりなかったりする。週1~2回くらい更新します。

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?