『妻を泣かせた最悪のハネムーン』
2015年、お正月。
年始にいただいたお仕事を終えて、数ヶ月前からお休みを取りハワイへ新婚旅行。夏頃からプランを練り、飛行機は奮発してビジネスクラス!
この聞こえなら、きっと誰もが良いなと羨ましく思ってくれる新婚旅行だろう。
だが、この旅行は失敗に終わる。
そう。僕のせいで。
『やっぱりさ、私も行った事ないしベタにハワイがいいんじゃない!?』
新婚旅行に期待に胸を膨らませる妻の声は明るく希望に満ちていた。
当時、仕事が忙しかった僕はほとんど毎日深夜に帰宅。日中、妻がネットや雑誌を駆使して調べたハワイ旅行プランに曖昧な返事を返していました。
『うん?ええんちゃう〜』
『え?好きにしといて〜』
『今、言われてもわからんわ〜』
全ての返答はこの3つだったように思います。
『ホテルはさ、迷ったんだけどロイヤルハワイアンにしようと思うんだけど?』
『ふーん、ええんちゃう〜』
『モアナサーフライダーと迷ったんだけど、やっぱりハワイと言えばさ、ロイヤルハワイアンだと思って!見てみて!このピンクのホテルなんだよ!可愛くない!?』
『ピンクのホテル?それハワイのラブホちゃうんか?』
『ちがうよ!!ここ超有名なんだよ!知らないの!?』
『しらんよ、俺ラブホに何十万も出して泊まるん嫌やで〜』
『だから違うってば!!ここでいい?ここに泊まりたい!』
『まぁ、好きにしといて〜』
ホテル決めもそんな感じで妻に投げっぱなしでした。
食事に関しても、アレやコレやと有名店とそこの料理を帰宅した僕にプレゼンする妻。
『やっぱりガーリックシュリンプは絶対だよね!?』
『ふーん、ええんちゃう〜』
『あ、でもステーキも食べたいでしょ!?どこのにする?ウルフギャングかな?』
『それ店の名前か?めちゃくちゃボラれそうやな、ウルフにギャングて。まともな店とは思えんわ』
『え、何言ってんの!超有名店だよ!』
『有名か知らんけど、かったい肉出してきよるんちゃうん?嫌やでアゴ疲れるような肉を大量に食うんわ』
『でもステーキは食べたくなるでしょ!?』
『今言われてもわからんわ〜』
新婚当初の妻だから許してくれた僕の愚行だと思います、こんなことを今やればどうなることやら。
そしてこれはまだまだ序の口。
この程度はまだ本当の意味での愚行ではないかもしれない。
始まりは飛行機からでした。
当然僕も初めてのハワイ。
離陸は深夜。
仕事で何度かビジネスクラスで移動した経験はあったので、その手厚いサービスは知っていた。
でも自分で支払って乗るビジネスクラスの興奮は一味違う!
当時はお酒が何より好きだった僕。
空港ラウンジから飲み始め、搭乗する頃にはほろ酔い加減でいい感じ。
離陸してサービスが開始されると機内食と一緒にメニューに記載された高級ウイスキーのロックを楽しむ!
機内で飲むお酒は、気圧の変化もあってかいつもよりアルコールの周りも良く最高の気分!
用意された映画等のエンタメも、未公開の新作ばかりが並んでいる!最高の長時間フライト!
数時間が経過し、就寝のため機内の灯りは暗くなるが、毎日午前3時以降にベッドに入っている僕は、読書灯を付け最新作の映画2本目に突入!高級ウイスキーロックは何杯目かわからない!
横で眠る妻に倣うこともなく、結果ホノルル着陸手前までほとんど映画と飲酒で過ごした僕。
当然、徹夜した僕には報いが訪れる。
ホノルル空港を一歩でれば全身に降り注ぐ太陽光!
睡眠不足の人間には拷問でしかない!
空港建物から出て移動のバスを探していると、どこから僕を発見していたのか芸能レポーターが登場。
口元にグイっと近づけられた無許可なマイク。
『新婚旅行すか?ご結婚されましたもんねー!』
『どんなご予定で何泊ですか?』
『誰かと合流して食事行ったりするんですか?』
『良かったら、奥様も一緒にインタビューどうですか?』
『この後の便で先輩方来られるはずですよ!』
『じゃあ最後に今年の抱負を』
『どーもー、ありがとうございましたー』
答えて当然だろ?とばかりに立て続けに感情なくぶつけられる質問に、ある程度愛想を乗せて返さなけば、後々何を言われるかわからないリスクを感じながら返答。
世間の皆様が本当に求めてるインタビューなのか?と疑問と苛立ちを覚えるが、この感情を引きずっても何もいい事はない。
切り替えて移動の車に乗り、ホテルにチェックイン。
日本で一度だけ写真で見たピンクのホテルのロビーは広々とアンティークな雰囲気が漂う素敵な印象。
だが睡眠不足で眠たくて仕方ない。
部屋に荷物を置いて室内を感動しながら回る妻を後目に2時間の仮眠。
起きた時には、部屋に感動していた妻のテンションは見る影もなく、、、。
『お腹すいたよ、どこ行く?』抑揚のない言い方から怒りが感じとれる。
そりゃ怒って当然だ。
あくびを噛み殺し、ホテル近くのガーリックシュリンプのお店へ。
ここから先は
¥ 300
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?