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『後悔してるプロポーズ』
2013年9月27日。
10年前のこの日、僕は妻にプロポーズした。
そして3つの後悔を残した。
YouTubeフジワランドをご覧になってくださっている方々ならこの日が、妻の誕生日なのはご存知だと思う。
プロポーズってどんなふうに自分で『するぞ』って決めてやるんだろう、どんな気持ちになったら決断できるんだろう、ってずっと思ってました。それがわからなくて結婚している人たちに聞いてみても、返ってくる答え第一位は『タイミングやなぁ』。
なんだそのビビアン、ナンちゃん、アマノッチの最大ヒット曲のタイトルは?みたいな答えは!
【タイミングやなぁ】
照れ隠しなんだろうか?それとも生活の上で何かが生じて、うわぁタイミングだー!ってなるのだろうか?そんな疑問符が消えないまま独身時代を過ごしていました。
妻とは互いの知り合いを通じて2012の1月末に知り合い、表参道のオシャレなカフェで数人で夕食を食べました。共演経験があるので初めて会ったという事ではないのですが、プライベートでご飯を食べ、仕事抜きで本当に知り合いになったというのはこの時です。
初めての共演経験を遡れば、僕が20代前半で妻が中学生の頃。僕が出演していた日本テレビの深夜番組【吉本ばかな】の企画で、裏ワザを考案しゴールデンタイム放送の【伊東家の食卓】に乗り込んでプレゼンしよう!とスタジオに乗り込んだ時でした。
当然、その時には将来の妻と出会っているなんて思うはずもなく、なんなら収録が思っていたほど結果を残せず、夜にご飯食べている時、当時イケイケだった吉本ばかなのメンバー、ガレッジセールゴリさんに『なにやってんだよ!伊東家なんかに舐められんじゃねー!』とお説教いただいた苦い思い出の日。
そんな日から14年後、僕たちは付き合い始めた。
多分、結婚とかしないだろうなぁと日頃思っていた僕が、妻と付き合い初めてプロポーズに至るまで、何か大きなきっかけがあったのかと思い返すのですが、見当たりません。
ただ、付き合い初めて1年たった春頃。奇妙なシモの病気にかかりまして、手術することになりました。手術の経験は初めてではなかったので、仕事しながら入院、手術の手続きの大変さに滅入っていたのですが、妻の支えとサポートですんなり手術を終え、夜に病室で1人『めっちゃやってくれたな、助かるなぁ』と感じたのを覚えています。それから少しづつ【彼女】という存在から、もう一歩踏み込んだ存在へと自分の中で変化していきました。こんな人と結婚すると幸せなのかなぁ?この人と結婚するとどんな家になるのかなぁ?この人、俺と結婚したいと思ってたりするかなぁ?そんな事を考えるようになりました。奈良の両親に紹介したところ、父親の反応がすこぶる良かったのも印象的で、朝一番に妻のいないところで父が僕に言いました。
『一裕、あんなええ子おらんぞ!!』
もしかしたら妻からなにかしらの賄賂を受けていたのかもしれませんが、、、。
そんなこんながあってです。自分の思いとまわりの反応、年齢、仕事の環境、将来への期待、彼女の性格、そんな様々なピースがバチバチっと完璧にハマった感覚があり、心の中で呟きました。
『タイミングやなぁ』
現在、僕は『どう結婚に踏み切りましたか?』聞かれたら『タイミングやなぁ』と答えています。
もっと言うと『そーれがきーみのタイミングー』と言うてあげたいくらいです。
衝撃的な出会いや事柄で結婚へと進む人って稀だと思います。大切な人生の伴侶を選ぶのって日々の積み重ねなのではないでしょうか。そしてそれこそが盤石で揺るがない自信と最高の決断の方法なんだと思います、だから少々ケンカしてもなにも変わらないし普遍的な生活を続けられるんだと感じます。
さてプロポーズの意思が固まれば重要なのは、その方法です。
どんなプロポーズをするのか?
夫婦にとって一度きりのプロポーズ。
やっぱり喜ばせてやりたいし、インパクトのあるものにしてあげたい。どうするべきか?2013年の5月6月あたりずっと悩んでいたように思います。
そんなある日、事件は起こりました。
タイトルも出演していた俳優もストーリーも覚えていませんが、ふたりでドラマを観ていました。
プロポーズのシーン、男性が膝をつきポケットから出した指輪のケース、サプライズに驚く女性、開いたケースには輝くダイヤの指輪、それを取り出して左手薬指にそっと付けてあげる男性。よくあるベタなプロポーズのシーン、それまではドラマの1つのシーンとして捉えていたプロポーズの芝居も、僕にとっては参考書のように感じられました。なるほど、その感じでやればナチュラルに成功させられるのかと頭の中でメモをとっている時でした。
『あたしコレ絶対にイヤなんだけど!!』
え?イヤ?イヤって言った?聞き間違い?
『で、でもコレって女の人嬉しいんちゃうの?』
『嘘でしょ!?本気で言ってんの?嬉しいわけないじゃん!!』
え?嬉しいわけない?嬉しいわけないって言った?聞き間違い?
『ど、ど、どう言うこと?』
『だってさ!一生に一度のプロポーズで、1回しかもらえない婚約指輪でしょ!こんな自分が気に入ってないデザインの指輪もらうなんて最悪じゃん!!ダイヤかもしんないけどさ、だとしたら余計に自分の気に入ってるデザインにダイヤが載っててほしいわ!なんで気に入ってないデザインで喜ばなきゃいけないの?意味わかんないんですけど!』
意味わかんないのはコチラです。
そうなん?あのよく見るプロポーズのシーンはあかんの?デザインはコチラで決めてええんちゃうの?頭のメモは白紙に戻りました。
さてどうする。指輪を買えない環境でプロポーズを実行しなければならない。
僕の頭のメモ帳に筆圧高く書かれた大問題。
【指輪を渡すのがプロポーズ。なのに指輪を渡さないでプロポーズする方法ってなーんだ】
大人になるとなぞなぞの答えが出てこない時があるけど、あんなの楽。分かんなくても人生困らないから。
でもこのなぞなぞは答え出さないと人生困っちゃうんです。
どれくらい悩んだでしょうか?数日?数週間?覚えてはいませんが、仕事してる時以外の大半はこのなぞなぞに向き合っていたと思います。
でも職業柄が功を奏しました。
【イヤだ】は良いって事。
【押すなよ、絶対に押すなよ】は絶対に押せって事。(ダチョウ倶楽部先輩参照)
あのドラマのシーンをやってやろう!
指輪ケースを目の前に出して、あのドラマのシーンを彼女の頭に甦らせよう!
イヤだって言ったのに!と怒りが彼女を支配した瞬間にケースを開く、気に入らないデザインの指輪だったらどうしようと怯える彼女!
でもそこには指輪はない。
代わりに小さなメモが二つ折りで挟まっている。
開くとそこには
【ここに入れる指輪を買いに行きましょう】
コレだ!!!!
勝った!!!!!僕はこのなぞなぞに打ち勝った!!!
実行するのは2013年9月27日、彼女の29歳誕生日。
場所は、初めて食事した表参道のオシャレなカフェ。
当日は西麻布あたりで鉄板焼を2人で食べました。いつもなら大体それで帰りますが、もう一件行こうとあのカフェに連れて行きました。でもここで僕の後悔がひとつ。
かなり早めにカフェには予約の電話を入れたが、初めて食事した席は押さえられず、屋上のテラス席になってしまった事。そして後悔ふたつ目、コレは僕の責任ではないのだけど、用意してもらったテラス席の横のテーブルでは、かなり騒がしいタイプの合コン真っ最中。基本イェーイしか聞こえてこない。
この2つは本当に悪い事をしたと思っている。
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