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『涙の大ケガを笑う夫婦』
ん?なんで仕事してるこのタイミングで妻から電話が鳴るんだろう。
いつもならLINEなのに。
急用だからだろう、すぐにでも僕に伝えなくてはならない事象が生まれたからだろう。
不吉な着信。
そんな経験が2回ある。
1回目は2年前、新宿ルミネの劇場で漫才出番の合間に着信。
先ほども記したように、仕事中のやり取りはほぼLINEでやり取りしているはずなのに、あえて電話。
急用?子供になんかあったか?いや、考えすぎだ。
何か面白いことがあったから、良いことがあったからすぐ伝えたくて電話なんだろう。着信画面を見ながらそうなふうに考えるけど、胸の中に渦巻く不吉な予感は拭えてない。
電話の着信メロディーのピッチもいつもより早く感じる。
『もしもし』
『大変なの!』
切迫詰まった妻の声。予感が当たってしまった。
その声色からこちらの心拍も一気に上がったが、覚悟して落ち着いて応える。
『どうした?』
『〇〇(※長女の名前)がブランコの周りの柵あるでしょ』
一気に嫌な想像が膨らむ。娘は4歳。
その柵を乗り越えて、中に入って大きく揺れるブランコに近づいてしまい衝突でもしたか?
いや、妻もいるから行動は見ているはず!それはない。
でも一瞬目を離した隙に起きたか?子供は2秒もあれば思いもよらない行動と移動をする。
『なにを思ったのかあの柵に急に座り出して、その瞬間バランス崩しちゃって、落ちちゃったの!』
普段、僕も公園に連れて行くが、娘はそんなところに急に座らない。いかにそれが予想外の行動だったか夫婦ならわかる。
『私も柵に座ろうとした瞬間に危ないって言いながら手を伸ばしたんだけど、スーパーで買い物した荷物もあったから上手く身体が支えられなくて』
頭を打った?顔から落ちて大きな傷が出来た?やめてくれと願う。
『腕から落ちちゃったんだけど、大泣きしてて』
『頭は打ってないのか?』
『うん、頭は絶対打ってない!でも腕が多分折れてる』
『なんでわかる?』
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