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光の中に恋をした[ALEXANDROS] VipParty2018


 もともと好きで興味があったのに一度もライブに行ったことなかった[ALEXANDROS] 。一度行ってみたいなという思いつきだけで応募したライブだった。けれども、時には思いつきで行動することも大切だと力づくでも思わせられる濃密で幸せな2時間半を海風が心地よいZOZOマリンスタジアムで感じさせてもらった。

 ZOZOマリンへ到着し、開場までに少し時間があるからとカキ氷を求めて長蛇の列を並ぶ。買い物を済ませて列を外れると、何故か自分の左手にはビールが。お酒を飲むつもりなんて無かったんだけどなあ。尾崎世界観的知見で言えば、これもまた夏のせいだろう。そうしてアルコールを摂取していたら開場時間に。スタンディングエリアに入ると、両端に大型ビジョンを添えて[ ]で覆われた巨大なステージに目を奪われる。最近、フェスばっかりで正直同じようなステージばっかり見ていたせいか妙にテンションが上がった。

 開演してからは、ひたすら4人の演奏に惹かれていくばかりだった。登場とともに流れ出す1曲目の『ワタリドリ』。ライブでは、忘れらんねえよの登場曲でしか聴いたことなかったから、初めての本家は迫力が全然違う。当然だけど。そのままMCを挟まず、ひたすら歌い続けるドロスに酔いしれながら気づいたことが2つある。『city』に『Waitress, Waitress!』、『Starrrrrrr』などドロスライブ初心者にも優しいセトリだなと感じたこと。そしてもう1つは古い曲ばかり歌っていること。『ワタリドリ』以外は全て[Champagne]時代のものであり、それに気づいた時、きっとこのライブは過去を振り返りながら新しいドロスを見せるパーティーなんだろうとそこで感じ取った。そして、あの曲をやってくれるのではないかという期待も芽生えたのだ。

自分が本格的にはまり始めたのは、[ALEXANDROS]になってからだ。JリーグのCMに彼らの曲のイントロだけが使われていた。そのCMを初めて見たとき、イントロだけでここまで表現できるのかと心を掴まれてしまったのが本格的にはまるきっかけだった。ライブも中盤に差し掛かり中央の巨大なスクリーンには、[Champagne]から[ALEXANDROS]へと改名したときのライブ映像が映し出された。そして、映像に映る4年前の川上洋平が「初めまして[ALEXANDROS]です!新曲やってもいいですか!」とギターをかき鳴らしながら叫び、あの曲の名前を呼んだ。『Droshky!』。全身から鳥肌がたった。人間は驚くとうろたえて何もできなくなるということをその時知った。膠着している自分を余所目にZOZOマリン全体を包み込むように“あの”イントロが響き渡った。そこから曲の終わりまでの記憶はあまりない。ただ曲に合わせて手を上げてジャンプして、その単純作業をしているだけだ。けれども予習段階で過去のセットリストを調べたら、この曲は最近のライブでは年に2〜3回程度しかやっていなかった。その瞬間に初めての自分が立ち会えたのだ。それだけでいい。それだけで幸せだった。

 10曲以上を一気に演奏してMCに入ると、次の曲からファンが投票したリクエスト曲を10位からやっていくという内容だった。『Oblivion』、『Famous Day』、『Kill Me If You Can』、『Thunder』などなど部分的にまとめて演奏していた。曲を並べていても、さすがファンが選んだ曲目だなと思わされるばかりである。そして1位の『Leaving Grapefruits』はフルでやっていた。始まる前に川上洋平が「やっぱみんなは失恋ソングが好きなんだね」と言っていたけれど、あれって失恋ソングだったのか。恋的な要素を見つけることができなかった自分は、まだまだ人生の切なさが足りないのかもしれない。

 「これからの[ALEXANDROS]を見せる」という言葉の後に『LAST MINUTE』が流れ始める。この時、今日の中で一番強い降雨が会場を襲っていた。しかし、そんな雨も味方に付けてしまうのが、これからの[ALEXANDROS]なのだろう。雨はステージから客席へ線を引くように緑に光る照明とぶつかり、明かりはぐちゃぐちゃになりながらドットのような模様を写し出す。これは野外でなければできなかった演出だ。この幻想的な世界が、次に出るアルバムの収録曲だけでは終わらせない曲へと変貌を遂げた。そして『明日、また』、『I Don't Believe In You』、『Mosquito Bite』と今年発表された曲を歌い上げるとメンバーは退場する。

 最近のライブのアンコールでありがちなことといえば、携帯のライトを客席から照らすことだ。これはもう恒例行事のようなものであり、誰かが付け始めると拡散されて皆がライトを付ける。そんな3万人が照らす光のアンコールから再びメンバーが登場すると、本人たちはこの光にただ感動している様子で「このまま1曲やろう」と言い流された曲は『ハナウタ』。元から分かってたのかと問いたくなるほど選曲の良さに脱帽だ。3万の光の中で「光の中に恋をしてる。孤独はきっとそういうもの」と歌い上げる姿をただ見つめていた。そして彼らも、この光に恋していたのだろうなと思うと無性にその光を目に焼き付けたくなって客席を見る。感動とともに3万人の中で、何故か自分1人だけのような時間を感じた。自分1人に対して3万の光のような。なるほど、孤独はきっとそういうものか。納得だ。

 残りのアンコールは『Adventure』と『Kick&Spin』という定番曲でライブを締めくくった。ライブ終了後に流されたVTRに、突然山田孝之が出てくるなど笑わせながらツアーを発表するところもまた粋さを感じる。思いつきだけで参加した今回のVipPartyだったけど、こんなに胸を突き動かされるライブになるとは。初心者にもこんなVip待遇をしてくれるなんて感動だ。過去を振り返りながら生きている今を提示してくれた[ALEXANDROS]。このライブとセットリストで過去のドロスと自分の思い出を存分に浸らせてもらった。そして、自分のこれからの人生が彼らの曲とともに在ることも確信した。




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