東京の村、自然と暮らしを守る。
檜原村?
キャンプをしたり、登山をしたり、トレイルランニングやサイクリング、モーターサイクルでツーリンング、車でドライブなどなど、自然を求めて山や川、海へ行く人は激増している。
自然と戯れてストレスを発散させることは、グローバルに人気が高まってきていたところに、コロナ禍がそれ等をさらに促進させた。マインドフルネスやメンタルヘルスを意識して美しい自然の中へ身を置く。
あるいはモノが溢れた時代に、体験への価値が見直されるとともに人生における掛け買いのないものへの投資が盛んになってきていて、それゆえに自然の尊さにも改めて気付かされているという社会現象の現れでもある。
人口が最も集中している都心部から、自然を求めてどこに行くかというと、首都圏から近い千葉、埼玉、神奈川などの自然が残された地域であるが、東京にも美しい自然はある。
東京都西多摩郡は東京の最も西に位置する地域で3町1村あるが、ちょっと不思議な配置となってる。瑞穂町と日の出町は飛び地で東寄りに離れており、東京の最も西に位置しているのが檜原村と奥多摩町となっている。
地図で見ると分かりやすいが、檜原村と奥多摩町はもはや全域が山間部となっていて、東京の最後の秘境と言われるほどに自然が美しく豊かである。そして歴史も古く見どころがたくさんある。
実際に行ってみると休日は多くの観光客で賑わっている。このゴールデンウィークにはあきる野市から檜原村へかけて都道33号線が大渋滞という状況で、自転車でも渋滞に巻き込まれてしまったほどだ。
この地域は地方の過疎地と同じで、高齢化とそれに伴う人口減少が著しい。今回取り上げる檜原村の人口は戦後1950年あたりがピークで6000人を超える人たちが暮らしていたが、その後はずっと減少し続けて2022年4月1日時点では2067人となっている。
世帯数の推移も、減ったり増えたりを繰り返しながら、2013年の1285世帯をピークにこの10年近くで1142世帯まで減少し、マイナス11%ほどになっている。人口の減少率と比較してみると緩やかに見えるかもしれないが、家族単位で考えるとなかなかの減少率だろう。ちなみに同じ期間で人口統計を見てみると、2013年 3385人から2067人まで減少していてマイナス39%ほどとなる。世帯も人口もなかなかに減っているが、世帯減は人口減よりかは少し穏やかに見える。
世帯数減少が人口減に比べて穏やかであると感じられる理由として考えられるのは、自然のある暮らしを求めて若い世代の移住が増えていることであろう。そして移住希望者も多いと聞いている。それでも人口減少のスピードの方が早いと言う状況と、1世帯あたりの平均人数が1.8人という厳しい現実が見える。
そんな檜原村であるが、休日ともなると村の人口以上の観光客で賑わうアウトドアアクティビティの人気エリアとなっており、村の人々もそれを良く理解してビジネスを展開している。つまり観光が地域の主産業といえるほどに重要であり、それを可能にしているのは美しい自然であるということだ。
産業別の統計も地域の生業の大きな変化を見てとれる。かつては第1次産業が約50%以上だったのが、現在では4.5%まで減少し、第3次産業が68%となり村の主産業となっている。これはかなり大きな変化で、村の暮らしの基盤が完全に変わってしまったことを意味する。
つまり、観光客をターゲットにした施設、お土産、食事、宿泊、温泉などのサービス業が主流となっていると考えられる。そこには若い世代も入り込んできていて新しいカフェやキャンプ施設、ゲストハウスやワーケーション、アクティビティのガイドサービスなどが展開されている。
私たちサイクリストは季節が良くなってくると山へと走りに行く。その目的地として檜原村はメジャーなスポットで、武蔵五日市から西へ西へと『都民の森』を目指すのである。あるいは奥多摩へ抜けたりして幾つもの峠を超えて自然を満喫するのである。
そんな我々も村の人々からしたらターゲットに入っていて村にお金を落として行ってくれる客である。登山客やキャンプ、地域観光のビジターには劣るかもしれないが、それでも無視できないほどのサイクリストが訪れている。
道中のカフェや観光スポットにはバイクラックが置いてあり、『都民の森』に行けばサイクリストを歓迎するインフラが整っていてウェルカムな空気が伝わってくる。10月には東京ヒルクライムHINOHARAステージも開催されているし、国体のサイクルロードレースだって開催されたことがある。
我々も地域にお邪魔して遊ばせてもらっているので地元の方達への感謝の気持ちを持っているし、できる限りのお布施はしたいと思っている。
さて、檜原村がどんなところかというのをざっくりと、まぁまぁ長々と書いてきた。なぜこんな事をわざわざ書く必要があるのか?
本題はここからである。
檜原村の自然を守るための署名へ
檜原村の 人里という地域がある。そこは人里もみじの里とされ檜原村の中でも主要な観光スポットである。
お寺のカフェが人気で、他にもお食事どころ、ゲストハウス、キャンプ場、展望台などさまざまに観光スポットがある。もみじだけでなく、春に訪れると人里バス停の枝垂れ桜はとても美しく、多分に漏れず秋川渓流沿いの自然豊かな集落である。
その 人里に大規模な産業廃棄物焼却場を建設するという計画が進められている。計画を進めているのは武蔵村山市にある比留間運送さんで産業廃棄物処理を生業としている事業者である。
詳しくはこちらのリンクから見ていただけるので、ぜひチェックしていただきたい。そして署名もよろしく!
もちろん、産業廃棄物処理という役割は重要なことであるし必要な事である。しかしながら、美しい自然を社会的共通資本として、地元の人たちが村を上げて何年もかけて観光を盛り上げてきた地域に、そのような焼却場を建設することはあっていいことなのか?
なぜ、そこに建設することになったのか?それは直接聞いて見なければわからないが、先に述べた高齢化&人口減少という状況がつながってくる。
高齢化で終活をする人も多い中では、身辺整理で土地を手放すことになる人もいる。そのような土地を安く買うことができれば、廃棄物処理のコストも安く抑えられるだろう。その理屈はわかるが、それは事業者の都合である。
比留間運送さんは、数年前に保養施設であった旧檜原荘の跡地を購入した。元々は建物があったのでそれを取り壊すことや、後処理にかかるコストを考えるとかなり良い交渉が出来たのではなかろうか。建物を取り壊して更地にした後は、地元の林業に関わるウッドチップの生産工場として運用していた。そこまでは良かったのだが、気がつくと、採算が合わないので事業転換をするということになり、本業である産業廃棄物の焼却場を建てるというのだ。しかもどデカくて、24時間稼働して、毎日何十台というトラックが村の主要道路を行き交う。
申請書類を見てもかなり時間と労力をかけて、入念な計画のもとに進められたようである。 檜原村の林業に参入し、建設業者等との利害関係も構築し、巧妙に村内での立ち回りをしているようだが、それは憶測の域を出ない。
もちろん、手続きはルールに沿ってやっているのだし、ビジネスを成功させるための戦略であるのだから誰かにとやかく言われる筋合いもないだろう。
しかし、観光で地域を支えている檜原村としては、この計画は到底受け入れられるものではない。焼却場が人里に出来てしまったら、その地域や村全体、隣接自治体の経済と暮らしにどのような影響をもたらすのだろうか?
少なくとも、良いことは一つも思いつかない。
現在、この計画は東京都に許可申請をして審査中とのことだ。どのような審査が行われるのかは知らない。東京都がどのような判断をするのかも分からない。分からないが、都が許可を出せばこの計画は進んでしまうということである。
都に提出された設置許可申請書などは5月18日まで、檜原村役場や多摩環境事務所(東京都立川合同庁舎)、都環境局資源循環推進部(都庁第二本庁舎19階)で縦覧できるそうだ。また東京都では6月1日まで本件に関する意見書を受け付けており、村民でなくても提出可能だ。
もっと詳しい情報が知りたい方は、村の有志が調べて 産廃処理施設関連データ にまとめてくれているのでチェックしてみてね。
比留間運送さんは、住民の不安解消のため説明会を開いているらしく、今後も説明会は開いていくらしい。しかし、説明したからと言ってクリアになる問題ではない。根本的にズレているのだから。同社のSDGsの取り組みも公表されているが、会社の基本姿勢として言動が一致しない。
これは檜原村だけの問題ではない。都民全員が関わる東京都の重要な問題なのである。休日に檜原村で自然と戯れている人たちは多くいる。あの美しい自然環境を護ってくれている地域の人々の暮らしを守りたいと思わないか。
産業廃棄物を出すのは、人口が多い地域だろう。なぜ、人口が少なくて美しい自然が残る地域に焼却場を建てる必要がある?人口的なものが溢れている地域で生産処理まで全て循環させる仕組みを作ればいいじゃないか。
東京23区には21ヶ所のごみ処理センターがある。市町村にも共有されるごみ処理場があるじゃないか。それでいいんだよ。一般ごみとは扱いが違うかもしれないけど、産業廃棄物だってそれぞれの自治体で責任持って処理すればいいじゃないか。
基準値をクリアしているから大丈夫というなら、環境に影響はないというならば、都心に作ってくれよ。
これ以上自然を汚すなよ。
地域の暮らしを脅かすなよ。
観光資源を守ってくれよ。
地域の色にそぐわないって自覚しろよ。
なんなら観光促進につながる事業転換を考えろよ。
村が向かおうとしている未来像は、村の基本計画に書かれている。産業廃棄物焼却場が檜原村に建つ必要性はどこにも見出せないばかりか、相反するものである。
私の勝手な意見だが、檜原村のランドスケープや道路網、人口などを考慮するならば、上勝町のような地域になってもおかしくない。私たちが目指すべき循環型の先進的な地域社会を形成できるポテンシャルを秘めている。
ただ、使われなくなったものが行く場所は必要であるし、その場所をどこに設置するかは人類全体の問題とも言える。自然を守ると同時に都市部での循環を夢みる。COPENHILLのような地域に受け入れられ、遊んで学べる循環施設を増やしてほしい。
ちなみに、ここまで書いて言うまでもないが… これを書いている私は断固反対の意見を持っている。そして、もし反対の意見に賛同していただけるのであれば、ぜひ署名をお願いしたい。Change.orgで署名ができるので難しいことはない。
檜原村へ遊びに行こう!
もし休日のプランをこれからどうしようという方がいらっしゃったならば、是非とも檜原村へ遊びに行って見て欲しい。何はともあれ、檜原村の自然をその目で見てほしい、カラダで感じて欲しい。
美しい自然や良いところをシェアしてみんなに檜原村の良さを知ってもらいたい。ポジティブなマインドから広がることで、自然環境や地域の暮らしを守りたいって思えるよね。楽しかったこと、感動したこと、たくさんSNSでポストしてシェアして欲しい。
檜原村の観光情報はこちらからチェックしてね。村の人はみんな優しいし、グルメに温泉、滝や神社、重要文化財もあるし、みどりいっぱいで自然を満喫できるよ!
みんなの未来を考える。このことを広く多くの人に知ってもらうために、 #savehinohara のハッシュタグを付けてSNSにポストしてほしい。きっとこの問題を解決することに繋がるから。
まだまだ声が足りない。もっともっと多くの人を巻き込んで、この計画を白紙に戻したい。そして村の人たちと足並みを揃えて自然を守っていきたい。
記者会見が行われます!〜ました!
建設予定地となっている人里の和田自治会役員及び、村の議員有志が記者会見を行う。
〜 行われました!11日の朝刊をチェックしてね!(10日追記)
5月10日(火) 11:00〜
東京都庁記者クラブ
都庁第1庁舎6F 会見室A
03-5321-1111
東京都庁記者クラブにはNHKや民放、大手新聞社等が加盟している。
朝日新聞 / 毎日新聞 / 読売新聞 / 産経新聞 / 日本経済新聞 / 共同通信 / 時事通信 / NHK / 日本テレビ / テレビ朝日 / TBS / フジテレビ / テレビ東京
会見には各社の記者がどれだけ取材に来てくれるのか?そこは蓋を開けてみないと分からない。是非とも関心を持って取材に来ていただきたい。産業廃棄物処理問題について広く情報を行き渡らせるためにひと筆奮って頂きたいし、ニュースで取り上げていただきたい。
同じような問題は全国にあるだろうし、檜原村がということだけでなく俯瞰して未来を変えていけるキッカケを作って欲しい。
もし周りにメディア関係者がいらっしゃったならば、是非この事を伝えて欲しい。その方が担当部署に居てもいなくても、知人や以前取材を受けたライターさんへ「この記者会見は檜原村だけでなく、広く首都圏全体に影響を与える内容である。」と、だから取材に行って情報を広めてもらいたいと伝えて欲しい。
檜原村の魅力に触れたことで、地域が抱える大きな問題にも吸い寄せられて黙っていられなくなった。
数名の知人もそこで暮らしている。彼らの思いを知ると、マジで納得がいかない。
産業廃棄物焼却場が出来ても出来なくても自分の生活は変わらないかもしれない。だけど檜原村へ走りに行く度にもし悲しい現実を目の当たりにすることになったら、彼らになんて声を掛ければいいんだ…
世の不条理は常ではあるものの、変えられるものならば変えようじゃないか。動くのは今だ。
というわけで、みんな署名&情報拡散よろしくね〜
#SaveHinohara
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