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採用の「4P」とその活用方法
「自社の魅力を候補者にどう伝えればいいのかわからない…」
「採用広報 / ブランディングに着手したいがどうすればいいのか…」
「どうすればフィット感のある方からの応募を増やせるのか…」
→ そんなときは採用の「4P」を大活用してみましょう💪
● Philosophy(理念・ビジョン)
● Profession(職務内容・専門性)
● People(人材像・組織)
● Privilege(待遇・環境)
こんにちは、あるいはこんばんは!
「人・組織の困ったをハンズオンで解決に導く人事支援サービス」を提供している FiVE Inc. 代表の泉谷(@Show_Iz)です。
企業の採用活動はテクノロジーの進化や働き方の多様化により、ここ数年は激動の時代をむかえています…。といった感じで採用に関するnoteを書くとだいたい書き出しが同じになってしまうんですが、SNSを活用した情報発信やコロナ禍を経たオンライン面接の一般化、退職者コミュニティからのアルムナイ採用、最近ではAI面接なんてのも出ちゃっていて、本当に激動の時代だと感じてます。
一方で、求職者の視点に目を移すと、転職先企業を「給与」や「業務内容」を中心した条件で選ぶ時代から、「企業理念に共感できるか」「何をやるかより誰とやるか」「自分が成長し、社会に貢献できるフィールドがあるか」といった、より複雑かつ多面的な要素で企業と自分との“相性”を判断する傾向が強まっています。
ステレオタイプな捉え方はしたくないですが、特にミレニアル世代やZ世代と言われる若い世代にとっては、「社会的意義のある仕事」「自分の価値観に合う環境」で働けるかどうかは非常に重視される要素となっているという話も聞きます。
世代による価値観の変化に加え、オンラインで簡単に企業情報に触れられることができるようなったという時代背景もありそうです。求職者は応募の手前でSNSや企業ブログ、口コミサイトをチェックし、その会社の雰囲気や働いている人の考え方、経営陣の姿勢などに触れられます。
企業側としては、「知りたい情報が簡単に手に入る」現代だからこそ、自社ならではの魅力や価値を的確に整理し、発信していく必要があります。
参考:リサーチ系AIエージェントによる自動検索時代の到来。最重要施策は採用広報となるのでは?
そんな時代に注目されているのが、採用の「4P」というフレームワークです。「Philosophy(理念・ビジョン)」、「Profession(職務内容・専門性)」、「People(人材像・組織)」、「Privilege(待遇・環境)」の4つの要素を軸に、企業が求職者に向けてどのような魅力を訴求できるのかを整理するための考え方です。
というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、今回のnoteではこの「4P」についての概念や採用ブランディング / 採用広報に活かせるのか、具体的な事例やステップを含めて解説していきます。
*
Ⅰ. 採用の「4P」とは?
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早速本題へ。
採用の「4P」を一つひとつ詳しく見ていきます。
と、その前に押さえておいてほしいポイントがあります。それは、どのPも単独ではなく相互に影響し合うという点です。
なぜ相互に影響し合うかというと、企業が発信するメッセージには必ず企業理念 / ビジョンが背景にあり、仕事の内容や社内の人材・カルチャー、報酬や働く環境の土台は理念 / ビジョンにあるためです。
では、それぞれの「P」にいきましょう。
Philosophy(理念・ビジョン)
企業が存在する根本的な理由や社会に対して果たすべき使命、価値観、信念を明示するものです。企業の方向性や行動の基盤となり、内外のステークホルダーに対して「この企業は何を大切にしているのか」を示すことで、求職者に共感と参加意欲を喚起します。
企業理念 / ビジョンが生む“共感”と“納得”
企業が社会に対してどんな価値を提供しているのか、またどんな未来を実現したいのか。求職者が企業を選ぶ際、この「大きなストーリー」にどれだけ心を動かされるかが大きな決定要因になります。
たとえば「IT技術で世界をより便利にする」と謳う企業と、「地域社会の雇用を創出する」と謳う企業では、目指しているゴールが異なりますし、そこに共鳴する人材の層も異なります。採用ブランディングのコア
企業理念 / ビジョンは、いわば「採用ブランディング」のコアでもあります。また、理念 / ビジョンが明確に打ち出されている企業ほど、社内の結束力が高い傾向にあるだけでなく、外から見ても「この会社はこういう世界観を大事にしているのだな」と理解されやすくなります。これが結果として、応募者の“マッチング度”を高めたり、入社後の定着率向上につながったりもします。代表的なアクション例
現行のビジョン・ミッション・バリューを再定義し、社内外へ発信する
経営層やリーダー層がSNSやブログで理念 / ビジョンへの想いを綴る
社員一人ひとりに対して、いま取り組んでいる目標や日々の仕事が理念 / ビジョンにどう紐づくのか、分かりやすいストーリーテリングで共有する
Profession(職務内容・専門性)
企業が提供する事業内容や業務プロセス、具体的な職務内容およびその中で発揮される専門性を示すものです。ここでは、企業の技術やノウハウ、取り組むプロジェクトの特徴が明確にされ、求職者が自身のスキルやキャリアプランと合致するかを判断するための重要な情報となります。
キャリアパスを明確に示す
候補者は応募する際、自分の専門性を活かせるかどうかも考えます。加えて、その会社でどんなスキルを身につけ、どのようなキャリアを歩めるのかが明確に提示されているかどうかも重要な判断材料となります。
たとえば人事評価制度上、マネジメントキャリアだけでなく、スペシャリストキャリアも歩んでいけるのかとか、具体的なキャリアイメージや選択肢の準備があることが伝わると求職者の安心感醸成につながります。ポジションごとの魅力を細分化
“営業”、“エンジニア”など大まかな職種名だけではなく、下記例のようにさらに細かく役割を分け、その役割に求められるスキルや期待する成果を明確化すると、ミスマッチを防ぎやすくなります。エンジニアの例:使用技術スタック、開発プロセスの具体例、コードレビュー文化など
デザイナーの例:UI/UXデザインの範囲、ビジュアルデザインとの連携、顧客とのコミュニケーション機会の有無など
マーケターの例:デジタル広告運用の範囲や予算感、データ分析手法、CRM施策との連携など
代表的なアクション例
リアルなプロジェクト事例を公開して、仕事イメージの解像度を高める
入社後の教育や研修、OJTの流れを説明し、スキルアップのロードマップを提示する
社員のインタビューやブログを発信し、実際にどんな専門性が求められているか、“生の声”を発信する
People(人材像・組織)
企業で働く人々、組織文化、チームの雰囲気や働くスタイルなど、人・組織面に焦点を当てた要素です。どのような人材が集まり、どのような価値観やコミュニケーションが根付いているかを示すことで、求職者が自分自身のフィット感を評価しやすくなり、組織内での一体感や協働の可能性を感じさせる役割を果たします。
一緒に働く仲間と組織が自分に合うかどうか
採用活動におけるゴールは入社ではなく、入社してからの定着と活躍がゴールです。そのゴールを見据えると、人間関係や組織風土は圧倒的な重要度を誇る要素といえます。どれだけ給与や職務内容が魅力的だったとしても、自分の価値観と合わない上司やチームメンバーと働くことはストレスとなるため、結果として早期離職につながってしまう火種となってしまいます。カルチャーフィットとバリュー
最近では「カルチャーフィット」「バリュー体現」という言葉が広く知られるようになりました。これは単に“仲が良い”ということではなく、組織が大事にしている価値観や行動指針、バリューに共感し、日々の仕事の中で気持ちよく体現できるかどうかを指します。
たとえば「挑戦を重視する」「結果よりプロセスを重視する」といった価値観が明確に定義されていれば、求職者は自分がその文化の中で活き活きと働けるかをイメージしやすくなります。代表的なアクション例
社員のインタビューや実際のプロジェクト事例を用いて、チームの雰囲気や働き方を発信する
コアバリューを実際の行動例とあわせて具体的に説明し、応募者が共感しやすいように工夫する
オンライン・オフライン問わず、候補者が社員とフランクに話せる機会(座談会、カジュアル面談)を用意する
Privilege(待遇・環境)
従業員に提供される具体的なメリット、すなわち報酬、福利厚生、労働環境、働き方の柔軟性、キャリアアップの機会など、実際に働く上で享受できる条件や付加価値を示すものです。待遇面が明確であることは、求職者が入社後の生活や成長を具体的にイメージするための決定的な要素となります。
給与 / 福利厚生はもちろん、ユニークな“制度”を打ち出す
Privilegeという言葉には、単に“給料や休暇”だけでなく「自社独自のメリット」を含むニュアンスがあります。求職者は給与水準だけでなく、働きやすさ(リモートワークやフレックス勤務制度、育児支援など)や自己成長を促す制度(研修・学習補助など)を総合的に評価します。ブランディングに直結する制度設計
たとえば、スタートアップ企業が「学習用にKindle端末と月3,000円分の書籍購入費を支給する」制度を運用していれば、少なくとも本を読む習慣のある人にとっては魅力的ですし、その企業が“学習や成長を重視している”という印象を与えられます。代表的なアクション例
リモートワークやフレックスタイム制の具体的な運用状況を、実例を交えて説明する
福利厚生の対象範囲(例. 交通費や家賃補助、食事補助など)を明確にして、応募時点で誤解が生じないようにする
働き方改革やワークライフバランス推進の事例を示し、実際の社員の声を掲載する
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Ⅱ. 「4P」活用がもたらすメリットと注意点
採用の「4P」を活用して採用ブランディング / 採用広報に取り組んだ場合のメリット / デメリット(注意点)は次の点が挙げられます。
4P活用がもたらすメリット
わかりやすい整理と一貫した情報発信
4つのカテゴリーに分解することで、企業側も「候補者に何をどのように伝えるか」を明確にできます。募集要項や採用サイト、SNS発信など、チャンネルごとに一貫したメッセージを打ち出しやすくなるのです。候補者の志望度向上
候補者が気になるポイント(理念やビジョン、職務、組織、待遇)をバランスよく提示できれば、「この会社なら自分が大切にしている価値観を実現できそうだ」と感じやすくなります。その結果、応募意欲が高まるだけでなく、内定承諾率の向上も期待できます。採用のミスマッチ削減
入社後のギャップを減らすには、企業が内実を“盛らずに”しっかりと伝えることが重要です。4Pをベースに誠実な情報発信を行なうことで、入社後に「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを防ぐことができます。組織全体の“価値再発見”
人事 / 採用担当だけでなく、現場社員や経営者と4Pについて議論すると、その過程で企業側も「当社の強みはここだったんだ」という再認識を得やすくなります。このプロセスを通じて社内コミュニケーションが活性化し、社員エンゲージメントの向上にもつながります。
4P活用がもたらすデメリット(注意点)
バランスの維持が難しい
4Pの各要素が十分に整備されていなかったり、一部に偏った情報発信が行われると、企業の実態と大きなギャップが生まれる恐れがあります。たとえば、待遇(Privilege)のみを強調しても、実際の社風(People)や業務内容(Profession)が期待に伴っていなければ、求職者の期待を裏切ることになります。情報過多による混乱
各要素について詳細に情報を提供することは、一方で情報量が多くなりすぎ、求職者にとって何が最も重要なポイントなのか判断しにくくなるリスクがあります。特に採用サイトや説明会で伝える情報が散漫になると、逆に企業の魅力が伝わりにくくなる可能性があります。運用・管理のコスト増大
4Pを効果的に活用するためには、企業内でのコンテンツ整備や更新、各部門との連携が求められます。これにより、内部リソースや運用コストが増加し、特に中小企業やベンチャー/スタートアップなどリソースが限られている企業規模では負担となる可能性があります。社内コンセンサスの形成
経営者や部門責任者が「理念 / ビジョンは大事」「職務内容を明確化したい」と頭では理解していても、実際に情報をオープンにすることに抵抗を持つケースもあります。特に待遇(給与や勤務形態など)については情報開示の範囲をどう設定するか慎重な検討が必要です。
これらのメリット / デメリットをあらかじめ頭に入れた上で、上手に採用の「4P」を活用していきましょう💪
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Ⅲ. 「4P」を実務で活用するためのSTEP例
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【STEP1】 現状分析と目標設定
自社の現状を4Pの観点でまずはざっくり洗い出す
各「P」ごとに、具体的なファクトや事例、データを収集・整理する
それぞれの「P」における現状の強み・弱みを明確にし、採用活動で達成したい目標やKPI(例:定着率の向上、ミスマッチの低減、ブランドイメージの強化など)を設定する
【STEP2】 コンテンツの作成 / 整合性確保
各「P」に紐づいたメッセージを一貫性ある形でまとめる
経営陣、現場リーダーなど関係部署と協力して、上記メッセージが現状と一致しているか確認する
採用サイト、パンフレット、SNS、動画、社員インタビューなど、複数のチャネルで発信できるコンテンツを作成する
経営陣、現場リーダーなど関係部署と協力して上記【STEP2】で動かしている各種発信が現状と一致している常に確認する
定期的なミーティングやレビューを通じて、採用メッセージの整合性と最新性を保つ体制を整える
【STEP3】 採用プロセスへの組み込み
面接や面談、会社説明会、オフィス見学といった各採用プロセスにおいて、4Pに基づいた情報提供を標準化できるよう設計する
候補者に対して、各要素(理念、仕事内容、社風、待遇)について具体的に確認し、フィット感の確認を組み込むことで、ミスマッチの予防とより精度の高い採用判断を促進できるようにする
【STEP4】 フィードバックと改善サイクルの構築
採用後の定着率、応募者・内定者・新入社員からのフィードバックを定期的に収集し、4Pの各メッセージが実際の働きや環境と合致しているかを評価する
収集したフィードバックを基に、コンテンツやプロセス、内部体制を随時アップデートし、4Pフレームワークの効果を最大化する仕組みを確立する
【STEP5】 成果の測定と評価
【STEP1】で設定した目標やKPIを定量的に評価する
評価結果に基づいて、各ステップの改善ポイントを抽出し、次のアクションに反映させる
【おまけ】 社内周知による浸透
全社員向けに、採用の「4P」の意義や具体的な内容について定期的にアナウンスし、自社の「4P」の認知や理解を促す
上記1.を通じた認知や理解をもとに社員が自ら「4P」に基づいたメッセージを発信した際には、社内でのシェアや称賛する文化を醸成し、主体的に発信してもらえる環境をつくりあげる(個人の発信からも外部に対して一貫性ある魅力的な情報が発信されるという良い循環が生まれる)
以上、一例をおおくりしてきましたが、自社に最適なかたちで進めましょう💪
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Ⅳ. まとめ&最後に
本noteでは、採用の「4P(Philosophy、Profession、People、Privilege)」というフレームワークを軸に、企業がどのように自社の魅力を整理し、求職者に伝えていくべきかについて解説してきました。
採用の「4P(Philosophy・Profession・People・Privilege)」は、企業側が自社での仕事を通じて求職者に提供できる価値を4つの視点で捉えたものであり、その本質は「自社の魅力を多面的かつ一貫性のある形で伝え、双方にとっての最適マッチングを実現すること」にあります。
4Pを適切に捉え、活用していくことによって、企業側は単に応募者を増やすだけでなく自社にフィットする優秀な人材に振り向いてもらえるようになります。また、求職者側も入社前に企業の理念・仕事内容・人・待遇を総合的に理解できるため、ミスマッチのない納得感のある選択が可能となります。
現在のように人材獲得競争が激しく、求職者の志向が多様化する時代においては、採用の「4P」を軸に据えた戦略的な採用ブランディング / 採用広報が企業の成長を支える重要な鍵となります。
自社の強みや文化を4Pのフレームワークで体系立てて洗い出し、磨き上げ、魅力的かつ誠実に候補者へ伝えていくことが、「選ばれる会社」への道に繋がるはずです。
せっかくなので、ここまでこのnoteを読んでいただいた方はネクストアクションとして、ぜひ以下のステップを実践してみてください。
□ 自社の採用ページについて、4Pの視点から情報量の充実度を確認する
□ 4Pの内、自社の強みと弱みを分析し把握する
□ 上記で弱みとなったPに関する弱みについての軽減策を企画 / 立案する
□ SNSやnoteで継続的に情報を発信できるようスケジュールを組む
□ 社員アンケートや1on1を通じて、現場の“本音”をすくい上げる
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というわけで最後に宣伝です。
採用の「4P」をもとにした採用ブランディングや採用広報について、FiVE社では戦略 / 戦術立案だけでなく、ロードマップに落とし込んで実際にコンテンツを作成するなどの実務経験も豊富にあります。
以前、別のnoteでも書きましたが、「リサーチ系AIエージェントに自動検索される」これからの時代に備えて、4Pを視界に入れた情報発信 / 採用広報を強化していきたい企業さまがいらっしゃいましたら、ぜひ下記お問い合わせフォームからご連絡くださいませ!
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弊社 FiVEでは「苦しんでいる人事や経営者の力になる」ためにコンサルティングサービス、メンタリングサービス、RPO(採用代行)サービスを提供しております!
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