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5月10日(金):需要の適切な見極めが大事

先日の日経新聞には「米ペロトンのトップが退任 業績低迷で、人員15%を削減」と題した記事がありました。

ペロトンは自宅用エクササイズ機器の販売をメインとする企業でコロナ禍ではユーザー数が大幅に伸び、行動が制限されるなかで苦戦するリアル店舗を尻目に躍進をしました。

当時は様々なメディアで取り上げられ、時代を代表する企業のような扱いになっていたのも記憶に新しいところです。

しかしながら新型コロナの終息に伴い、自宅用エクササイズ機器の需要が急減して業績が悪化し、それへの対応で人員削減や不採算事業の縮小・撤退など積極的なリストラを主導してきたものの、長引く業績低迷から抜け出せないでいます。

そうしたなかでトップ退任とあわせ、追加で従業員の15%に当たる400人の人員削減を発表した形です。

コロナ禍では「新たな生活様式」が提示され、それを転機にして一定程度は私たちの生活に浸透した行為や価値観もあるし、一方で一時的な逃げ道だけに留まっていたものもあります。

ホームフィットネス機器やオンラインでのサービス提供については一定のユーザー数もいて継続的な需要も生まれていますが、その規模はまだ限定的であるのが実情だと思います。

社会環境の変化によって需要が伸び、企業の売上が大きく押し上げられることもありますが、その変化が恒常的なものか、一時的なものかどうかの見極めは大事ですね。

今回のケースは後者と言えるわけですが、需要のピークにあわせた生産体制やサービス体制にしてしまうと、どうしてもその後に尾を引くことは不可避でしょう。

ピーク時には機会損失をしたくないし、急増したユーザー数を定着させられれば、と見込みたくなる心情もわかります。

でも一過性の需要である可能性が高い場合には、そこでブレーキをかけて踏み止まる勇気も必要なのだと思います。

絵にかいたような急進とそこからの低迷がワンセットになった本事例からは、前述したような適切な見極めの大切さを示唆している気がします。

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