10月20日(木):次世代が育つための「場」が必要
この1週間ほどは来月に開催予定の「Sports&Wellness Weekカンファレンス2022名古屋」で私が登壇予定のパネルディスカッションに関連した話を続けています。
今回のパネルディスカッションのタイトルは「トレーナー力を活かした小規模ジムの運営-活かしきれていない「個」・「小」・「地」を活かす、次代の経営」です。
直近ではキーワードの「個」について取り上げ、事業を行う活動単位が「個人」なのと、トレーナー個人の「個性」が発揮されているか否かは全くの別問題であることや、「個」において絶対に外してはいけない観点は「お客様」への「個別対応」だと記しました。
そこから派生して昨日は「トレーナー個人の個性が発揮されている状態」へ近づけるためのプロセスに触れたところです。
小型クラブでは大型クラブに比べると規模や運営構造から、トレーナーの絶対数が少ない状態になります。
だから一人ひとりのトレーナーの存在が重要になるし、クラブ運営に与える影響度も相対的に大きくなってきます。
それゆえトレーナーの成長、人材育成はこのうえなく大切です。
ただ小型クラブを組織で運営するか、個人で運営するかで、育成のあり方は変わってくると思っています。
組織に対して個人の場合は、どうしたって育成に関与できる物理的な時間や人手が限られますからね。
また人数が少ない分だけ多様性は乏しくなるし、上司と部下スタッフの1対1しかない構図だと、関係性や心理的な面での逃げ道もなくなります。
そこは個人に近い事業単位でクラブ運営をしながら人材育成をする難しさだと思います。
加えて現状で独立をしてクラブ運営をしているトレーナーの多くを見ても組織で育ち、そこから巣立った人がほとんどであるのが事実でしょう。
そうした点をふまえて人の再生産を考えると、次世代のトレーナーが良好に孵化していく組織は必要だというのが私の持論です。
だからといって単純に組織を礼賛するわけではありません。
大事なことはそれがどんな組織か、ということだと思います。
組織に属する人が成長できない、やりたいこともできない、閉塞的で息苦しい、そういった状況に耐えかねて、消去法としてトレーナーが独立を考えなければならない組織なのであれば、それは良好に次世代のトレーナーが孵化する組織とは違います。
組織の中でも成長でき、それに伴って自分のやりたいことも具現化でき、組織の中で自分を活かすこともできるし、主体性ある選択として独立も考えられる、そんな状態であるのが望ましいですね。
歴史を振り返っても人が良好に再生産できなかった国や組織は継続性が危ぶまれたのは明白だから、この点は本当に大事だと思います。
私たちも現時点でそれが実現出来ているとは言い難いですが、先のような状態を目指していることだけは確かです。
ここは一朝一夕で築き上げられるものではないし、それをお金で買ったり、外から移植することもできないので、腰を据えて地道にやっていくしかないと思っています。
●セミナータイトル
「トレーナー力を活かした小規模ジムの運営-活かしきれていない「個」・「小」・「地」を活かす、次代の経営」
●概要
コロナ禍により、逆転現象がみられている。かつては、資本力のある大企業、大型の施設、都心の駅前立地が、大きく成功するための要件とされていたところがあったが、今は、必ずしも資本力が乏しい個人であっても、トレーナーとしての本質的な能力を備え、たとえ都市近郊の住宅地や地方郊外のロードサイドに立地した小型の施設でも、地域密着ぶりを活かして経営を成り立たせることができるようになってきている。むしろ顧客の立場からみると、こうした「個」・「小」・「地」を活かしたジムのほうが、運動初心者とトレーナーの間にエンゲージメントが醸成されやすく、運動習慣化も達成しやすいという傾向もみてとれる。一トレーナーが、小規模でコンセプトがわかりやすいジムを開発、運営し、サクセスフルに成長していくためのキーポイントを探りたい。
・開催日時:11月11日(金)11時~12時30分
・会場:ポートメッセなごや
portmesse.com
セミナーへの申し込みは以下、SPORTECのサイトからお願いします。
sw-week.jp
Sports&Wellness Weekカンファレンス2022名古屋
ポートメッセ セミナーⅡ 【A-7】