「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論766」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第32号(2007.9.25発行)「世界のトップ25社2006年度版」2~※名称等は当時、一部文章省略
各種ランキングのトップには、フィットネス・ファーストやカーブス同様、見慣れた企業が名を連ねており、それぞれの会社が確実に成長していることがわかる。
直営店舗数では、24アワーフィットネスが2006年末時点で370店舗となり、前年比で56店舗増加している。
コナミ・スポーツ&ライフは38店舗増の313店舗、TSIは8店舗増の149店舗であった。
バリー・トータル・フィットネスは、2005年に25店舗を売却し、3ヶ月前にも6店舗を更に売却、2006年度トータルで34店舗減としているものの、店舗数ではまだランキング上位に食い込んでいる。
売上成長率も全体に好調に推移しており、フィットネス・ファーストは前年比18%増、24アワー・フィットネスは20%増、TSIは11%増であった。
マネジメント・ビジョン社社長でコンサルタントのリック・カロ氏は、今年3月に開催されたIHRSAの第26回国際コンベンションにおいて、フィットネス業界が他のセクターに比べて好調である、とコメントしている。
フランチャイズ分野では、サービス業態や店舗数などの面で、ダイナミックな成長が見られる。
過去1年間の店舗数成長率ランキングでは、トップ25社のうち半数近くがエニタイムフィットネス、リトルジム・インターナショナルといったフランチャイズ企業によって占められた。
しかしながら、カロ氏はこれらの比較的新しいフランチャイズ企業の利益率が、他業態と比べて低い傾向にあると指摘している。
バリーの株価の急落とその後のニューヨーク株式市場上場廃止という出来事があったにも関わらず、ライフタイム・フィットネスとTSIの株価は順調に推移している。
2006年初めのライフタイム・フィットネスの株価は38ドル9セントであったが、年末には48ドル51セントとなり、27.3%上昇した。
TSIも年始の13ドル24セントから年末は17ドル4セントへと28.7%上昇した。
あるアナリストは両社を以下のように評価する。
「ライフタイムもTSIも、毎期予想を上回る業績を挙げています。また、売上、利益の両方で2006年度の予想を上回る結果を出しました。」
こうした業界大手各社の好調な業績に加え、景気の安定、マクロ経済の好調さ、業界の順調な成熟と拡大といった要素に支えられ、この業界への興味を強める起業家、投資家が増えてきている。
ベアスターンズ・マーチャント・バンキングのシニア・マネージング・ディレクターであるデビッド・キング氏によれば、過去に例を見ない規模のプライベート・エクイティの資金がこの業界に投じられているという。
カロ氏もこの見方に同調しており、以下のようにコメントしている。
「業界に対する関心は非常に高まってきています。業界内での競争は激しさを増してきており、価格競争も起こっているものの、この業界に参入したいという人々は増える一方です。今後こうして優秀な人材がこの業界にどんどん入ってくれば、クラブ企業の運営の質もますます高まっていくことでしょう。」
~ここまで~
現在の日米のフィットネス市場規模(参加率)は、記事当時以上に開く一方であり、その理由の一端が上記から読み取れると思いました。
どの業界でもそうですが、伸びている時期に、資金や人材が一気に流入し、さらなるジャンプアップのサイクルが回ることの大切さです。
残念ながら、日本のフィットネス業界の場合、クラブ数が一気に増加する時期は、何回かあったものの、参加率自体が3%前後を推移するだけで、全体のパイが大きく広がる時期を経なかったことが、この格差に繋がっていると分析できます。
そのような低温状態が続いてきた為、デジタル社会の進展に伴い、資金や人材の多くはフィットネス業界をスルーし、ヘルスケア領域のテック企業へと吸い込まれてしまったとアバター近藤は見ています。
もはやこの状態において、フィットネス業界全体として、多大な期待を得ることは難しくなっており、特定企業に耳目が集まる程度の世間的な反応に留まるのが関の山と思われます。
当社はもともと市場規模を追いかけることを命題とはしてきておりませんので、顧客視点での適正規模追求を粛々と進めていきたいと考えています。
お読みいただきありがとうございました。
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