12月2日(土):孤独は「1日15本の喫煙」に相当する健康への脅威
先般にはForbes JAPANで「孤独は『1日15本の喫煙』に相当する健康への脅威」と題した記事がアップされていましたので、本日はこれに関連した話を少しばかり。
こちらはWHOが「孤独を差し迫った健康上の脅威」と位置づけたことを受けての内容です。
WHOでは「社会的つながりに関する委員会」を発足させ、今後3年間で孤独の蔓延を「世界的な公衆衛生の優先的課題として確実に認識し、資源を動員する」としています。
同記事のタイトルにもなっていた「孤独は『1日15本の喫煙』に相当する健康への脅威」というのは、慢性的な孤独の体験が、さまざまな慢性疾患を引き起こすリスクを高めるとの観察結果から生まれたものだといいます。
具体的には社会的つながりが乏しい、あるいは不十分な状態は、心臓病のリスクを29%、脳卒中のリスクを32%増加させ、不安、うつ病、認知症、呼吸器系疾患、ウイルス感染のリスクも高めるという研究結果が米国公衆衛生局長官のレポートで引用されたことに起因します。
米国内の調査では人々が1月のうちに一人で過ごす時間がコロナ前の15年ほどで8%ほど増えており、さらに親しい友人が4人未満と答えた米国人の割合は、1990年の27%から2021年の49%へと増えている点があげられていました。
先の数字は米国内の調査ですが、こうした傾向は米国だけに限ったものではなく、他の先進国でも同様な問題提起がなされている旨が記事内でも指摘されている通りです。
例えば日本でも子どもの孤独への問題意識から、政府が学校や家庭以外の子どもの「第三の居場所」づくりに向けたモデル事業も政策として旗振りがなされています。
こうした孤独を和らげていくための「居場所」づくりについては過去にも記事としてアップをしてきました。
孤独は様々な問題が絡みあって生じている現象で、例えば前述した子どもの孤独は決して子どもの社会だけで生じているものではなく、大人も含めた地域社会のなかで生じていることです。
具体的には核家族化や両親の共働き、遊ぶ場の減少や公園等の空間でできることの制限、スクリーンタイムの増加、塾通いの低年齢化など種々の要因が絡んでいます。
また別な観点として居場所は単に場や空間の有無だけの話ではなく、社会が流動化するなかで所属や他者との関係性が変わり、個々人が自分のアイディンティティをどう保つのか、どこでアイディンティティの承認を得るのか、といったアイディンティティを巡る点も絡んできます。
だからひとつ確かなのは孤独の問題が単一の取り組みでは解消が難しく、複合的な取り組みが必要になってくることです。
このあたりは明日に続けます。