9月14日(土):サーモスが「温める」つながりの新ブランド「&ONDO」
先般には魔法瓶大手のサーモスが新ブランド「&ONDO(アンドオンド)」を立ち上げた旨のリリースがありました。
サーモスの基幹事業は周知のように魔法瓶などの保温容器を中心にしたものですが、そこで培われた保温のノウハウを今度は身体の冷えを解消することへ転用しようとする試みが前述の新ブランドです。
商品のラインナップとしては大きく3種類で、足先やふくらはぎのための「LEG」、寒さに敏感な首元や手首のための「NECK」、腰回りを中心とした「CORE」となっています。
ルームソックスやネックウォーマーなど、生活の様々なシーンに対応した全12商品での展開です。
魔法瓶ではステンレスを二重にして外側と内側の間に空気の層をつくり、内側の温度が保立てるようにするのが特徴ですが、既存事業で積み上げた知見が今回の商品群にも反映されているようですね。
こうした自社の中核価値・ノウハウを他の製品市場に応用することもまたイノベーションの一形態です。
このアプローチの代表例はダイソンでしょうか。
「吸引力が落ちない掃除機」でブランドを確立し、そこで培ったモーターの技術を応用する形で、羽根のない扇風機を市場に投入し、さらにはドライヤーなどへ派生させていったのは周知の通りです。
その一方で注意が必要なのは、自社にとっては新規事業、新市場であっても、既存の商品市場であれば当然ながらそこに従来のプレイヤーがいる点です。
だから、その市場で未解決な不を捉えたり、ユーザーのインサイトを満たす商品になっているのかどうかがポイントになります。
今回でいえば、おそらく靴下の「保温機能」と「履き心地」、そして「価格」のバランスでしょうね。
私たちはスクール制の小型フィットネスクラブを運営する企業ですが、不調になる要因のひとつに「冷え」があることから、物販では「レッグウォーマー」や「腹巻き」を取り扱っています。
自社の商品は京都の老舗絹糸商にお願いをしているOEMで、シルクの肌触りと温かさを重視したものです。
そのため素材の品質と価格のバランスについてはそれなりに理解が及びますが、今回の新ブランド商品の機能性と価格面がどのようなバランスになっているか、ですね。
いずれにせよサーモスにとっての新境地で、「保温」にアイディンティティを持つ企業ならではの非常に面白い試みだと思います。