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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論558」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第15号(2004.11.25発行)「アクアエクササイズの今」5~※名称等は当時、一部文章省略

新商品開発の方向性
毎年日本でアクアエクササイズの国際イベントを開催し、そのトレンドを見てきている株式会社アクアダイナミクス研究所代表取締役K氏は昨今の動きを次のように話す。

「以前は、日本のトレンドは米国のトレンドを追随するもので、ほとんどのプログラムが米国から日本に入り、陸上のプログラムとしてヒットした内容が、やがて水中で行うプログラムに応用されるという流れがありました。しかしここ5~6年は日本の高齢化が欧米より進んでいることや、クラブのプール保有率が欧米に比べて格段に高いことから、日本オリジナルのプログラムが数多く創出されるようになってきています。これは良い点と危惧すべき点があります。良い点は日本のインストラクターが顧客ニーズに応じて独自の視点と創造性でプログラムを開発している点です。危惧すべき点は、そうして創られたプログラムもすぐに真似されて独自性を失ったり、集客数が伸び悩むなどで2年程度のサイクルで姿を消してしまうものが多いことです。今後は、各クラブが独自の魅力でメンバーを惹き付け続けるためにも、各企業やクラブがそのビジョンやミッションに合わせて、戦略的にプログラムを開発・導入することが大切だと思います。」

K氏によると、現状世界的な視点でアクアプログラムを分類すると①「カーディオ(有酸素系)プログラム」、②「トレーニング(筋コンディショニング系)プログラム」、③「リカバリー(ADL向上・リラックス系)プログラム」のようになり、日本では今後、特に②の筋力トレーニングや、③のような関節可動域を広げたり、姿勢改善やリラクゼーションを効果的に行うプログラムに特に開発の余地が残されているという。

既に見られている新プログラムの開発例では、ティップネスがコアに着目して導入している「アクアボール」(専用の浮き具を使うことで正しい姿勢を保つために必要な筋群を強化するとともにバランストレーニングを行うプログラム)や「アクアYOGA」(ヨガの動きを採り入れた水中で行うコアトレーニング)など、またスポーツプレックスで提供されている「ハイドロトーン」(手足に水の抵抗を高める器具を付けて行う筋力トレーニング)や、「アイチ」(呼吸と経絡を活用した太極拳に似たプログラム)、「ワッツ」(水の浮力を活かし身体をほぐすことで姿勢を整えるプログラム)、「ヌードルリラックス」(浮き具を使ったリラクゼーションプログラム)などがある。
ルネサンスでは有料プログラムとして「膝イタ・腰イタ改善スクール」を月7,000円で提供している。
今後こうした泳法以外のプールでの有料プログラムやパーソナルトレーニングも開発が進むことだろう。

日本では、リラクゼーション系プログラムは既存プールで行うと身体が冷えてしまい提供しにくい環境にあるが、最近はスポーツプレックスのように水温を36~37℃に設定した「リ・コンディショニングプール」などを付設するなどして目的に応じて利用できる環境を整えつつある。
その他のクラブでもプールを複数持ったり、ウォーキング専用プールや流水プールなどを備えたりしてきている。
ウォーキング専用プールは、開発時に付設すれば、初期投資額が大幅に増えることはなく、またランニングコストも、メインプールと同じ空間に設置すれば、それほど増えない。(プール関連のランニングコストのうち室温を維持するために掛かる光熱費がそのほとんどを占めるため、通常のプールと空間を共有すれば単位空間当たりの空調効率は増す)。
今後はこうした施設アイテムもアクアプログラムの開発やクラブの独自性創出への鍵を握るものとなる。

~ここまで~

記事当時のクラブ開発の潮流として、大型化や多アイテム化が大きな流れとなっていたため、付随してアクアプログラムも多様化が進んでいた時代と捉えることができます。

その後は、徐々にプール利用者の高齢化、減少化が進んだことで、アクアプログラムも安定して高集客できるアクアビクス中心に再び集約化していったと言えます。

当時は、プールを含めジム・スタジオも揃う3種の神器が事業成立に必要と見られておりましたが、現在はプールレスクラブの開発がメインです。
そのため、いずれプールがあるクラブの方が、徐々に希少となってくると考えられますので、その中でいかに価値提案していくかが問われてくるでしょう。

お読みいただきありがとうございました。

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