6月22日(土):「ほどよい安心」と「ほどよいサービス」での折り合いを
先週には回転ずし店での迷惑行為を検知する人工知能(AI)カメラシステムの販売開始に関する記事がありました。
こちらは「空き皿をレーンに戻す」などの迷惑行為を学習したシステムをカメラに搭載し、回転ずし店の顧客の行動をリアルタイムで検知して被害の抑制を意図したものです。
これはテーブルに置かれた醤油差しを舐めたり、流れている寿司をわざと触るなどの非常識行為をSNSにアップして炎上し、ネット上で社会的制裁を受けたり、被害企業が威力業務妨害等で訴えたことは多くの方も記憶にあるところでしょう。
今回の回転ずし用のAIカメラがこれらを抑止するための商品であるのは明白です。
店舗側がこうした設備を導入することで安心を覚える人もいる一方で、各テーブルを撮影・録画しながらリアルタイムで行うチェックは言わば監視と同じだから、それを煩わしく感じる人もいるはずです。
常識から外れた行為であるからこそ、SNSやニュースでそれが取り上げられた時のインパクトは大きくなります。
そこでの驚き、気持ち悪さ、憤りのようなものはあるにせよ、大多数の人はまともであって同様なことをするわけではありません。
そうしたなか、常識外のレアケースを防ぐことをスタンダードにしようとすると、回転ずしであればテーブルに共用するものを置かない、全ては個包装、皿にもカバー、そして常時監視へと向かいます。
こうなると企業の負担は増すばかりだし、私たちユーザーもそれまで当たり前に享受できていたサービスがなくなったりして、双方にとってはなんら良いことがありません。
昨今はカスタマーハラスメント対策での法制化に向けた議論、提言も進んできましたが、常識から逸脱した行為にはそちらで毅然と、厳正に処していくことです。
そのうえで際限なく安全を求めて、すべてのリスクを排除するような監視社会や窮屈なサービスにするのではなく、ユーザーも企業側も程よく折り合いがつけられることろでサービスをしていくのが良いんじゃないかと思っています。