「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論333」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第3号(2002.11.25発行)「温泉・温浴」7~※名称等は当時、一部文章省略
温泉・温浴施設の種類
4.軟水・炭酸温水
特別な機械に水道水(や井戸水)を通し水の質を変え、「肌がつるつるになる」「血行が良くなる」といった効果が得られるお湯を作るものである。
軟水は特別な機械を配管に設置することで、水道水に含まれている石灰成分を除去し、肌への刺激が少ない滑らかな感触の湯が得られるというもの。
初期投資は装置に約200万円(工事費込み)が掛かるだけであり、ランニングコストも、石灰成分を除去する際に必要となる塩の費用2,500円/月程度と、コスト面での負担は少ない。
フィットネスクラブでは株式会社リーヴ・スポーツが全7店舗にこれを備えており、メンバーからの評判も良いという。
特に通常肌が荒れたり、乾燥しがちな女性や中高年のメンバーに好評で、家庭用の装置を販売し始めたところ、アトピーの子供を持つ家庭や、家族へのプレゼントなどに購入していくメンバーが多く、半年間に1台約30万円の軟水機が40台以上売れたという。
軟水は、効能を得るために薬品などの特別な物を使用するわけではないので安心であるとともに、水から石灰成分などが除去されることから水垢などが設備に付着しにくく、掃除や配管のメンテナンスが楽になるというメリットもあるという。
難点は、お湯が無色透明であることから、見ただけでは違いが分からないことくらいだという。
炭酸温水は炭酸ガスを温水中に溶け込ませる装置を取り付けることにより、炭酸泉(温泉の一種)と同様の質の湯を作り出すものである。
炭酸ガスが皮膚から入り込んで毛細血管を拡張する効果があるため、血行を良くすることができるという。
こちらは初期投資は500万円程度、ランニングコストは炭酸ガスとフィルターに掛かる30,000円/月程度となっている。
両者とも低い投資で喜ばれるお風呂を提供することを可能にするものであるが、導入がしやすいだけに競合クラブや近隣の銭湯などが同様の設備を付けた場合、優位性を保つことが難しくなるという懸念がある。
5.温浴剤・備長炭
温浴剤や備長炭などを風呂に入れることで、温浴効果を高めようとするものである。
特別な設備が必要ないことから取り組みやすく、週替わりや月替わりなどで様々な湯が楽しめるメリットがある反面、取り組みやすいだけに差別化や優位性を出していくという面では見劣りすることは否めない。
また、入浴剤を使用する場合、その入浴剤と塩素との相性や、濾過により薄められてしまうことなどからお湯の質を一定に保つことが難しく、お湯の入れ替えも通常の風呂よりも頻繁に行わなければならなくなり、水道光熱費が若干高まる懸念がある。
温浴効果を優先して塩素を薄めにするなどした場合、水質の安全性にも配慮が必要となる。
温泉・温浴施設は現在、多くの生活者の関心事でもあることから、それを付帯することの付随的なメリットとして、媒体やメディアなどで取り上げられる機会が増え、広報にも役立つということもあるようだ。
~ここまで~
現在、軟水をうたったクラブはほとんど無く、また炭酸温水を導入しているクラブも少ないと言えます。
理由として考えられるのは、軟水設備の場合、無色透明のため、お肌が敏感な方など分かる人にしか分からないという点が難しいと思っております。
また炭酸温水は、ほとんどのスーパー銭湯で導入されていて投資コストが掛かる割に差別化ポイントになりにくいという点が大きいと考えます。
スーパー銭湯のアイテムで言えば、天然温泉露天風呂・天然温泉・炭酸泉の順で人気があるように分析され、準天然温泉・軟水風呂・温浴剤風呂・備長炭風呂は若干、人気薄に見受けられます。
これらの感覚や利用数測定を通じて、総合的に導入判断をされるのが良いと思われます。
本日もお読みいただきありがとうございました。
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