6月29日(木):「クリティカル・コア」は非合理から生まれる価値と強み
昨日は高級輸入車をあえてカジュアルな雰囲気に加工する「チープアップ」を施し、独自の世界観と魅力でユーザーを引き付けている「オンザスリー」のことを取り上げました。
それに付随して一般的なドレスアップに反してドレスダウンともとれるチープアップと、そこに内包された非合理から生まれる価値のクリティカル・コアに触れましたが、本日はその続きをもう少しばかり。
クリティカル・コアについて改めて説明すると、傍目には非常識に映るけれども、コンセプトから見ると一貫性をもった中核となる打ち手を指します。
誰もが納得するような合理的な戦略は、すぐに競合他社に模倣されて競争優位ではなくなってしまいますが、一見して非合理な打ち手は模倣されにくい面を持っています。
書籍「ストーリーとしての競争戦略」では重層構造のなかでレベル4の最上位に位置付けられ、非合理な一面を持つがゆえに追随する企業の模倣を阻む要因に挙げられているものです。
私たちフィットネス業界を例にとると、カーブスなどはそうした要素を持ち合わせていると思います。
日曜休み、18時までの営業、スタッフはアルバイトスタッフではなく社員雇用といった点は、一般的な大型総合クラブからすれば非合理に映るものでしょう。
でも、カーブスのような中高年の顧客対象、そして会員様との関係性を重視するコンセプトからすると、これは一貫性のある取り組みに他なりません。
こうした点は自社が運営するスクール制の小型クラブ「健康習慣クラブALIVE」にも同様な面があります。
いつでも好きな時に通うことができる一般的なフィットネスクラブと比べると、スクール制として自分の通う曜日と時間を決めることは利便性を欠く面もあり、非合理ともとれます。
でも、私たちは単に運動する場を提供することがゴールではなく、「健康習慣を形成してもらうこと」がゴールなので、その観点からすれば習慣化に寄与する一貫性を持ちます。
またレッスンの振り替えもオンライン、スマホに集約することも可能ですが、それでもお客様が休む理由や体調を直接伺うことに意味があるし、状況を把握したいから、あえてオンラインでの振替ではなく電話に集約をしています。
全体のなかでは一貫性、整合性がありながらも、外から見た時に非合理に見える一面があることで模倣・参入をためらわせる一因になりえる、との観点です。
当然ながら単に非合理というだけでは意味がないので、非合理な一面が独自の強みや価値につながっていかなければなりません。
私たちでいえばスクール制の要素は非合理な面もありますが、外形的なものでもあるので、もっともっと無形の部分を磨いていく必要性を感じる今日この頃です。
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