「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論611」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第19号(2005.7.25発行)「男性専用小規模サーキットクラブ・カッツ創始者ジョン・ジェナロに訊く」2~※名称等は当時、一部文章省略
ーこれまでの同業態のフランチャイズは、まず米国内での展開に専念し、市場の浸透率を最大化させてから海外に進出するという傾向がありました。しかしながら、カッツは国内市場と国外市場を同時に開拓しようとしているように見受けられます。
ジョン・ジェナロ
:我々は、世間から注目されるグローバルなブランドを築くことができる立場にあると感じています。既に大きな勢いに乗っており、国内外両方のマーケットを同時に開拓することで、その勢いを効率よく利用することが出来ると考えています。国内での成長と海外での成長は両輪で進んで行くものなのです。今、世界のあらゆるところから問い合わせが来ており、本当にびっくりしています。これはインターネットのリーチとパワーの現れでもあると思います。ウェブサイトは、我々にとって驚異的に生産性の高いツールとなっています。
ーカーブスのビジネスモデルの成功を見て、他にも数多くの女性専用フランチャイズチェーンが誕生し、市場に参入してきました。カッツの場合も、競合チェーンがすでに登場してきているようですが、これらの競合にはどのように対処していくつもりですか?
ジョン・ジェナロ
:カーブス同様、我々も開拓者として競合の参入を見ていくこととなるでしょう。カッツの強みは、先行チェーンというだけでなく、優れたビジネスモデルを持ち、さらにそれを常にブラッシュアップしてきていることです。自分たちが良いポジションにつけていると感じていますし、ビジネスパッケージのクオリティの高さにより、市場のリーダーであり続けることができるという自信を持っています。
ーカッツは、先日女性専用のマーケットにも参入されました。既に飽和状態にあるように見えるこの市場に参入した理由をお聞かせ頂けますか?
ジョン・ジェナロ
:女性専用の同業態のクラブのほとんどは、比較的年配の、あまりコンディションが良いとは言えない顧客層にターゲットしています。一方、若くて健康な女性をターゲットとした、手軽で便利なローコストのフィットネスの場はまだありません。20~45歳のこうした女性たちの多くは、総合クラブに入会し、グループ・サイクリングやピラティスのクラスに通ったりしていますが、男女共用である環境や、大規模で多目的な施設に馴染むことが出来ずに退会してしまう人も少なくありません。こうした女性たちが、30分で効率よく有酸素運動とウェイトトレーニングをこなせるクラブはこれまで存在しませんでした。つまり、まだ他の誰もが応えていないニッチなマーケットを見出したので女性専用のカッツを創ったのです。
ーカーブスと競合することを心配されてはいないようですね?
ジョン・ジェナロ
:マーケットは両方のチェーンを受け入れることができると考えています。というよりも、先ほども言いましたように、ターゲットが違うので競合しないと考えています。カーブスは比較的年齢層が高くて、あまり運動に慣れていない層にターゲットしており、カッツは若くてより運動に親しんでいる層にターゲットしていきます。両者の間にはシナジー効果があるとさえ言えるかもしれません。カーブスのようなクラブが女性たちをある一定のレベルにまで引き上げ、そこに到達した女性たちをカッツが受け入れて、より強度の高いエクササイズの場を提供するというように。
~ここまで~
国内市場と海外市場の同時フランチャイズ展開や若年女性をターゲットとしたサーキットジムへの進出とかなり野心的な展開をしていたことが読み取れます。
個人的には、若年女性はトレーニングプログラムの変化が乏しいサーキットジムでは飽きがきてしまうと感じておりますが、こちらもその後、どのような結末を迎えたか最後に確認したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。