5月30日(火):テロワールを活かしたしょうゆ造り
先般の日経MJや日経産業新聞では創業191年の老舗、群馬県安中市の有田屋のしょうゆ造りを取り上げた記事がありました。
同記事で取り上げられていたのはワインの製造で重視されるテロワールを、しょうゆ造りにも取り入れていく試みです。
補足をしておくとテロワールはフランス語で気候や土壌などの産地の地域性を意味し、ワインであれば原料のブドウが育つ土壌や気候によってワインの味や個性が決まってきます。
そうした要素をしょうゆ造りにも取り入れるべく「あんなかテロワール」として地元産の大豆を使い、なおかつ地元の観光名所でもある碓氷トンネルで2次醸造をするアプローチを進めています。
こうした地域特性のあるしょうゆ造りというのは非常に面白いですね。
現在は全国に流通するしょうゆの出荷高のうち、木桶仕込みのしょうゆはわずか1%ですが、同社はそれを脈々と守り続けてきたDNAがあるから、このようなこだわりのしょうゆづくりともマッチするところがあるはずです。
私も実際に木桶でしょうゆの仕込みをしている他の蔵を見学に行ったことがありますが、独特な香りや雰囲気があって好きですね。
今回のしょうゆに限らず昨今は様々なところで地域特性のあるものを造り、テロワールを活かそうとする考え方が広がってきたように思います。
調味料や伝統的な食材とは離れますが、スナックの湖池屋ではリブランディングをして以降の戦略を味、日本、現代品質の3つに定めています。
とりわけ国産のジャガイモを使い、日本各地の素材で味付けし、湖池屋のこだわりを詰め込んで味で勝負するとの方向性を打ち出し、「国産にこだわり、北海道産や九州産など、日本各地でテロワール(産地の気候や土壌)を踏まえて一年中おいしいイモが食べられるような上流戦略を必死にやっている」とも語っていました。
またチョコレートの領域では明治が原料のカカオにこだわり「明治 ザ・チョコレート」ではブラジルカカオやベネズエラカカオなど、産地ごとの味わいを楽しんでもらう商品ランナップも出していた通りです。
これらは一例ですが、大量生産・大量消費からの揺り戻しとして地域性を活かした個性ある商品づくりが広がり、それを楽しむユーザーが増えてきた面もあるでしょう。
そのような地域特性を有する個性的な商品はそれが付加価値にもなるので、これからも様々な分野でテロワールを活かした商品づくりが広がっていくだろうと思います。
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