「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論296」
みなさん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第1号(2002.7.25発行)「クラブが陥りがちな10の深い落とし穴」2~※名称等は当時、一部文章省略
4.考えなしのディスカウント
トライアルメンバーシップ(短期体験会員)は有益なものである。
しかし、割引会員(例えば、1年会員として入会すれば、2年目は利用無料といったもの)の提供は、自殺行為である。
よくクラブオーナーは入会促進を入会金や会費の割引によって行おうとしてしまう。
これは、価格に対する考え方が最初から間違っているから無意識にそうしてしまうのである。
価格設定はビジネスの礎をなすものの一つである。
それは、生活者に対してクラブの価値を示し、伝えるものでなくてはならない。
ディスカウントはさらなる問題も引き起こす。
クラブの価値認識を低めるだけでなく、クラブは限られたコストの中でより多くのメンバーにサービスを提供することになるため、メンバー1人当たりに掛けられるコストが少なくなり、実質的なサービスの内容も落としてしまうことになる。
5.無関心、無感動なスタッフ
優れたスタッフを募集し、採用し、定着させることはフィットネス業界にとってなくてはならない機能である。
この機能を優れたものにしておくことは、永遠の課題とも言える。
もし、従業員がチームとして働いていなかったり、日々、積極的にクラブを良くしようとして働いていないとしたら、これは問題である。
なぜならクラブはメンバーの満足によって栄えもし、生きながらえもし、また死んでいく。
メンバーの満足は、どれだけ優れた従業員がいて、その従業員たちがどのようにメンバーと関わっていくかにかかっているのである。
もし今、問題を抱えているのであれば、できることとしては、まず1人か2人の最も優れた信頼できる人材を採用し、責任を与えてスタッフの研修プログラムを作って貰うことである。
~ここまで~
パンデミック前もそれ以降も、4・5の状態から抜け出せないクラブが日本ではほとんどではないでしょうか。
パンデミック前であれば、それでも大幅なディスカウントによる入会促進によって、顧客流出分をなんとか補えていた為、経営が成り立っていたと思います。
しかしながら、現在は退会率と同等の入会率を維持するのも困難である為、まさしくジリ貧状態と言えます。
それでもなおかつ同じような戦略で行くのか、クラブ価値に基づく価格訴求とスタッフへの投資によって定着志向経営を目指すか、まさに岐路に立たされていると考えた方が良いでしょう。
本日もお読みいただきありがとうございます。