12月29日(木):「新説 家康と三方ヶ原合戦」
2022年の営業を終えたので、本日からは休日モードとして直近で読んだ書籍の紹介などをしていこうと思います。
本日にピックアップするのは「新説 家康と三方ヶ原合戦」です。
2023年の大河ドラマは徳川家康が主人公の「どうする家康」でもあるし、私も歴史好きでもあるからそれに関連したところを少しばかり。
三方ヶ原の戦いは家康が九死に一生を得た合戦で、生涯で唯一の大敗を喫した場面でもあります。
だから様々な決断をしてきた家康にとっても「どうする?!」の連続だったはずで、ここにはその後につながる様々な教訓が凝縮していたといえます。
三方ヶ原の合戦はそれだけの戦いでありながらも、合戦の中心場所が定かでなかったりと、いまだに不明点が数多く残されている面もあったので、今回は「新説」としての書籍が出ていたのでそれを手に取ってみた次第です。
読後の率直な感想は三方ヶ原の戦いの実相がリアルに伝わってきました。
三方ヶ原の戦いでの敗北は武田信玄の侵攻に対して家康が血気にはやって武田軍へ攻めかかり、相手の術中にハマって壊滅的打撃を受けた旨の記載をしている資料も少なくありません。
でも今回の書籍では様々な文献をもとに武田軍の甲斐からの進軍ルートが事細かに記載をされていて、「どのような順で」「どのぐらいのスピード感で」周辺の城などが攻略・調略されていったのかが分かりました。
そういった背景が分かり、なおかつ武田軍が次にやろうとしていた狙いを踏まえると、もう三方ヶ原の時には家康はあのように動かざるを得ない状況に追い込まれていた、といえそうです。
だから血気にはやって、という浅慮からくる大敗ではなく、むしろ二手三手先を見ながら詰将棋のように追い込んでいった武田軍の知略・謀略が秀逸だったと感じます。
やはり、事細かに事象を積み上げていくと違った見え方が浮かび上がってくるんだなと感じ、そのあたりは勉強になりました。
また個人的なことをいえば、私は中学・高校時代は三方ヶ原の戦いがあった静岡県西部地域、つまり当時の遠江国に住んでいました。
だから書籍の中で出てくる武田軍の進軍ルートで出てくる地名と実際の場所が頭の中でつながり、「当時はあそこに砦があったんだな」とか、「ここが防衛線になったんだ」、「この時は本多忠勝が殿をつとめて敵の侵攻を食い止めたんだな」といったことが分かり、それがまた新鮮な感じでしたね。
自分がかつて過ごしていた場所で、はるか昔にはそこで歴史的な戦いが行われていたんだと思うと、場の見方も少し変わる気がします。
来年の大河ドラマ「どうする家康」で三方ヶ原の戦いがどのように描かれるのか、そこも楽しみにしたいと思います。
歴史や家康好きの方、大河ドラマファンの方など、興味のある方はぜひご一読ください。
「新説 家康と三方ヶ原合戦 生涯唯一の大敗を読み解く」
平山 優 著
NHK出版